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キヤノンが技術力を生かして新型コロナ対策を支援、唾液検査の精度も実証

キヤノンは、アフターコロナに向けてグループ会社でさまざまな取り組みを行っている。いずれもキヤノンの技術力を生かしたもの。主要な取り組みをいくつか紹介しよう。

キヤノン新型コロナ対策支援
ポスターテンプレート例

「新しい生活様式」の実践を促すポスターのテンプレートを無償提供

キヤノン株式会社は、新型コロナウイルス感染症予防対策として「新しい生活様式」の実践を促すポスターテンプレートやクリップアートなどの無償提供を2020年6月8日に開始した。A4サイズのチラシから大型バナーまで、簡単に高品位のポスターをつくることができる。

キヤノン新型コロナ対策支援
クリップアート・写真素材例

無償提供されるテンプレート、クリップアートは、学校での手洗いを促進する掲示物、オフィスや工場でのソーシャルディスタンス維持を注意喚起するポスター、飲食店のテイクアウト告知など。多様な業種や目的に対応しており、今後も順次追加される予定になっている。また、テンプレートは13言語に対応する。使い方は、パソコン用の高品位ポスター作成ソフト「PosterArtist Lite (無償)」または「PosterArtist (有償)」をインストールして、テンプレート、クリップアートを選択するだけだ。

医療機器などの不足を支援するプリント受託製造事業を開始

キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、産業用3Dプリンターの販売・保守事業に加えて、受託製造事業を2020年5月27日に開始した。工場の稼働停止に伴って必要な部品が供給されない、また医療現場で不足する人工呼吸器などの各種医療機器を供給していこうという活動だ。世界各地で業種を問わず、不足部品の臨時生産に協力し合う動きに対応したもの。ハイエンド3Dプリンティング技術とノウハウを生かし、樹脂部品を中心にオンデマンド生産で支援していく。

キヤノン新型コロナ対策支援
ストップギャップフェイスマスク

キヤノンマーケティングジャパンと販売契約を結ぶ米国の3DSYSTEMS社では、ストップギャップフェイスマスクをはじめ、フェイスシールドフレーム、鼻腔用スワブ、人口呼吸器などの不足に対応している。キヤノンマーケティングジャパンも日本国内での検証に必要な部品製造に積極的に協力していく。また受託ボリュームに応じて、国内の3Dプリンター事業者へも協力体制を拡張し、より適切な支援を実現していくとしている。

唾液による新型コロナウイルスのLAMP法検査を検証

キヤノンメディカルシステムズ株式会社は、PCR法よりも短時間で検査結果が分かるLAMP法による唾液の検査で、従来の鼻咽頭拭い液と遜色ない結果を得ることができたことを2020年6月9日に発表した。

キヤノンメディカルシステムズが長崎大学とともに開発した、LAMP法による「新型コロナウイルスRNA検出試薬 Genelyzer KIT」を使い、北海道大学病院の協力を得て唾液での検査の精度を調べたところ、10分程度で検出できることを確認することができた。これにより、入出国時の検疫現場やスポーツ選手への試合前検査などでの活用が期待される。また従来、検査が躊躇されてきた無症状者への陰性証明検査に活用される可能性もある。

これまで新型コロナウイルスの検査では、医療従事者により鼻などの奥から採取する必要があったが、採取方法の難しさや採取中の医療従事者への感染リスクが問題になっていた。最近になって、唾液による検査が公的に認められたことから、遺伝子検査の間口が大きく広がった。

 

 

 

〈文〉柴田 誠