富士フイルムは、感度ISO100の黒白フィルム「ネオパン100 ACROS (アクロス) II」を2019年11月22日(金)に日本国内で発売する。35mmサイズ(36枚撮り)とブローニーサイズ(12枚撮り)の2種類をラインナップ。価格はいずれもオープンで、フジフイルムモール直販価格は1,045円(税込)。
富士フイルムは、需要の減少と原材料の入手困難により、2018年秋に全ての黒白フィルムの販売を終了していた。しかし、販売継続を望む声が多く寄せられたことを受け、再販に向けて検討。原材料の研究や製造プロセスの見直しにより「ネオパン100 ACROS II」の開発、発売に至った。
■モノクロフィルムならではの表現が楽しめる
高水準の粒状性による超高画質と、優れたシャープネスを実現。従来品の「ネオパン100 ACROS」に比べ、ハイライト部の階調にメリハリのある設計とし、立体的な階調再現が可能となった。風景写真やポートレート、建物、長時間露光での天体・夜景写真など幅広い分野の撮影に適し、深い趣のある表現が楽しめる。
「Super Fine-Σ粒子技術」をはじめとした富士フイルム独自のテクノロジーが駆使されている。光をとらえて像を形成する「ハロゲン化銀」の構造を精密に制御して高感度化。また、サイズの異なる感光粒子を効率的にフィルムの受光層内に配置し、高いシャープネスを実現した。被写体の輪郭を強調しながら、質感の細部に至るまできめ細やかな描写が可能だ。
■イベントも計画中
富士フイルムでは今後、「ネオパン100 ACROSII」の魅力を体験できるイベントや写真展の開催を計画している。また、海外での販売も検討中とのこと。高い技術力や知名度を有する富士フイルムが、この時代に黒白フィルムを再販し広く展開していくということで、SNSを駆使する若年層をも巻き込んだ新しいモノクロ銀塩写真文化が盛り上がっていきそうだ。
〈文〉佐藤陽子