パナソニックが、マイクロフォーサーズフォーマットのミラーレスカメラ「LUMIX GH6」を正式発表した。CP+2022会期中の2022年2月24日~27日には、東京・青山の「LUMIX BASE TOKYO」でタッチ&トライイベントを開催。2022年3月25日の発売に先がけて製品を試すことができた。その様子をお届けしよう。
「LUMIX GH6」はこんなカメラ
「LUMIX GH6」は、新開発の有効2521万画素 Live MOSセンサーと処理速度が約2倍に高速化した新世代ヴィーナスエンジンを搭載したLUMIX Gシリーズのフラッグシップモデルとなるミラーレスカメラ。ディテール処理やノイズリダクションが向上したことで、動画・静止画の解像性能・高感度性能が進化。色再現性に優れた描写を実現する。
■動画性能
LUMIX初の5.7K/60p高解像記録をはじめ、4K/120p、FHD/240pのハイフレームレート撮影やFHDで最大300fpsから生成できるスローモーション表現、明暗差の大きなシーンでも高い階調性能を発揮するダイナミックレンジブーストなど、多彩な動画機能を搭載。映像表現の選択肢を大幅に広げてくれる。
■レンズと連動で7.5段の手ブレ補正
手ブレ補正システムは、新開発の超高精度ジャイロセンサーとアルゴリズムを搭載。5軸のボディ内手ブレ補正 (B.I.S.) と、2軸のレンズ内手ブレ補正 (O.I.S.) を連動して制御する「Dual I.S. 2」では、LUMIX Gシリーズとして最高の7.5段に進化している。
■気になる価格は?
価格はオープンで、市場想定価格はボディ単体が263,000円前後、「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」をセットにした標準ズームレンズキット「Lキット」が337,000円前後 (いずれも税込)。
徹底した感染症対策をして行われたタッチ&トライイベント
タッチ&トライは事前予約制となっており、さらにワクチン接種証明か、3日以内のPCR陰性証明の提示を求められる。ワクチン接種証明があっても会場で抗原検査を受ける必要があり、入場時には手袋を渡されるなど、徹底した感染症対策をした上で実施された。
会場に入れるのは毎回6人までに限定されていて、約30分の間、ほぼマンツーマン状態で「LUMIX GH6」の機能を堪能できた。レンズを交換して撮影することも可能で、モデル撮影の時間も設けられたので、AF性能や連写機能など、さまざまなチェックが可能だ。メモリーカードを持って行けば、撮影したデータの持ち帰りもOK。進化したノイズリダクションの性能や画質の向上を後でじっくりと検証することができた。
「LUMIX GH6」を写真でレポート
■外観はシャープな印象
「GH6」には、キットレンズの「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」が標準で装着されていた。「LUMIX GH5S」よりも高さが約2mm、奥行きが約12mm大きくなっている。重量は約163g重くなった。直線的なデザインが強調されており、シャープな感じを受けるカメラに仕上がっている。
参考までに、フルサイズの「LUMIX S1H」と比べてみると、大きさは「GH6」の方が小ぶりだが、「GH6」はシャッター周りに操作部が集中していることもあって、ギュッと詰まっているように見える。
■大胆な排気口を設けて長時間撮影を実現
外観で特徴的なのは、背面液晶モニターが後ろに張り出していることだ。よく見ると、放熱のために、かなりしっかりとした排気口が設けられ、その分だけ出っ張っている。内部にはファンが内蔵されていて、効率的な放熱をすることで、長時間の動画記録を実現する。
水やホコリが侵入しないか気になるが、ボディの接合部や操作部材にはシーリング構造を採用しており、防塵・防滴設計、−10℃の耐低温設計を実現している。ボディは堅牢性に優れたマグネシウム合金フレームが採用されている。
■独自の可動方式チルトフリーアングル構造を採用する液晶モニター
背面の液晶モニターは、約184万ドットの3.0型タッチパネル液晶を採用。
270°のフリーアングル構造で、同梱のケーブルロックホルダーを取り付けた状態でも干渉しないように設計されている。
フリーアングル構造に加えて、チルトも可能な独自の可動方式チルトフリーアングル構造を採用する。チルトロック機構が設けられていないため、カメラの底面が三脚座などに接している状況でもチルト可能。モニター下部を少し強めに引くことで、チルトさせることができる。
■大型のアイカップを採用したライブビューファインダー
有機EL (OLED) ディスプレイを採用した、約368万ドットのライブビューファインダーを搭載。即応性のいいファインダーで、大型のアイカップはメガネをかけていても覗きやすい。
■動画撮影を強く意識した操作性
モードダイヤル脇にある赤いボタンは、動画記録ボタン。大きな赤色で、視認性が高い。
ボディ正面にもサブ動画ボタンが設けられている。ケージなどでカメラ上面のボタンに指が届きにくかったり、スタビライザーを右手で支えている状態でも、無理のない姿勢で動画撮影ができるようになっている。
動画撮影時には背面液晶モニターの画面が赤枠で囲まれ、録画状態であることが一目でわかるようになっている。また、動画撮影中のピント位置を確認できる「動画ライブビュー拡大表示」にも新たに対応した。
動画ボタンの上にあるオーディオ情報表示ボタンを押すと、液晶モニターにオーディオ情報が表示される。「GH6」では24bitの4チャンネル音声収録が可能だ。
■人物認識AF機能は被写体の状態に対応して追尾
AFエリアは「LUMIX GH5」の225点から315点に拡張され、カバーエリアも画面全体ではないものの、大幅に広がっている。人物認識AF機能は「顔・瞳認識」、後ろ向きの人物の頭部をとらえる「頭部認識」、遠くの人物を捉える「人体認識」に対応し、被写体の状態に応じて自動で切り換えながらフォーカスし続けることができる。また、AFの作動範囲を制限する「フォーカスリミッター」を設定することも可能になっている。
■GH5シリーズと共通のバッテリーを採用
バッテリーは大容量「DMW-BLK22」で、GH5シリーズと共通。USB給電・充電に対応しており、電源コンセントやパソコンから電力を供給 (給電) しながら撮影・再生ができる。
■ケーブル抜けを防ぐケーブルホルダーを同梱
ボディ側面には、各種端子が配置されている。上からマイク端子、ヘッドホン端子、USB端子、HDMI端子。同梱のケーブルホルダーを装着すると、カメラからケーブルが抜けてしまうことを防止できる。
■記録メディアはCFexpress Type BカードとSDメモリーカードに対応
記録メディアはCFexpress Type BカードとSDメモリーカードに対応し、それぞれのカードスロットを1基ずつ搭載する。5.7K/30pのProRes 422 HQやCinema4K 60p ALL-Iなど、800Mbps以上の高ビットレートでの内部記録には、CFexpressカードが必要となる。また、600Mbps以下のビットレートでは、CFexpressカードがいっぱいになったらSDメモリーカードに記録する順次 (リレー) 記録や振り分け記録が可能だ。
歴代GHシリーズも展示
会場には、歴代のGHシリーズが展示されていた。
初代「GH1」のレッドモデル。「GH6」とは対照的な丸みを帯びたデザインになっている。
「GH6」の内部構造が分かる分解モデルも展示されていた。マイクロフォーサーズのLive MOSセンサーが思いのほか小さいというのが印象的だった。
LUMIX GH6 主な仕様
品番 DC-GH6 (ボディ)、DC-GH6H (Lキット)
有効画素数 2521万画素
撮像素子 4/3型 Live MOSセンサー
マウント マイクロフォーサーズマウント
ISO感度 ISO 100~25600 (拡張 ISO 50 / 125)
シャッター速度 [静止画] メカシャッター 60~1/8000秒、電子シャッター 60~1/32000秒 [動画] 1/25~1/25000秒
ファインダー 0.5型 有機ELライブビューファインダー
画像モニター 3.0型 約184万ドット 液晶モニター (静電容量方式タッチパネル)
記録媒体 CFexpress Type Bカード、SD/SDHC/SDXCメモリーカード (ビデオスピードクラス90対応)
外寸 (幅×高さ×奥行き) 約138.4×100.3×99.6mm (突起部を除く)
質量 約739g (本体のみ) / 約823g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 バッテリーパック、バッテリーチャージャー、ACアダプター、USB接続ケーブル (A-C)、BNC変換ケーブル (TC IN/OUT 専用)、ケーブルホルダー、ショルダーストラップ、ボディキャップ、アイカップ、ホットシューカバー、フラッシュシンクロ端子キャップ