前川貴行さんの写真集『SOUL OF ANIMALS』が発売された。
前川さんがこれまでに撮影してきた国内外の野生動物から、115種を選び紹介した。見開きで写真を掲載し、ページをめくると動物とのエピソードが綴られている。読者は家にいながら、しばし冒険旅行に出かけられるのだ。写された世界と、今自分がいる場所の違いに時折慄然ともする。
前川さんは若いニホンザルの通り道にいたことで肩を蹴られ、クマとの遭遇を畏れながらほの暗い獣道を歩く。そして、今もジャングルでは象牙の密猟でゾウが殺されている。放置された頭蓋骨には弾痕が開き、腐肉に集まった蛆が干からびていた。
写真1枚から読み取れる情報量は多い。また現場を知らない者にとっては、前川さんが記すエピソードや知識によって、違う写真の見方が生まれるだろう。
前川貴行『SOUL OF ANIMALS 肉体の奥に秘められた魂に焦点を合わせる』
148×210mm・304ページ
本体 2,500円（税別）
2020年7月28日発売
日本写真企画
〈文〉市井康延