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激動の昭和を撮り続けた土門拳の全仕事を凝縮した写真集『新版 土門拳の昭和』

土門拳の写真を厳選した写真集『新版 土門拳の昭和』が発売された。

新版 土門拳の昭和

 

本書は、土門拳の歩みが代表作を中心に概観できるものだ。土門は戦前から名取洋之助のもとで報道写真を学ぶ一方で、文楽や職人たち、仏像の撮影に取り組んだ。敗戦後は町の人々を記録し、『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』といった名作につながっていく。

激動の昭和を捉えた土門の仕事を「戦前・戦中の仕事」「戦後日本の歩みとともに」「風貌」「日本の美」の4部で構成し、約300点の写真で一望する。巻末には写真家や女優ら土門と関わりのあった4名の文章を収載したほか、新版として土門による写真論を追加した。

新版 土門拳の昭和

監修 池田真魚、藤森 武
体裁 B5判変型・208ページ
価格 2,970円(税込)
発売日 2022年4月28日
発行元 クレヴィス

 

土門拳

土門 拳 (Ken Domon)

1909年、山形県酒田市生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935年、ドイツから帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」をカメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958年に写真集『ヒロシマ』(研光社) を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960年刊行の写真集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店) は10万部を超えるベストセラーとなる。その後、仏像や寺院、古陶磁などの伝統工芸品や風景など、一貫して日本を撮り続けた。1990年、逝去。
→ 土門拳記念館

 

〈文〉市井康延