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カメラの語源になった“暗い箱”からデジタルまで! 貴重なカメラで一眼レフの歴史をたどる「一眼レフカメラ展」

カメラの主流は一眼レフからミラーレスへと移りつつある。日本カメラ博物館では特別展「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」を開く。会期は2023年2月7日〜6月18日。

日本カメラ博物館「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」

 

一眼レフカメラは一つのレンズを通した光をフィルム (感光面) とファインダーに導く型式を指す。その歴史は戦後、旭光学工業が発売した「アサヒフレックス」から始まったと思っている人はいないだろうか。

実際は写真が発明される以前、画家がデッサンなどに使用していた「カメラ・オブスクラ」は一眼レフ形式だった。19世紀から20世紀前半ごろまでは大型木製一眼レフカメラも使用されていた。

日本カメラ博物館「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」
正確に絵を描くために使用された光学器具「カメラ・オブスクラ」。ラテン語で“カメラ”は部屋、“オブスクラ”は暗いという意味で、「カメラ」の語源となった。
日本カメラ博物館「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」
最初のフランス製一眼レフカメラ「オルソスコープ」1890年 トゥールタン (フランス)

 

35mm判カメラは当初ライカ型の透視ファインダーカメラが主流で、一眼レフカメラは亜流。日本のカメラメーカーが魅力的な一眼レフカメラを開発し続けたことで、「カメラ=一眼レフ」となり、日本がカメラ大国となった。

日本カメラ博物館「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」
初期の金属製小型精密一眼レフ「エキザクタ」1933年 イハゲー (ドイツ)

日本カメラ博物館「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」
国産初の35mm判一眼レフ「アサヒフレックス I」1952年 旭光学工業 (日本)

 

本展では「カメラ・オブスクラ」から現在のデジタルカメラまでを一堂に展示し、その歴史の長さや深さ、発展の経緯をたどる。また、数機種だが一眼レフカメラの試作機なども展示予定だ。

アナログな光学ファインダーとともに、ミラーやシャッターが複雑に連動し正確に作動する精密さは、人の感性を魅了し続けることだろう。再度、カメラの歴史を探索してみよう。

主な展示予定品

  • カメラの語源となった写真発明以前の光学器具「カメラ・オブスクラ」1790年頃 (製造不詳)
  • 最初のフランス製一眼レフカメラ「オルソスコープ」1890年 トゥールタン (フランス)
  • 乾板使用の木製一眼レフカメラ「ソホレフレックス」1910年 マリオン (イギリス)
  • 初期の金属製小型精密一眼レフカメラ「エキザクタ」1933年 イハゲー (ドイツ)
  • 6×6判の画面を撮影するフォーカルプーレンシャッター式一眼レフカメラ「プリマレフレックス」1936年 クルト・ベンツィン (ドイツ)
  • ポロミラーによるアイレベルファインダー、クイックリターンミラーを備える一眼レフカメラ「デュフレックス」1943年 ガンマ(ハンガリー)
  • ファインダーに初めてペンタプリズムを使用した一眼レフカメラ「コンタックス S」1949年 VEBツァイス・イコン (東ドイツ)
  • 国産初の35mm判一眼レフカメラ「アサヒフレックス I」1952年 旭光学工業 (日本)
  • 国産初のペンタプリズム搭載35mm一眼レフカメラ「ミランダ T」1955年 オリオンカメラ (日本)
  • ボディの内部機構と連動する自動絞り方式「ズノー」1958年 ズノー光学工業 (日本)
  • 下降式クイックリターンミラー、フォーカルプレーンシャッターを備えた6×6判一眼レフカメラ「ゼンザブロニカ (D)」1959年 ブロニカカメラ (日本)
  • ハーフ判のレンズ交換式一眼レフカメラ「オリンパス ペンF」1963年 オリンパス光学工業(日本)
  • マイコン搭載で大幅に電子化、内部ユニット化などで高性能・低価格を実現「キヤノン AE-1」1976年 キヤノン (日本)
  • 交換レンズのAF駆動源をボディ側に持つAF一眼レフカメラ「ミノルタ α7000」1985年 ミノルタカメラ (日本)
  • 当時としては低価格の65万円で発売し、デジタル一眼レフカメラの普及に貢献「ニコン D1」1999年 ニコン (日本)

日本カメラ博物館 特別展「暗い箱からデジタルまで 一眼レフカメラ展」

会期 2023年2月7日 (火) 〜6月18日 (日)
会場 日本カメラ博物館
住所 東京都千代田区一番町25 JCIIビル地下1階
時間 10:00〜17:00
休館日 月曜 (祝日の場合は翌日休館) ※GW期間中 (4月29日~5月7日) は開館
入館料 一般300円、中学生以下無料
問い合わせ 日本カメラ博物館 (TEL 03-3263-7110)

 

 

〈文〉市井康延