富士フイルムは、APS-Cセンサーを採用するXシリーズのフラッグシップモデル「X-H2S」を2022年7月14日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は約35万円前後 (税込)。
「X-H2S」は、X-Hシリーズの最新モデル。撮像素子・画像処理エンジンを刷新。被写体検出AFとブラックアウトフリーの高速連写、6.2K動画撮影機能など、APS-Cサイズ機としては最強クラスの高いスペックを持つカメラとなっている。
■撮像素子・画像処理エンジンを刷新
撮像素子には有効約2616万画素の第5世代「X-Trans CMOS 5 HSセンサー」を採用。従来の裏面照射構造に、新たに積層型構造を採用することで、信号の読み出し速度を従来センサー比約4倍に高速化した。これによりブラックアウトフリーの高速連写、連写中のAF追従精度の向上、ローリングシャッター歪みの軽減などを可能とした。
画像処理エンジンは、従来型の約2倍の高速処理が可能となる「X-Processor 5」を搭載。AI技術を取り入れた被写体検出AFや高度なコーデックが必要な動画フォーマットへの対応、高速書き込みが可能なCFexpress Type Bカードへの記録を実現した。
■40コマ/秒のブラックアウトフリー連写
新型CMOSセンサーの採用により、最高40コマ/秒のブラックアウトフリー連写を実現。センサーの高速読み出しにより、ライブビューが途切れることなく連写し続けると同時に、位相差情報は従来機比で約3倍もの演算回数を確保した。このことによりAF/AEを追従した状態で40コマ/秒の高速連写を行えるようになった。
また、大容量のバッファメモリーを搭載して、連写時の連続記録枚数が増加。JPEG画像では30コマ/秒、RAWファイルでは20コマ/秒の高速連写で、1,000枚以上の画像を記録し続けることができる。
■AIによる被写体検出AF
撮像素子・画像処理エンジンの大幅な性能向上とAFの予測アルゴリズムの刷新により、動体追従性能やゾーンAF、低コントラスト・低照度下でのAF精度が大幅に向上。激しい動きの被写体も正確に捉え続けることが可能となった。
従来からの顔・瞳AFに加え、ディープラーニング技術を用いて開発した被写体検出AFを新たに搭載。動物、野鳥、車、バイク、自転車、飛行機、電車を被写体として設定すると、AIで検出することができる。これにより、撮影者はシャッターチャンスや構図に集中できるようになる。
■最大7.0段のボディ内手ブレ補正
新開発のボディ内手ブレ補正機構は、新センシング制御機能などにより、微細なブレを検出する能力が高まり、最大7.0段分の補正効果が得られる5軸手ブレ補正機構となっている。被写体の動きが激しいスポーツシーンや夜景などの低照度下でも快適な手持ち撮影を可能とする。
■576万ドットの高精細EVFとバリアングル液晶モニター
ファインダーには、約576万ドットの有機ELパネルを使用。表示フレームレートは120フレーム/秒で滑らかなライブビュー表示を可能としている。ファインダー倍率は0.8倍を確保。光学系は非球面レンズを多用した高精度で見やすいものとなっている。
背面の液晶モニターは約162万ドットの3.0型で、バリアングルタイプを採用。HDMIとマイクのケーブルと干渉しないよう配慮されている。
■フィルムシミュレーションに「ノスタルジックネガ」を追加
富士フイルムならではの作画機能であるフィルムシミュレーションモードは、「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」などの定番モードに加え、「GFX100」「GFX100S」に搭載されて好評だった「ノスタルジックネガ」が、Xシリーズとしては初めて加えられ19種となった。
■6.2K/30Pや4K/120Pの高度な動画撮影に対応
6.2K/30P 4:2:2 10bitの内部記録に対応。豊富な色情報を残したまま高精細な映像を記録できる。4Kでは、120Pハイスピード動画撮影に対応し、高精細なスローモーション映像を作ることが可能。小さいボディではあるが、新しい放熱構造を採用し、別売の縦位置バッテリーグリップ「VG-XH」を併用することで4K/60P動画を連続240分の記録が可能となった。
さらに、高度な映像制作を可能にするProRes 422HQ、ProRes 422、ProRes 422LTの3つのApple ProResコーデックに対応。ProRess Proxyなどのプロキシ撮影も可能となった。また、ダイナミックレンジを14+stopに拡げた「F-Log2」も搭載する。
■記録メディアにCFexpress Type Bを採用
高速書き込み能力を持つCFexpress Type Bと汎用性の高いSDメモリーカード (UHS-II対応) に対応したデュアルスロットを採用。「X-H2S」の超高速連写、高精細動画の性能を余すことなく使い、記録することができる。
■操作性に優れ、高い耐候性を持つボディ
しっかりとホールドできる大型のグリップを持つボディは高剛性。79か所にシーリングが施された防塵・防滴・耐低温構造となっている。上面は「GFX100S」に似たレイアウトになっており、グリップ上部にシャッターボタン、その後ろ側に各種操作ボタン類、大型の情報パネルを配置。左手側の上面にモードダイヤルが設けられている。なお、シャッターユニットは50万回の動作テストをクリアした高耐久仕様となっている。
■リモート動画撮影を強化
「X-H2S」と別売のファイルトランスミッター「FT-XH」を組み合わせることで、有線LAN/無線LANでのリモート録画を実現。ブラウザから最大4台までの「X-H2S」を同時にコントロールできる。その際、各種設定をパソコンから行い、4台のモード設定を揃えられる。
HDMI端子からは最大6.2K/29.97P 12bitの動画RAWデータ出力が可能。ATOMOS社製のHDMIフィールドモニター/レコーダーでの記録に対応する。
アクセサリー
■縦位置バッテリーグリップ VG-XH
「X-H2S」用の縦位置グリップ。充電式バッテリー「NP-W235」を2本装着でき、長期間の撮影をサポートする。シャッターボタンをはじめ、各種ボタン類、ダイヤル類を使いやすい位置に配置。防塵・防滴・耐低温に対応する。発売は2022年7月14日。希望小売価格は72,600円 (税込)。
■ファイルトランスミッター FT-XH
スタジオテザー撮影や報道撮影に必要な有線LAN通信と高速無線通信の機能を持つトランスミッターを内蔵する縦位置グリップ。充電式バッテリー「NP-W235」を2本装着できる。発売は2022年9月の予定。希望小売価格は181,500円 (税込)。
■冷却ファン FAN-001
「X-H2S」の背面にケーブルレスで装着し、本体を冷却するアクセサリー。バリアングル液晶モニターを引き出し、液晶モニターが収まっていた部分に左右のネジで固定。電源はボディから供給される。長時間の撮影や高温環境下での動画撮影の際に役立つ。発売は2022年7月14日。希望小売価格は37,400円 (税込)。
■カバーキット CVR-XH
「X-H2S」専用の端子類を保護するカバーキット。スペア用として5点のカバーが用意されている。発売は2022年7月14日。希望小売価格は4,400円 (税込)。
FUJIFILM X-H2S 主な仕様
有効画素数 約2616万画素
撮像素子 APS-Cサイズ X-Trans CMOS 5 HSセンサー
マウント 富士フイルムXマウント
ISO感度 常用 ISO160〜12800、拡張 ISO80〜ISO51200相当
シャッター速度 メカシャッター 1/8000秒〜15分、電子シャッター 1/32000秒〜15分、バルブ
ファインダー 0.5型 有機EL 約576万ドット EVF
液晶モニター 3.0型 約162万ドット バリアングル式液晶モニター (静電容量方式タッチパネル)
記録媒体 CFexpress Type B、SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-II対応)
幅×高さ×奥行き 約136.3×92.9×84.6mm (最薄部 42.8mm)
質量 約579g (本体のみ)、約660g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 充電式バッテリー NP-W235、ACパワーアダプター AC-5VJ、プラグアダプター、専用USBケーブル、ショルダーストラップ、ボディキャップ、ホットシューカバー、ファイルトランスミッター/縦位置グリップ用端子カバー、メモリーカードスロットカバー、シンクロターミナルカバー、冷却ファン用端子カバー、ケーブルプロテクター