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土門拳が撮った“昭和の子どもたち” 名作を一挙に収めた写真集『土門拳のこどもたち』

写真集『土門拳のこどもたち 』が発売された。

土門拳写真集『土門拳のこどもたち』

 

子どもを好んで撮った土門拳の写真から、時代、撮影地によって編纂した。

1937年、横浜の道端には飴細工売りが店を広げ、子どもが買いに寄る。制服を着た子は革靴を履き、普段着の子はズックだ。人々の服装は質素で、現代の日本に生まれた人の目には、どこの発展途上国かと思うだろう。ただ子どもらの表情は豊かで一途だ。

北野武さんは巻末に寄せた一文に「昭和は子どもたちが守られている時代」と記す。

土門拳写真集『土門拳のこどもたち』

体裁 B5判変型・192ページ
価格 2,970円(税込)
発売日 2022年11月28日
発行 クレヴィス

 

土門 拳 (Ken Domon)

1909年、山形県酒田市生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935年、ドイツから帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」をカメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958年に写真集『ヒロシマ』(研光社) を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960年刊行の写真集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店) は10万部を超えるベストセラーとなる。その後、仏像や寺院、古陶磁などの伝統工芸品や風景など、一貫して日本を撮り続けた。1990年、逝去。
→ 土門拳記念館

 

〈文〉市井康延