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1億画素センサー、1TBのSSD搭載! フラッグシップ中判ミラーレス「ハッセルブラッド X2D 100C」を触ってきた

ハッセルブラッドは、中判ミラーレスカメラのフラッグシップモデル「X2D 100C」と3本のXCDレンズ「XCD 2,5/38V」「XCD 2,5/55V」「XCD 2,5/90V」を発表した。日本国内では「X2D 100C」とレンズ2本はいずれも2022年9月9日発売、「XCD 2,5/90V」は発売時期未定。原宿のハッセルブラッド ストア 東京でタッチ&トライイベントが開催されたので、さっそく触ってみた。

X2D 100C

1億画素センサーを搭載したフラッグシップ中判ミラーレス「X2D 100C」

■アルミニウム合金の削り出しボディ

ボディカラーは、新色のダークグレー。淡い黒色といった印象で、軽さを感じさせる。光と影が収束していく繊細な色合いを表現したものということだ。フォルムは、ハッセルブラッドXシステムのスカンジナビアデザインを引き継ぎ、滑らかなカーブを描いている。上下パーツはアルミニウム合金から削り出したものだ。

X2D 100C

質量は790gで、ニコン「Z 9」(1160g) よりは軽いものの、ソニー「α1」(652g)、キヤノン「EOS R5」(650g) よりも重く (いずれもカメラボディのみ)、しっかりとした重量感がある。参考価格は1,210,000円 (税込)。

■従来モデルよりも性能が大幅に進化

次世代の中判ミラーレスカメラという位置付けの「X2D 100C」は、1億画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載する。センサーサイズは43.8×32.9mmで、最大15段のダイナミックレンジを実現。色深度は16ビットで、ハッセルブラッド・ナチュラルカラー・ソリューション (HNCS) により、ハイライトからシャドーまでの階調を捉えることを可能にする。また、5軸のボディ内手ブレ補正システム「IBIS」により、最大7段の補正効果を発揮。さまざまな条件下で手持ち撮影が可能だ。AFは294点の位相差検出オートフォーカス (PDAF) を採用。位相差AFのカバー率は97%となっている。

X2D 100C

 

「X2D 100C」は画質、カメラのハンドリング、システムの応答性など、技術面が大幅に強化されている。グリップ上部には、カメラのステータスや撮影パラメーターを表示する1.08インチのフルカラー「トップディスプレイ」を新たに搭載する。背面液晶モニターは3.6インチ・236万ドットのチルト式タッチパネルで、実物に近い正確な色合いで表示する。

X2D 100C

 

全体の印象は、従来モデル「X1D II 50C」(2019年発売) と大きく変わっていないものの、操作系は違ったものになっている。ダイヤル式だった撮影モードのセレクトは、新搭載のフルカラートップディスプレイに変わった。背面液晶モニターのサイズは同じだが、固定式からチルト式になった。また、電子ビューファインダー (EVF) は369万画素の有機ELで、フレームレート60fps。「X2D 100C」ではシャッターレスポンスを65%向上させ、ファインダーのブラックアウト時間は70%に短縮した。比べると「X2D 100C」がいかに進化したかが分かる。

X1D II 50C
従来モデル「X1D II 50C」

 

シャッターボタンには「H」の文字が彫られている。トップディスプレイ手前のメインスイッチを押すとバッテリー残量が表示される。長押しするとカメラが起動するようになっている。

X2D 100C

 

ボディ側面にはUSB Type-C 3.1 Gen2ポートを搭載し、最大10Gbpsの伝送速度を実現する。また、Wi-Fiは、2.4GHz/5GHzの2つの周波数帯に対応し、干渉が少なく、高速で安定した伝送を実現した。記録メディアはCFexpress Type Bカードに対応する。

X2D 100C

 

ユーザーインターフェースは細部まで設計されており、直感的なタッチ操作ができる。ちなみに電子視度調整機能を搭載しており、視度補正もデジタル化されている。
X2D 100C

■大容量1TBのSSDを内蔵

中判カメラとして初めて1TBのSSDを内蔵する。最大書き込み速度は2370MB/sで、最大読み込み速度は2850MB/sを実現。ファイル形式は、16ビットの3FR RAWとフルサイズJPEGの記録が可能だ。

X2D 100C

 

液晶モニター右下の数字は、内蔵SSDだけで3564カットの撮影ができることを示している。容量を気にすることなく高速な書き込みができる安心感を得られるのは大きなメリットだろう。

X2D 100C

 

マニュアルフォーカス時の液晶表示。画面中央の円の上に矢印が表示され、真上に来て合焦するとグリーンに表示が変わる。画面は明るく見やすくて、ピント合わせもしやすい。

X2D 100C

 

電源は充電式リチウムイオンバッテリー (7.27V DC/3400mAh) で、旧タイプのオレンジのOリングのものも使用できる。またUSB Type-Cポートを介してUSB PD 3.0対応の高速充電が可能。付属の30W USB-C充電器での充電時間は約2時間だ。サードパーティー製の充電器も使用可能となっている。

X2D 100C

 

ストラップホルダーが、往年のハッセルブラッドと同じフックタイプになった。丸いリングに引っ掛ける独自形状のため、汎用のストラップが使えないが、ハッセルファンにとっては朗報と言えるかもしれない。

X2D 100C

XCDレンズ3本が同時発表

「XCD 2,5/38V」「XCD 2,5/55V」「XCD 2,5/90V」は、いずれも性能を向上させたフォーカシングモジュールを採用し、より高速で正確なオートフォーカスを実現した。従来通り、どのシャッター速度でもストロボ同調が可能だ。3本の新レンズの登場により、XCDレンズは13本になった。

XCD 2,5/38V・XCD 2,5/55V・XCD 2,5/90V

 

金属製の鏡筒には、フォーカスリングとレンズコントロールリングを搭載する。手前の細いリングがレンズコントロールリングだ。コントロールリングには、ISO感度や絞り、シャッター速度、露出など好きな機能を設定してカスタム化できる。機能しないように「設定なし」を選ぶことも可能だ。

XCD 2,5/55V

 

フォーカスリングは、プッシュ&プル機能を備えている。前に押し出すとMFになり、絞り値に応じた被写界深度 (DOF) が表示される。手前に弾くとAFになる。

XCD 2,5/55V

 

「XCD 2,8/65」(左) と「XCD 2,5/55V」(右)。丸みを帯びたやわらかい印象のデザインから、カッチリとした鋭角的なデザインに一新されている。全体にギュッと詰まってコンパクトさを感じさせるものになった。

XCD 2,8/65・XCD 2,5/55V

XCD 2,5/38V

3枚の非球面レンズを含む9群10枚のレンズ構成で、ディストーションを抑えた35mm判換算30mm相当の広角レンズ。ドキュメンタリー撮影、ストリート写真、風景写真の撮影に適している。広い画角で背景を多く取り入れ、背景ボケを生かして被写体を際立たせたり、絞りを絞ることで発生する8本の光条のスターバースト効果を生かした撮影ができる。

XCD 2,5/38V

最適化されたレンズシャッターのシャッター速度は最速1/2000秒で、全てのシャッター速度でストロボ同調が可能。シャッター音は小さく抑えられてる。また、新設計されたフォーカシングモジュールにより、迅速で正確なフォーカス調整が可能だ。重量は350gにも関わらず、トップクラスの光学性能を発揮する。参考価格は583,000円 (税込)。

XCD 2,5/55V

3枚の非球面レンズを含む8群9枚構成の35mm判換算43mm相当となる標準レンズ。人間の目の見え方に近い遠近感を再現し、開放F値2.5による柔らかいボケ感を実現する。全身から上半身のポートレート写真の撮影に適するほか、ドキュメンタリーや静物写真、日常の撮影など幅広いシーンで活躍する。

XCD 2,5/55V

シャッター速度は最速1/2000秒で、全てのシャッター速度でのストロボ同調が可能。新設計のフォーカシングモジュールと最適化されたレンズシャッターを搭載する。参考価格は583,000円 (税込)。

XCD 2,5/90V

非球面レンズ1枚を含む6群9枚構成の35mm判換算71mm相当となる中望遠レンズ。やわらかく美しいボケ味を生かして被写体を際立たせることができ、クローズアップのポートレート撮影や静物撮影に適したレンズとなっている。

XCD 2,5/90V

新設計のフォーカシング モジュールを搭載。シャッター速度は最速1/4000秒で、全てのシャッター速度でストロボ同調が可能だ。重量はわずか551gで、「XCD 3,2/90」よりも11%の軽量化を実現している。参考価格は671,000円 (税込)。発売日は未定だ。

主な仕様

HASSELBLAD X2D 100C

有効画素数 1億画素
撮像素子 裏面照射型 43.8×32.9mm CMOSセンサー
マウント ハッセルブラッドXマウント
ISO感度 ISO 64〜25600
シャッター速度 68分〜1/4000秒 (XCDレンズ使用時)
ファインダー 576万ドット 電子ビューファインダー
画像モニター 3.6型 236万ドット タッチパネル液晶モニター (チルト角 40°/ 70°)
記録媒体 1TB内蔵SSD、CFexpress Type Bカード
幅×高さ×奥行き 148.5×106×74.5mm
質量 790g (本体のみ) / 895g (バッテリーを含む)

HASSELBLAD XCD 2,5/38V

マウント ハッセルブラッドXマウント
焦点距離 38mm (35mm判換算 30mm相当)
絞り F2.5〜F32
画角 (対角 / 水平 / 垂直) 70° / 59° / 46°
レンズ構成 9群10枚 (非球面レンズ3枚)
最短撮影距離 0.30m
最大撮影倍率 1:6.2
フィルター径 φ72mm
最大径×全長 φ76×68mm
質量 350g (レンズキャップ、レンズシェードを除く)

HASSELBLAD XCD 2,5/55V

マウント ハッセルブラッドXマウント
焦点距離 55mm (35mm判換算 43mm相当)
絞り F2.5〜F32
画角 (対角 / 水平 / 垂直) 53° / 43° / 32°
レンズ構成 8群9枚 (非球面レンズ3枚)
最短撮影距離 0.45m
最大撮影倍率 1:6.4
フィルター径 φ72mm
最大径×全長 φ76×72mm
質量 372g (レンズキャップ、レンズシェードを除く)

HASSELBLAD XCD 2,5/90V

マウント ハッセルブラッドXマウント
焦点距離 90mm (35mm判換算 71mm相当)
絞り F2.5〜F32
画角 (対角 / 水平 / 垂直) 34° / 28° / 21°
レンズ構成 6群9枚 (非球面レンズ1枚)
最短撮影距離 0.67m
最大撮影倍率 1:5.8
フィルター径 φ72mm
最大径×全長 φ75×95mm
質量 551g (レンズキャップ、レンズシェードを除く)