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今の自分が感じた世界を“ありのまま”に写した柿本ケンサク写真展「As is」開幕

キヤノンギャラリー開設50周年を記念して開催されている「キヤノンギャラリー50周年企画展」の第5弾が、2023年11月24日にスタートした。映像演出家・写真家の柿本ケンサクさんによる写真展で、品川のキヤノンギャラリーS、キヤノンギャラリー銀座・大阪の3拠点で順次開催される。

柿本ケンサク写真展「As is」

在るものを「ありのまま」に捉えた不思議な魅力の写真展「As is」

写真展のタイトルは3拠点共通で、“ありのまま、あるがまま” という意味の「As is」。人生は「雨粒の一滴」のような点の連続と捉えている柿本さん。私たちが生活する社会には無数の「点」が存在しており、それらを「ありのまま」の姿で撮影することをライフワークとしていることから名付けたものだ。

柿本ケンサク写真展「As is」
柿本ケンサクさん

 

メイン会場となるキヤノンギャラリーSには、新作を中心に映像作品1点を含めた30点が展示されている。真っ暗な空間に見応えのある大判のプリントが並び、没入感のある空間になっている。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

キヤノンギャラリー銀座では、2022年に京都の清水寺で開催された「柿本ケンサク写真展 -TIME- 音羽山清水寺」を再構成して展示。キヤノンギャラリー大阪では、これまでの作品を俯瞰できるヒストリー的な構成の展示となっている。関東で発表してきた作品を関西に持っていくようなイメージとのことだ。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

「ありのまま」を撮るプライベートの写真に対して、仕事で撮る広告写真や映像制作は演出して作り込む作業が多い。「ありのまま」とは対極にあるものだが、最近は仕事とパーソナルワークをあえて意識して分ける必要がないと感じるようになってきたという。タイトルの「As is」にはそういう意味も込められている。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

これまでの「ありのまま」と切り取り方の視点を変えて撮った作品も展示されている。下の作品は「Trimming」シリーズの延長としてヴェネチアで撮影した。何年にもわたって、ポスターが貼られては剥がされ続けてきた街角の壁を捉えたものだ。「表現の歴史」が重なっているのが面白いと感じ、シャッターを切ったそうだ。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

展示されている作品の中には、ピントを合わせていないものもある。本来、写真はピントを合わせて撮るものなのだが、表現上の境界を曖昧にして撮ってみた。これも「As is」だと柿本さんは言う。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

品川で展示されている新作は、キヤノン「EOS R5」を手に4か国を巡って撮影したもので、特別な加工はされていない。トリミングもせずに、撮りっぱなしに近い状態だという。撮影に使ったレンズは「RF24-70mm F2.8 L IS USM」。以前は50mmがメインだったこともあり、ランドスケープやスナップショットなどでは50〜70mmを使うことが多いそうだ。

「引きで撮りたいと思わないこともないが、むしろもう少し切り取りたいと感じることの方が多い」と柿本さん。全体をきれいにフレーミングしすぎると、絵はがき写真のようになってしまいがち。「写真はどう切り取るかのプレゼンテーションだ」と柿本さんは言い切る。ちなみに展示作品は、キヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」で出力されている。

柿本ケンサク写真展「As is」

 

映像作品「en」(制作 : Butterfly Studio) は、千葉県誕生150周年記念事業の一環として今年10月に開催された「百年後芸術祭 ‐内房総アートフェス‐」のために制作したもの。約50分の作品のうち、およそ7割が作品画像や映像を学習させたAIで生成されている。そこに、音楽家の小林武史さんによる音楽とクリエイティブディレクターの大木秀晃さんによるテキストが組み合わされ、見応えのあるものになっている。上映時間は短くはないが、次々と変わる映像に引き込まれ、会場でも途中で席を離れる人はほとんどいなかった。

柿本ケンサク写真展「As is」

スペシャルトークイベントも開催

映像作品「en」の制作にも関わった音楽家の小林武史さん、クリエイティブディレクターの大木秀晃さんをゲストに迎えたスペシャルトークイベントが開催される。映像作品の舞台裏など、貴重な話が聞けそうだ。

キヤノンギャラリー50周年企画展 : 柿本ケンサク写真展「As is」

品川

会期 2023年11月24日 (金) ~2024年1月15日 (月)
会場 キヤノンギャラリーS
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日・12月29日~1月3日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリーS (TEL 03-6719-9021)

銀座

会期 2023年12月12日 (火) ~27日 (水)
会場 キヤノンギャラリー銀座
住所 東京都中央区銀座3-9-7
時間 10:30〜18:30
休館日 日曜・月曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー銀座 (TEL 03-3542-1860)

大阪

会期 2023年12月12日 (火) ~27日 (水)
会場 キヤノンギャラリー大阪
住所 大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1F
時間 10:00〜18:00
休館日 日曜・月曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー大阪 (TEL 06-7739-2125)

スペシャルトークイベント

日時 2023年12月2日 (土) 13:30~15:00
会場 キヤノンホールS (東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー3F)
出演 柿本ケンサク、小林武史 (音楽家)、大木秀晃 (クリエイティブディレクター)
定員 先着200名
参加費 無料
申し込み WEBサイトより
https://canon.jp/personal/experience/gallery/archive/kakimoto-50th-sinagawa

 

 

柿本ケンサク写真展「As is」

柿本ケンサク (Kensaku Kakimoto)

多くの映像作品を生み出すとともに、広告写真、アーティストポートレートなどをはじめ写真家としても活動。2021年大河ドラマ「青天を衝け」メインビジュアル、タイトルバックを演出。映画「恋する寄生虫」が公開。また、現代美術家としても多くの写真作品を国内外で発表。国際美術展「水の波紋2021」に選出。2022年夏「―TIME―音羽山清水寺」展を開催。浅間国際フォトフェスティバル2023 PHOTO MIYOTAに出展。
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