
ソニーストア 大阪では、2026年1月の1か月間「CREATORS HUB BASE」と題し、動画制作にまつわるさまざまなセミナーイベントやサービスを展開。クリエイターが集い、学び、創り上げていく場を提供しています。
そんな中、1月10日に行われた美容シーンの第一線で活躍するカメラマン・横山歳貴さんのセミナー「カメラマン横山歳貴とメイクアップアーティスト小川良が語る “最高のシーン” の作り方」におじゃましました。メイクの実演も行われたポートレートセミナーの様子を詳しくお伝えするとともに、ソニーストア 大阪の取り組みについても紹介します。

セミナーはメイクの途中からスタートする異例の展開
MCに紹介されて登場した横山さん。冒頭の挨拶の中で「カメラマンにとっても、モデルへのメイクのオーダーの仕方を知ることは、表現の幅を広げるために非常に重要」とテーマについて説明。その後、メイクアップアーティストの小川良さんとモデルのマリヤさんを呼び込み、小川さんによるメイクの実演がスタート。

「9割くらい完成している状態なんですけど、ここから仕上げてもらって、どのくらい変わるのかを実際に見ていただきたい」と横山さん。それを受け小川氏さんは、「今日は横山さんにモデルのマリヤさんをカッコ良く撮ってほしい」というテーマで、深みのあるリップや、アイライナーを斜め上に引き上げる技法を披露しました。また、マスカラに深いグリーン、アイシャドウにはヘルシーなブラウン系を用いることで、クールな印象を演出するプロのこだわりを解説しました。

撮影デモンストレーションでは、ソニーの最新ミラーレスカメラ「α7 V」と「FE 50-150mm F2 GM」をメインに、「FE 50mm F1.2 GM」も使用。また、シネマティックな映像表現ができる「ピクチャープロファイル」の中にある「S-Cinetone (PP11)」が活用されました。

横山さんは、モデルの「利き顔」を確認することの重要性を説き、「手前側の顔が明るくなるように光を当てる」ことで、肌の質感やメイクの色がより美しく引き立つと、細かくライティングを調整しながら撮影をしていきます。

撮影中の映像は常に大きなモニターに映し出され、参加者はそのディテールを見ることができます。

さらに、小川さんがコンシーラーで肌の赤みを丁寧にカバーすると、横山さんは「肌のトラブルをケアすることは、モデルさんの喜びと自信に繋がり、それが表情に現れる」と、撮影現場での細やかな配慮が仕上がりを左右すると強調しました。

モデルのことも考えた撮り方を実演
セミナー中盤には、リップをグロスに変え、目元にラメを加えることで、質感を生かした「ゴージャスでエレガント」な印象へのメイクチェンジが行われました。

モデルとの意思疎通について、小川さんは「言葉の定義は人それぞれなので、写真などの視覚的なイメージを共有することが最も確実」とアドバイス。横山さんもこれに同意し、アイシャドウの色彩を見せるためにあえて下から煽って撮る手法や、モデルがその日のために準備した「ワンポイント」のメイクを観察して見抜くことの大切さを語りました。「モデルさんを観察して、気づくことが大切なんです。この人は私のことを “わかってくれてる” と感じてもらうことが大事」と。

モデルのマリヤさんは、「具体的に褒められることでテンションが上がり、良い撮影ができる」とモデル側の心理を明かしました。横山さんはこれを受け、「アマチュアの方が新しいレンズを買ったりすると、“このレンズめちゃ写りキレイ” とか、レンズを褒めてしまいがち。でも新しいレンズを褒めるのではなく、そのレンズでいかにモデルさんがキレイに写っているか、モデル自身を褒めるべきです」と、カメラマンが陥りがちな注意点を笑いを交えて指摘しました。

横山さん、小川さん、マリヤさんの3人は常に息がぴったりで、会場は終始和やかな雰囲気に包まれながら、その実践的な内容に参加者が熱心にメモを取ったり、スマホで状況を撮影したりしているのが印象的でした。

人物撮影のポイントとレタッチのコツをアドバイス
後半の質疑応答で横山さんは、モデルではない一般の人物をより良く撮影する際の心得を聞かれ、「その人に興味を持ち、疑似恋愛のように好きになることで、かわいい角度や仕草が見えてくる」とアドバイス。また技術面では、関節の位置で構図を切らないことや、「撮影位置や角度が数mm違うだけで全然違う。ベストを探してほしい」と語りました。

質問は撮影後のレタッチにも及び、目の下・鼻の横・口元の肌を整えるだけで印象が劇的に変わるといった具体的なアドバイスが送られました。これには、小川さんも同意。メイクで気を付けるポイントも同じとのこと。最後に横山さんは、「レタッチに頼るのではなく、撮影段階で100点を目指し、編集はそれを120点にするための仕上げと考えるべき」というプロとしての強い信念を語り、セミナーを締めくくりました。
「メイクが主役」という視点を持つと写真が劇的に変わる
セミナー終了後、横山さんに今回のセミナーで伝えたかったことなどをお聞きしました。
「今回のセミナーで私が一番お伝えしたかったのは、写真や動画撮影における “メイクの重要性” です。服にこだわる方は多いですが、メイクまで意識が回るカメラマンはなかなかいない。アマチュアの場合、ヘアメイクさんが帯同する撮影機会は少ないかもしれませんが、モデルさんが何を気にしてメイクをしているかを知るだけで、声がけも作品の質も劇的に変わります。ポートレートの固定概念を捨てて、ときには “メイクが主役” という視点を持ってほしいですね」

「私はファッションやビューティーに関するスチール&動画のポートレート撮影をメインとしています。その撮影で最も大切にしているのは、モデルさんの肌の質感と色です。ライティングやカメラの機能を駆使し、現場で完成度を極限まで高める “JPEG完結” のスタイルを信条としています。ほかにも専門学校やαアカデミーで講師をしていますが、講師として伝える活動を通じて “相手の立場に立って考える” 重要性を改めて実感しました。チームやクライアントが何を求めているのか、その裏側まで想像してコミュニケーションを取ることが、信頼を築き、最高の作品を生む鍵だと考えています」
一人ひとりに最適なアドバイスを送る「唯一無二のタッチポイント」へ
今回取材でおじゃましたイベント「CREATOR HUB BASE」の主旨や、ソニーストア 大阪独自の取り組みなどをお聞きしました。

「店舗を単なる モノを売る場所から、体験と付加価値を提供するコミュニティへと進化させる戦略を重視しています。その中でCREATOR HUB BASEという企画は、クリエイターと店舗、あるいはクリエイター同士が繋がるハブ (拠点) となること。カメラを共通言語に、お客様が気軽にたむろできる憩いの場を構築することを目指しています」と店長の土谷さん。
「CREATOR HUB BASE」を動画軸にしたことについて磨井さんは、「趣味・仕事の両面で “写真だけでなく動画も” という問い合わせが急増している現状に対応しています。以前開催したカメラフェスでは、メーカーとお客様が直接対話できる場を設け、写真軸でのコミュニティ形成を実現しました。今回のCREATOR HUB BASEでは、その流れを動画へも広げています。BURANO (ブラーノ) のような映画製作レベルのハイエンド機材を実際に触れる機会を提供し、エントリー層から上級者までを繋ぐ場を支えています」。


全国のソニーストアでは、スタッフの得意分野を生かして、スタイリストという制度を実施。店舗を訪れたユーザーにより具体的なアドバイスが行えることを強みとしています。実際にスタイリストとして活躍する小林さんは、「ヘアサロンのように、お客様が自分の撮りたいジャンルに合わせて、スタイリスト (店舗スタッフ) を指名して予約できるシステムを導入し、深い信頼関係を築いています。また、大学の写真・映像サークルとの連携を強化し、イベントスペースの提供や機材貸出を通じて、クリエイターの卵である学生を支援しています。学生だけでなく、近隣の商業施設に勤めている社会人のワーカーズサークルに対しても講座や作品展の場を提供するなど、地域に根ざしたコミュニティ形成に注力しています」と、新しいファン層との繋がりを話してくれました。
ほかにも、YouTubeチャンネル「SonyStoreJapan」内でソニーストア 大阪独自の「ソニーストアTV」を展開するなど、精力的に活動。企画から撮影・編集までスタイリスト自らが行い、店舗の雰囲気や個々のスタッフの魅力を親しみやすい形で発信しています。

土谷さんは、「21年という歴史があるゆえに、既存顧客が中心となり、新規や若年層のお客様が入りにくいという課題を感じています。よりスタイリストをキャラクター化し、カルテのように訪れたお客様の情報をデータ化して共有することで、お客様の撮影の癖や好みを熟知したスタイリストが、ヘアサロンのように一人ひとりに最適なアドバイスを送る唯一無二のタッチポイントとして、継続的な関係性を築くことを目指しています」と想いを語ってくれました。今後のソニーストア 大阪の独自イベントにも注目したいです。
〈協力〉ソニーストア 大阪