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100年前の白黒映像がカラーに! ドキュメンタリー映画「彼らは生きていた」にはフィルムの持つ“力”があった

白黒映画というと何を思い浮かべるだろう。ヒョコヒョコした動きと、ボケたり潰れたりして見にくい映像をつい思い浮かべてしまうのではないだろうか? 実録映像なのに、そこに描かれているのはコミカルなまるで別の世界のように感じてしまっていたはずだ。

しかしそんな思い込みはこの映画を見ると吹っ飛んでしまう。「彼らは生きていた」は、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が2018年に完成させたドキュメンタリー映画。およそ100年前の、1914年から1918年にかけて第1次世界大戦中に撮影された記録映像を、現代の技術で徹底的に再構築して1本の映画に仕上げている。

映画「彼らは生きていた」予告映像より
▲映画「彼らは生きていた」予告映像より

 

イギリスの帝国戦争博物館に保存されていた、2200時間以上のモノクロ、無音、不鮮明な映像から、チョコマカとした動きの原因となるコマ数の少なさをデジタルで自然な速度に修正し、キズなどを修復してカラーに着色。さらにそこに退役軍人のインタビューや、音声、効果音などを追加している。その結果、100年前とは思えない驚くほどのリアルさと緻密さにあふれた映像に生まれ変わることとなった。

映画は過酷な戦場風景だけでなく、食事やふざけ合う日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた若者の人間性を浮かび上がらせる。彼らの生きた当時の世界が、生々しく、まるで“自分もその中にいる”と感じられる映像に仕上がっている。

映画「彼らは生きていた」予告映像より
▲映画「彼らは生きていた」予告映像より

 

戦争の恐怖と彼らの人生を後世に伝えるため、ジャクソンを監督はじめとするあまたの人々の努力によって完成した本作は、フィルムの持つ“力”を体感できるだろう。

「彼らは生きていた」は、シアター・イメージフォーラムほかで上映中。全国でも順次公開予定。なお、近くに上映する劇場がない場合はYouTubeで購入またはレンタル視聴することもできる。

 

 

〈文〉稲葉利二