機材レポート

LUMIX S5のハイレゾモードで撮った!“緻密なモノを撮りたい症候群”になること必至の再現力

相原正明さんはパナソニックのカメラが大のお気に入り。なかでも評価しているのが高解像度の緻密な写真を楽しめるハイレゾモード機能。この冬、愛用のフルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S5」を携えて北海道へ向かった相原さんから、ハイレゾモードで撮り下ろした風景の最新ショットが届きました。レポートとともにご覧ください。

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー

目次

  1. ハイレゾモード作品ギャラリー
  2. 最大9600万画素相当の超高解像写真が手軽に撮影できる
  3. ここまで表現できるのか!
  4. 風景だけじゃない! 寄りの撮影もハイレゾモードで
  5. ハイレゾモードを最大限に生かすための「3つのお約束」

まずはこちらから! LUMIX S5 × 相原正明 ハイレゾモード作品ギャラリー

最大9600万画素相当の超高解像写真が手軽に撮影できる

1930年代、アメリカに「グループf/64」という写真集団が存在した。当時の大型カメラでもっとも緻密に写るとされた絞り値F64で撮ることを念頭に置いた集団で、アンセル・アダムスやエドワード・ウェストンがメンバーだったことでも有名だ。それぐらい過去の時代から、「緻密に写真を撮りたい」というのは風景や静物をモチーフとする写真家の強い願望だ。

昔の大型カメラではさぞや大変だったはずだが、実は、今や誰でも緻密な写真を手軽に楽しむことができる。それがパナソニック「LUMIX S5」のハイレゾモードだ。1回の撮影で複数回のシャッターを切り、カメラ内で合成することで、最大9600万画素相当の高解像写真を撮ることができるこの機能は、ファインダー越しに見た風景の隅々まで、あたかも手で触れるぐらいに緻密に撮ることができる。それがこちらの霧氷の写真で、北海道の十勝で撮影したものだ。気温は−20℃を下回っていた。

樹氷の白さと質感をリアルに描く

木々の枝の樹氷の質感を見て欲しい。ただし今回は樹氷の輝きがギラギラしないように彩度を若干下げている。撮影は白の輝きを重視してフォトスタイル「ナチュラル」に設定、余分な色が浮き上がるのを抑えることで、より木々の枝の氷の質感が表現できるようにした。作品を5mぐらいのプリントでお見せできないのが残念だ。

そして「LUMIX S5」の長所が白の再現性の高さ。“白”が濁らずしっかり“白”としてJPEG撮影で表現できる。これは雪の風景はもちろん、白い皿が基調の料理写真などでも最強だ。

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S. 絞り優先AE F10 1/200秒 −0.3補正 ISO100 WB : 晴天 フォトスタイル : ナチュラル 北海道 十勝 糠平湖付近 (三脚使用)
LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
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バッテリーの耐寒性能が素晴らしい

付け加えておきたいのがバッテリーについて。今回、厳冬の北海道で使ったわけだが一度も音を上げることがなかった。LUMIX Sシリーズはバッテリーが自社開発製造とのこと。ミラーレス機では最強の耐寒性のバッテリーと言っても過言ではない。

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー

ここまで表現できるのか!

こちらの作品は北海道・三国峠で撮影。朝日が高原の木々を背景から浮かび上がらせている。やはり木々の枝の一本一本の質感が、手で触れられるのではないかと錯覚されるほど緻密に表現されている。そして背景の原生林の木々の描写も、ここまで表現できるのかと思わせてくれるほど緻密に出ている。

ディテールを緻密に表現することで木々の存在感が際立つ

動体ブレを防ぐために、絞りはやや開け気味で速いシャッター速度 (1/60秒) を選択した。手前の木々の枝の再現力に注目してほしい。存在感が明確に描写されている。さらに、遠景の山々と雲が朝日で照らされて一見ハイライトが飛びそうな状況だが、ダイナミックレンジがとても広いため、飛ばずに粘り強く表現されている。

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S PRO 24-70mm F2.8 絞り優先AE F4.5 1/60秒 −0.3補正 ISO100 WB : 晴天 フォトスタイル : 風景 北海道 三国峠 (三脚使用)
LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
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風景だけじゃない! 寄りの撮影もハイレゾモードで

最後は風景ではなく室内で撮った花の写真。花弁のしっとりした質感再現と、花の丸みを帯びた立体感の表現を見ていただきたい。特に注目してほしいのが、茎から花弁になる部分の質感と色再現。茎の繊維の一本一本が確実に表現されている。これはまさに大型カメラの世界に等しい。「LUMIX S5」のハイレゾモードの質感描写は、風景、建築、料理など静物写真に最高の画質が簡単に手に入るので本当にオススメだ。

花弁のしっとりした質感と色彩のグラデーションを忠実に再現

花が硬くならないよう、LEDを光源とした定常光撮影で柔らかく表現。室内撮影の場合は、床がしっかりしていないとブレてしまうから、木造家屋などでは要注意。マンションの場合でも屋外を走る大型車両などの振動に注意すること。

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S PRO 50mm F1.4 絞り優先AE F11 1.3秒 −1.7補正 ISO400 WB : 白熱灯 フォトスタイル : 人物 (LED光源、三脚使用)
LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー
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ハイレゾモードを最大限に生かすための「3つのお約束」

ところで、ハイレゾモード撮影にはいくつかのお約束が存在する。

  1. 複数の画像を合成するので動いている被写体は撮れない。
  2. 三脚を使用すること。しっかりした三脚がいい。さらに雲台もしっかりした3way雲台が望ましい。自由雲台ではブレてしまう可能性がある。
  3. 安定した足場があること。例えば橋の上からの撮影では、人間の感覚ではわかりにくいが、常に橋が揺れているためブレた画像になりやすい。

この3点に気をつけていただければ、シャッターを押すだけで超高画質の写真が簡単に撮れるだろう。

LUMIX S5」のハイレゾモードを使い始めると、“緻密なモノを撮りたい症候群”に襲われてしまう。特にパターン化した風景や建築、あるいは繊細な質感のものを無意識に探してしまうのだ。もし現代にアンセル・アダムスが生きていたら、彼は迷わず「LUMIX S5」のハイレゾモードを選択しただろう。ただしのそのかわりに僕は失業したかもしれないが (笑)。

→パナソニック「LUMIX S5」の詳しい情報はこちらをチェック!

パナソニック LUMIX S5

LUMIX S5 ハイレゾモード実写レビュー

有効画素数 2420万画素
撮像素子 35mmフルサイズ (35.6×23.8mm) CMOSセンサー
マウント Lマウント
ISO感度 ISO 100~51200 (拡張ISO 50 / 102400 / 204800)
ファインダー 0.39型 約236万ドット 有機ELファインダー
画像モニター 3.0型 約184万ドット 静電容量方式タッチパネル液晶モニター
AFシステム 225点コントラストAF
連写性能 約7コマ/秒
ボディ内手ブレ補正 5.0段
動画性能 4K 60p 10bit
外寸 (幅×高さ×奥行き) 約132.6×97.1×81.9mm (突起部を除く)
質量 約630g (本体のみ) / 約714g (バッテリー、メモリーカード1枚を含む)

 

〈協力〉パナソニック株式会社