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見る者を神秘の森へと誘う 柏倉陽介写真集『倒木 ~屋久島 ときの狭間に立ちて~』

柏倉陽介さんの写真集『倒木 ~屋久島 ときの狭間に立ちて~』が発売された。

 

柏倉陽介写真集『倒木 ~屋久島 ときの狭間に立ちて~』

 

ページを開くと、しんとした屋久島の森が目の前に現れる。その場に居る感覚に襲われるのは、写真が奥行きのある空間を表現しているからだろう。読者は写真の上下左右に目を動かしながら、奥にあるモノに吸い寄せられる。そして柏倉さんの導きで、一歩ずつ森の中へと誘われる。

倒れた木や岩には厚く苔が繁茂し、一つの生命体として森を支配しているようにも見え、大木が陽光を遮る暗い場所を通り抜けると、より光の存在が温かく、眩しい。

 

柏倉陽介写真集『倒木 ~屋久島 ときの狭間に立ちて~』
290×290mm・72ページ
本体 6,000円(税別)
2020年7月20日発売
冬青社

 

 

〈文〉市井康延