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時代を築いた写真家の真実に迫るドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』公開

ヘルムート・ニュートンは社会を挑発する刺激的なヌード写真で一時代を築いた巨匠の一人。生誕100年を迎え、彼のドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が制作された。2020年12月11日よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほかで全国順次公開される。

ヘルムート・ニュートンと12人の女たち
Arena, Miami, 1978 © Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation

 

義足のモデルや、高級ジュエリーを手に付けた女性が血まみれのチキンを調理する。彼の写真は賛否両論で話題を呼んだ。モデル、編集者など彼と深く関わった12名の女性たちの証言とともに、ニュートンの写真の持つ意味、魅力をあぶり出す。その多くは彼とともに世間のバッシングを受けた共犯者でもある。

義足を付けた撮影でモデルとなったナジャ・アウアマンは「女性はハイヒールを履いたら自由に走れず、逃げることもできない」と話す。時代を先取りしたシニカルな視点がそこにはある。

ニュートンはユダヤ人で、師事した写真家のイヴァは強制収容所で亡くなった。映画では彼の興味深い撮影現場などをいくつも紹介しているほか、インタビューでさまざまな事実も明らかにされる。

フランスの右派の政治家を撮った1枚がある。写された本人は喜んでいたそうだが、ニュートンはヒトラーを写した有名な写真と同じ構図を模した。

 

 

映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』

公開日 2020年12月11日(金)
配給 彩プロ
監督 ゲロ・フォン・べーム
出演 シャーロット・ランプリング、イザベラ・ロッセリーニ、グレイス・ジョーンズ、アナ・ウィンター、クラウディア・シファー、マリアンヌ・フェイスフル、ハンナ・シグラ、シルヴィア・ゴベル、ナジャ・アウアマン、アリヤ・トゥールラ、ジューン・ニュートン、シガニー・ウィーバー、スーザン・ソンタグ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ヘルムート・ニュートン ほか

 

 

〈文〉市井康延