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小型軽量で高機能、20万円台の価格も魅力のフルサイズミラーレス「LUMIX S5」デビュー

パナソニックは、フルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S5」を2020年9月25日に発売する。カラーはブラックのみで、価格はオープン。参考価格は「DC-S5」ボディ単体が250,000円、標準ズームレンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」を同梱したレンズキットは290,000円 (いずれも税別)となっている。

LUMIX S5
LUMIX Sシリーズの中でも手が届きやすい価格設定も魅力のひとつ。

 

発表にあわせて、2020年9月3日にパナソニック主催の新製品オンラインセミナーが開催された。その様子も含めて、「LUMIX S5」を紹介する。

 

セミナーのプログラムは、「LUMIX S5」の主要な機能解説と写真家の岡田敦さんによるトークセッションの2部構成。「LUMIX S5」の解説をしてくれたのは、パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 商品センター イメージング担当の塩見記章さん。実際の機材や豊富な作例を使って、「LUMIX S5」に搭載のさまざまな機能を分かりやすく紹介した。

LUMIX S5

 

岡田敦さんは、野生の馬が生息する北海道根室の無人島「ユルリ島」を舞台に「LUMIX S5」を使って映像作品「YURURI ISLAND」を制作。撮影時の様子を「LUMIX S5」のファーストインプレッションを交えながら語ってくれた。岡田さんの映像作品とメイキング映像は、WEBサイト「LUMIX S5 映像作品集」の中で見ることができる。

LUMIX S5
岡田さんは、「LUMIX S5」はかなり軽く小さくなったが、画質や機能は今まで愛用してきた「LUMIX S1 / S1R」に引けをとらなかったと印象を語った。

■静止画・動画の両方に強い「ハイブリッド・フルサイズミラーレス」

「LUMIX S5」は、LUMIX S1シリーズの系譜を受け継いだ静止画・動画性能を凝縮した新時代の「ハイブリッド・フルサイズミラーレス」と位置づけられている。有効2420万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーは、高感度撮影において高いパフォーマンスを発揮する「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載し、ローパスフィルターレス仕様となっている。

LUMIX S5

また、フルサイズセンサーの性能を最大限に引き出すヴィーナスエンジンにより、広いダイナミックレンジを実現。明度別の制御が可能な新3次元色コントロールにより、被写体の豊かな色調を再現しながら優れた階調表現を可能にする。

LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。

■マイクロフォーサーズ機と同等のコンパクトサイズ

標準ズームレンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 」を装着した際の重さは約1064gと、小型・軽量なボディを実現。

LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。「LUMIX S5」(左) のサイズは約132.6×97.1×81.9mm。マイクロフォーサーズセンサー採用の「LUMIX GH5」(右) とほぼ同じ大きさだ。

 

ファインダーは、倍率約0.74倍・約236万ドットの高精細OLED (有機EL) を搭載する。ファインダー撮影時には「省電力ファインダー撮影モード」を選択可能で、撮影可能枚数を約470枚から約1500枚に増やすことができる。

LUMIX S5

 

背面のフリーアングルモニターは、3.0型・約184万ドットの静電容量方式タッチパネル液晶を搭載する。屋外での視認性向上に加えて、増感して表示することで被写体を見やすくする「ライブビューブースト」を搭載。また、モニターやファインダーの表示を長時間の暗所撮影時に最適にする「ナイトモード」といった、天体撮影などに便利な機能も搭載されている。

LUMIX S5

 

LUMIX S5

LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。被写体から目を離すことなく設定を変更できるように、上面や背面のボタンレイアウトにもこだわったと塩見さん。

 

シャッタースピード1/8000秒を実現する新開発の小型フォーカルプレーン式シャッターユニットを搭載し、明るい日中におけるボケを生かした撮影や決定的な一瞬を捉えた撮影などが可能。静止画撮影時の連写性能は、AF固定7コマ/秒・AF追従5コマ/秒となっている。

■人物のAF追従精度を強化

ディープラーニングを応用した「リアルタイム認識AF」アルゴリズムに、人体の「頭部認識」を新たに追加し、人物に対するAF追従性能を強化した。動く被写体や人物の顔が隠れてしまうシーンでも、「顔・瞳認識AF」も「頭部認識」により、画面上で小さな顔も認識し続け、「人体認識」と「顔・瞳認識AF」の組み合わせで、人物への高精度なAF追従を実現する。また、「動物認識」も搭載しているので、動物に対しても高いフォーカス性能を発揮する。

LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。複数の人物がいる場面で、メインの被写体が横を向いても「頭部認識」によりメインの被写体を追従し続ける。
 
LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。「頭部認識」により、被写体が後ろを向くとコントラストの高い背景にピントが移ってしまう“背景抜け”を防止できる。
 
LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。認識速度も向上。被写体の動きを予測し、動きの速い被写体を認識し続ける。
 
LUMIX S5
▲オンラインセミナーより。離れた場所の被写体もすばやく認識して追従を始める。
 

■ボディ内5段、対応レンズとの組み合わせで6.5段の手ブレ補正

高精度なジャイロセンサーと制御アルゴリズムにより、センサーシフト方式のボディ内5軸手ブレ補正 (B.I.S.) は5段の補正効果を実現。手ブレ補正機能のないオールドレンズ使用時でも手ブレを軽減することができる。

また、レンズ内手ブレ補正を搭載したSシリーズレンズ使用時には、2軸のレンズ内手ブレ補正 (O.I.S.) と5軸のボディ内手ブレ補正 (B.I.S.) を連動させる「Dual I.S.2」により、最大6.5段の手ブレ補正効果を発揮する。

LUMIX S5

さらに、動画撮影中の手ブレを強力に抑える「手ブレ補正ブースト」、カメラのブレ状態を表すポインタを表示して、手ブレ状態を視認化する「手ブレ状態スコープ」といった機能も搭載されている。

■ダブルSDカードスロット

2基のSDカードスロットを搭載しており、スロット1にはUHS-IIとUHS-I、スロット2にはUHS-IのSDメモリーカードが対応する。1枚目から2枚目のSDメモリーカードにスイッチする「リレー記録」、2枚のSDメモリーカードで同時に記録する「バックアップ記録」、撮影するデータを任意で振り分けることができる「振り分け記録」の設定が可能だ。

LUMIX S5

また、電力供給しながら撮影できる「USB給電」や移動中もモバイルバッテリーなどから充電できる「USB充電」に対応する。

■防塵・防滴構造

軽量で耐久性のあるマグネシウム合金フレームを採用し、高い堅牢性を確保。また、高精度のシーリング構造による防塵・防滴設計となっている。シーリング材を組込みにくい箇所は、部材間の隙間を極力小さくし、篏合部には撥水剤を塗布するなど、徹底して防塵・防滴に配慮した設計が行なわれている。

LUMIX S5
▲シーリング

■静止画性能

幅広い感度域
常用ISO感度はISO 100〜51200 (拡張ISO 50 / 102400 / 204800)。デュアルネイティブISOテクノロジーにより、高ISO感度設定時もノイズを抑えた解像感のある美しい高感度静止画撮影を実現する。

ハイレゾモード
センサーをシフトさせながら8回連続で自動撮影を行い、カメラ内で自動合成処理するハイレゾモードでは、通常撮影 (2420万画素) 時の4倍となる最大約9600万画素相当の高解像写真を生成することができる。JPEG記録も可能で、パソコンでRAW現像をすることなく超高解像な写真撮影ができる。

また、動きのある領域に対しては、静止画の自動合成処理を行う「MODE1」と、被写体ブレの残像を抑制して合成する「MODE2」が選択可能となっており、通常撮影に近い自然な写真表現を実現した。

ライブビューコンポジット
明るく変化した部分のみを合成して1枚の写真として記録する「ライブビューコンポジット」を搭載。星の日周運動や花火など、切れ目のない美しい光跡をモニターで確認しながら撮影することができる。

フォトスタイル
9つのカラーと3つのモノクロームのモードを搭載する「フォトスタイル」により、表現意図に合わせて、色味やコントラスト、彩度などの画質調整が可能。静止画から動画まで、統一した色の設定ができる。さらにファームアップ (2020年内予定) により、「L.モノクロームS」や「L.クラシックネオ」の新たな「フォトスタイル」が追加される予定だ。

■動画性能

多彩なモードに対応
「LUMIX S5」は、動画撮影にも優れている。ハイフレームレートの4K60p記録から、4K30p内部記録まで、幅広い動画記録モードを搭載する。HDMIケーブルで外部レコーダーやモニターと接続した場合には、4K60pのHDMI出力が可能だ。APS-Cサイズ用交換レンズに対応するAPS-Cの画角も選択可能なほか、4:3アスペクトのアナモフィックレンズに対応した、アナモフィック動画記録も搭載する。

2020年内予定のファームアップにより、ATOMOS社製「Ninja V」へのHDMI経由での動画RAWデータ出力やC4K動画記録などにも対応予定となっている。

時間制限なしの動画記録を実現
4K30p/24p記録、FHD記録では、時間制限なしの動画記録を実現する。また、4K60p/30pの高ビットレートでも30分間の撮影が可能で、最適な放熱処理により、いったん記録を停止した後でもすぐに撮影再開することが可能となっている。

スロー&クイックモード
モードダイヤルからすばやくアクセスできるスロー&クイックモードを搭載しており、AFで追従しながら、4K/24pで約2.5倍スロー (60 fps) から4K/30pで約30倍クイック (1fps) の動画記録を選択することができる。FHD 24p撮影では、AF追従しながら約5倍スロー (120fps) の動画記録が可能で、MFであれば最大で約7.5倍スロー (180fps) の撮影ができる。

14+ストップV-Log/V-Gamutに対応
上位モデル「LUMIX S1H」と同等のダイナミックレンジと広色域の14+ストップV-Log/V-Gamutに対応。さらにV-Log撮影時には、LUT適用後の映像をファインダーやモニターに表示する「V-Logビューアシスト」に対応し、仕上がり時のルックを確認することができる。また、V-Logに対応する「LUMIX S1 / S1H」、V-Log Lに対応する「LUMIX G」シリーズなどで記録した動画と組み合わせて、一貫した絵作りでの映像編集を行うことができるようになっている。

アシスト機能
「ゼブラパターン」「WFM」「スポット輝度メーター」「輝度レベル設定」などの動画撮影アシスト機能を搭載する。2020年内予定のファームアップにより、「ベクトルスコープ」「マスターペデスタル調整」「SS/ゲイン操作」の追加が予定されている。

■その他の機能

カメラ制御PCソフト「LUMIX Tether」によるUSBテザー撮影に対応しており、スマートフォン用アプリ「LUMIX Sync」によるリモート撮影も可能だ。通信機能は、スマートフォンと常時接続できるBluetooth4.2、混信に強くなったWi-Fi 5 GHz (802.11ac) に対応する。

 

レンズキット Kキット

標準ズームレンズ「LUMIX S 20-60 mm F3.5-5.6 (S-R2060)」が付属する。

LUMIX S5 Kキット

 

アクセサリー

バッテリーグリップ「DMW-BGS5」(参考価格 34,800円)、バッテリーパック「DMW-BLK22」(参考価格 8,480円)、バッテリーチャージャー「DMW-BTC15」(参考価格 12,980円)、DCカプラー「DMW-DCC17」(参考価格 3,980円) が同時発売となる (参考価格はいずれも税別)。

LUMIX S5
▲バッテリーグリップ「DMW-BGS5」装着イメージ

 

 

LUMIX S5 主な仕様

品番 DC-S5 (ボディ)、DC-S5K (Kキット)
有効画素数 2420万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.6×23.8mm) CMOSセンサー
マウント ライカLマウント
ISO感度 ISO 100~51200 (拡張ISO 50 / 102400 / 204800)
ファインダー 0.39型 約236万ドット 有機ELファインダー (倍率 約0.74倍)
画像モニター 3.0型 約184万ドット 静電容量方式タッチパネル液晶モニター
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-I / UHS-II / UHS Speed Class 3 / Video Speed Class 90対応)
サイズ (幅×高さ×奥行き) 約132.6×97.1×81.9mm (突起部を除く)
質量 約630g (本体のみ) / 約714g (バッテリー、メモリーカード1枚を含む)
付属品 ボディキャップ、ホットシューカバー、バッテリーグリップ接点カバー、ショルダーストラップ、バッテリーパック、バッテリーチャージャー、ACアダプター、USB接続ケーブル (A-C) ほか

 

 

〈文〉柴田 誠