ニュース

売れ行きアップに「20代写真家の起用」が貢献、栃木サッカークラブの2021夏季限定ユニフォーム

日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟する「栃木サッカークラブ(栃木SC)」が、2021年夏季限定ユニフォームに20代の写真家を起用し、新たなファン層を呼び込んでいます。

(C)栃木SC

起用されたのは、フォトグラファーのもろんのんさん、岡元紀樹さんで、共に20代です。

(C)栃木SC

Jリーグ各チームは通常のユニフォームだけでなく、限られた試合の着用やクラブの創立記念などをきっかけに限定ユニフォームを制作し、販売するケースが多くあります。

(C)栃木SC

栃木SCも夏季限定ユニフォームとして、今回は“STORMING”をコンセプトに展開。「夏の夜に雷鳴を轟かせる嵐」を幾何学模様で表現し、爽やかなデザインにまとめました。スタジアムをはじめ、様々な場面で着用できるように仕立てたといいます。

(C)栃木SC

もろんのんさんは書籍『弘中綾香の純度100%』の撮影でも知られ、『SNS時代のフォトグラファーガイドブック』に名を連ねるなど、SNSを活動の軸のひとつに据えています。フォロワー数10万人弱のInstagram、撮影技法や機材を紹介するYouTubeでも人気を博します。

(C)栃木SC

岡元紀樹さんはサッカーを始めとするスポーツ領域を得意とするフォトグラファー。サッカーメディア「Goal Japan」や、神奈川県社会人2部リーグ所属の「鎌倉インターナショナルFC」スタッフでの撮影のほか、ウェディングフォトなども手掛けています。

(C)栃木SC

他チームのユニフォーム着用写真ではメンバーの力強さを表現するものが多く見受けられるなかで、栃木SCのサイトには街中や室内で着用し、リラックスを感じる作品も。

(C)栃木SC

二人はそれぞれが得意とする領域から、栃木SCの新ユニフォームの魅力を自分の作風に乗せて発信しています。

20代の若手かつ真逆ともいえる作風を持つ二人を起用したことには、どういった狙いがあったのでしょうか。その理由は、若手写真家の活動範囲を広げるヒントがあるかもしれません。

栃木SCへ質問を送ると、クラブスタッフの江藤美帆さんが回答を寄せてくれました。

 

若年層と女性へのアプローチが課題。SNSでの拡散が効果を生んだ

(C)栃木SC

──今回の起用に関し、写真家のどういった点を評価され(あるいは期待され)、依頼をなさったのでしょうか。

現在、栃木SCのファン・サポーターは平均年齢が42歳ほどで、男女比は7対3と圧倒的に男性が多数です。

さらなるファンの獲得には「若年層」と「女性へのアプローチ」が喫緊の課題であるため、その方々に「いいね」と思ってもらえるクリエイティブにしたいという意図がありました。

 

──岡元さんは活動からもサッカー領域に強い印象を受けますが、もろんのんさんは活動を拝見すると、その限りではないように感じます。

もろんのんさんは女性が好むテイストの人物写真を得意としているフォトグラファーです。

逆にその「スポーツ、スポーツ」していない人が撮る写真というのが、見ている人に若干の「違和感」を残せて面白いのではないかと思いました。

もろんのんさんは非常に作風がしっかりしていてブレがないため、その点について不安はありませんでした。

 

──撮影に際して、どのようなオーダーをなさいましたか。

細かいオーダーは出さず、自由にやっていただきました。期待通り、それ以上のものが出来上がってきたと思います。

 

(C)栃木SC

──若手写真家を採用したことで、期待されていた効果や狙いは実現されましたか。

まず、SNSでの拡散効果が高く、今回は栃木SCのファンサポーターではない方からの反応が多くありました。この点は、インフルエンサーでもあるもろんのんさんや岡元さん、モデルのお二人などの拡散力などもあるのではないかと思っています。

感想については、従来よりも女性の方の反応が多かったことが印象的でした。

売れ行きにつきましては、数量限定で販売開始しましたが、イエローのユニフォームはすでに完売。ネイビーのほうも残り30着ほどになりました。

通常、チームの成績が良くないと(現在は17位です)ユニフォームは売れないものなのですが、今回は成績に関係なくかなり売れています。クリエイティブに注力した甲斐があったと考えています。

 

──今後も新しい写真家の起用はお考えでしょうか。また、どういった写真家と出会いたいかなど、希望があればぜひお聞かせください。

「良い写真」の定義はいろいろあると思いますが、今の時代はSNSで拡散される、「いいね」がつく写真というのは、ひとつの「良い写真」の判断基準になると思っています。

今後もフォトグラファーに限らず、SNSとの親和性が高いクリエイターを積極的に起用していきたいと考えております。

(C)栃木SC

江藤美帆さん、回答ありがとうございました!

実はこの記事を制作したのも、筆者が栃木SCのユニフォームビジュアルをSNSで見かけたのがきっかけでした。販売実績にも表れ、知名度を高めることにもつながっている栃木SCのSNS施策は、写真を軸に活用したひとつの好例ともいえそうです。

栃木県宇都宮市をホームタウンに活動する栃木SCは、現在J2リーグに所属。悲願のJ1参入に、新たなファンやユニフォームをまとったサポーターの声援は、大きな力となってくれることでしょう。

 

川北啓加(もろんのん)

1993年、川越生まれ。大学在学中から旅と写真をフィールドに写真の仕事をスタート。現在はフリーランス。明るくポップな可愛らしい世界観で切り取る作風が人気。2019年に撮影した、テレビ朝日・弘中綾香アナウンサーの写真で話題を集める。

 

この投稿をInstagramで見る

 

もろんのん(@moron_non)がシェアした投稿

 

この投稿をInstagramで見る

 

もろんのん(@moron_non)がシェアした投稿

岡元紀樹

1995年生まれ、兵庫県出身。関西学院高等部から関西学院大学へ進学。大学を1年で中退し、海外を飛び回る。カンボジアでは『子供たちが裸足でも怪我なく遊べるグラウンドの建設』に携わる他、ロシアW杯を現地で観戦するなど「Football」への様々な関わり方を学ぶ。その後ロシアW杯をキッカケに写真を生業に。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Kazuki Okamoto(@footgrapher)がシェアした投稿

 

この投稿をInstagramで見る

 

Kazuki Okamoto(@footgrapher)がシェアした投稿

 

この投稿をInstagramで見る

 

Kazuki Okamoto(@footgrapher)がシェアした投稿

 

フォトギャラリー