キヤノンは、フルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」を2021年11月下旬に発売する。2021年4月14日の開発発表からおよそ5か月。東京2020オリンピック・パラリンピックでのフィールドテストを経て、ついにその全貌を現した。価格はオープンで、参考価格は748,000円 (税込)。
<2021.11.18> 発売日が2021年11月27日に決定。
■最高30コマ/秒のブラックアウトフリー連写が可能
イメージセンサーは、新開発の有効約2410万画素フルサイズ裏面照射積層型CMOSセンサーを搭載。高い受光効率と信号読み出しの高速化を実現する。映像エンジンには「DIGIC X」を採用。新CMOSセンサーとの組み合わせにより、メカシャッターの電子先幕撮影時には最高約12コマ/秒、電子シャッター撮影時にはAF/AE追従で最高約30コマ/秒の高速連写と高画質を両立する。
また、新CMOSセンサーの高速読み出しにより、ローリングシャッター歪みを「EOS-1D X Mark III」の約1/4に低減した。
さらに、電子シャッターのシャッタースピードを高速化。最速で1/64000秒の設定が可能となっている (Tv/M時)。電子シャッター時は連続撮影中のブラックアウトフリー撮影も実現した。
■0.03秒の高速AF、モータースポーツの検出にも対応
「デュアルピクセル CMOS AF II」により、EOS Rシリーズで最速となる最高約0.03秒の高速AFを実現する。電子シャッター撮影時には、最高60fpsでAF演算・トラッキング演算を同時に行い、最高約30コマ/秒の高速連写中でも精度の高いAFが可能。
また、人物の瞳・顔・頭部・胴体、動物 (犬・猫・鳥) の瞳・顔・全身検出に加え、乗り物 (車やバイク) の全体・スポット検出にも対応した。
静止画撮影時の低輝度合焦限界はEV−7.5 (静止画撮影時) で、被写体の視認が難しい暗さでもAF撮影が可能となっている。測距エリアは画面の縦横ともに最大約100%で、測距エリアは最大1053分割だ。
■視線でピント位置が移動する「視線入力AF」
カメラがファインダーをのぞいた瞳の動きを検知し、視線の位置にAFフレーム / AFエリアを移動する「視線入力AF」を搭載する。静止画撮影時のみの機能だが、キヤノンのデジタルカメラで初めて、視線によってAFフレームを選択・移動させることができる。
■常用ISO102400の高感度
静止画撮影時の常用感度はISO100~102400で、夜間や室内などの暗いシーンでもノイズを抑えた動体撮影が可能だ。さらに、ISO50相当 (L)、ISO204800相当 (H) の拡張が可能となっている。
■HDR記録が高速化
露出が違う3枚の画像を約0.02秒で高速にカメラ内で合成する「HDRモード」は、「EOS R5」の約12倍の高速化を実現する。「オートライティングオプティマイザ」と「高輝度側・階調優先」の同時設定を可能にする「HDR PQ」を設定することで、輝度レンジが広くコントラストが高いシーンなどに効果を発揮できる。
■最大8.0段の手ブレ補正
ボディ内5軸手ブレ補正機構 (IBIS = In body Image Stabilizer) を搭載し、RFレンズ使用時には「EOS R5」「EOS R6」と同じ最大8.0段の手ブレ補正効果を発揮する。
■操作性・堅牢性
外装には耐衝撃性・耐久性が高く、電磁シールド効果にも優れたマグネシウム合金を採用し、高い剛性と軽量化を両立した。デジタル一眼レフのフラッグシップモデル「EOS-1D X Mark III」と同様の縦位置グリップ一体型ボディを採用し、バッテリーは「EOS-1D X Mark III」との共通の「バッテリーパック LP-E19」を採用する。防塵・防滴性能も「EOS-1D X Mark III」と同等レベルとなっている。
液晶モニターは、約415万ドットのバリアングル液晶モニターを採用する。
記録メディアはCFexpressカード (Type B) とSDメモリーカード (UHS-II対応) を採用し、デュアルスロットを搭載。USB Type-C端子を使った給電・充電も可能だ。
■新開発のマルチアクセサリーシュー
システム拡張が可能な新開発の次世代インターフェース「マルチアクセサリーシュー」を搭載する。コネクタータイプの接点部を新たに採用したことで、高速データ通信や電源供給などの機能拡張に対応。専用アクセサリーも登場した。従来のアクセサリーシューと同じ接点部 (5ピン) を備えており、従来のアクセサリーの多くがそのまま使用できる。
■動画性能
6K/60p動画のRAWデータ (12bit) による内部記録や、6Kの豊富なデータから高画質な4K動画の生成が可能。滑らかなスローモーション効果が得られる4K/120pのハイフレームレート動画撮影機能も搭載する。また、CINEMA EOSを除くEOSシリーズで初めて、30分以上の連続撮影に対応。最長6時間までの記録が可能になった。
■通信機能
2.4GHz/5GHz帯デュアルバンド対応のWi-Fi通信機能をはじめ、「Mobile File Transfer」アプリをスマートフォンにインストールすることで5G回線を活用した画像転送も可能。また、EOS Rシリーズとして初めてEthernet端子を装備し、有線LANを使ったFTP転送も可能だ。
アクセサリー
■アイカップ ER-hE
外光の入光を抑制し、眼鏡着用時でも安定した視線入力が可能になる大型のアイカップ。カップ部は360°のレボルビングが可能で、縦位置撮影にも対応する。ファインダーが見えにくい屋外撮影にも有効だ。2021年11月下旬発売予定。希望小売価格は5,500円 (税込)。
■スピードライトトランスミッター ST-E10
マルチアクセサリーシュー専用のスピードライトトランスミッター。電源をカメラから供給するバッテリーレスのため小型・軽量で、防塵・防滴構造となっている。2021年11月下旬発売予定。希望小売価格は16,500円 (税込)。
■マルチアクセサリーシューアダプター AD-E1
従来のアクセサリーを、マルチアクセサリーシュー搭載のカメラに装着するための変換アダプター。防塵・防滴性能を備える。2021年11月下旬発売予定。希望小売価格は5,380円 (税込)。
■スマートフォンリンクアダプター AD-P1 (Android)
マルチアクセサリーシューに装着することで、Androidスマートフォンの取り付けが可能になるアダプター。台座の新接点部を介してデータの高速通信、カメラからの給電が可能。2022年2月下旬発売予定。希望小売価格は8,780円 (税込)。
■指向性ステレオマイクロホン DM-E1D
マルチアクセサリーシュー専用の外部マイク。マルチアクセサリーシューによりデータの高速通信、カメラからの給電が可能。ケーブルを介さないため、外部ノイズに強いデジタル化した音声データをカメラに出力できる。外部電磁波によるノイズが入りにくい構造を採用する。2022年3月中旬発売予定。希望小売価格は37,500円 (税込)。
Canon EOS R3 主な仕様
有効画素数 最大約2410万画素
撮像素子 フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサー
マウント キヤノンRFマウント
ISO感度 (静止画撮影時) ISO 100〜102400 (拡張 ISO 50相当、204800相当)
ISO感度 (動画撮影時) ISO 100〜25600 (拡張 ISO 32000 / 40000 / 51200 / 64000 / 102400相当)
シャッター速度 (静止画撮影時) メカシャッター 1/8000~30秒、バルブ
シャッター速度 (動画撮影時) 1/4000~1/25秒
ファインダー 0.5型 約576万ドット 約0.76倍 OLEDカラー電子ビューファインダー
画像モニター 3.2型 約415万ドット TFT式カラー液晶モニター
記録媒体 CFexpressカード (Type B / VPG400対応)、SDメモリーカード (UHS-II対応)
大きさ (幅×高さ×奥行き) 約150.0×142.6×87.2mm
質量 約822g (本体のみ)、約1015g (バッテリー、メモリーカードを含む)