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カメラと写真文化を体験できる「古民家ギャラリー 里山カメラ館」へ行ってきた! こけら落としは並木隆さんの写真展

群馬県みなかみ町にある「たくみの里」は年間約50万人が訪れる観光地だ。ここにカメラと写真文化が体験できる「古民家ギャラリー 里山カメラ館」がオープンした。営業開始日の前日となる2026年9月11日、オープニングセレモニーが開かれた。

里山カメラ館

 

同館は日本カメラ博物館の分館となり、2階建ての古民家内にギャラリー、暗室、写真集の閲覧・カメラの展示スペースを備える。また、隣接してレンタルギャラリー「里山カメラ館 HANARE」を併設させた。

里山カメラ館
オープニングセレモニーにて、みなかみ町の阿部賢一町長 (左)、日本カメラ博物館の櫻井龍子理事長 (右)。

写真文化を通じて地域振興に協力

「日本カメラ博物館の年間来場者は2〜3万人。観光地に分館を新設することで、これまで接点のなかった多くの人へ、カメラ産業の歴史や写真文化を伝えることができる」と同館の櫻井龍子理事長は話す。さらに「里山カメラ館の魅力により、この地に足を運ぶ人を増やしたい」とも意気込む。

里山カメラ館
日本カメラ博物館の櫻井龍子理事長。

 

日本カメラ博物館とみなかみ町のつながりは、同町から博物館の収蔵品を保管するスペースを借り受けたことだ。2024年3月には両者は連携協定を結び、日本カメラ博物館は写真文化を通じて、みなかみ町の地域振興に協力していくことになった。

里山カメラ館
みなかみ町の阿部賢一町長。

たくみの里は東京ドーム約70個分のエリアに、畑や観光農園、染物や陶芸、わら細工など体験工房が点在する。来場者は街を散策しながら、さまざまな体験や地域文化に触れることができる。

里山カメラ館

里山カメラ館

 

「里山カメラ館」はメインストリートの一つ、宿場通りの中心に位置する。建物は1898 (明治31) 年に建造された古民家で、1年強をかけて改修。写真やその歴史を辿るのにふさわしい、静かで趣のある空間を実現した。

里山カメラ館

こけら落としは並木隆さんの写真展「ニイハル・クロニクル」

入口を入るとギャラリースペースだ。こけら落としは並木隆さんの写真展「ニイハル・クロニクル」で、2027年3月14日まで開く。ここは半年に一度、展示替えをしていく予定。

里山カメラ館

 

「ニイハル」は、かつてこの地が新治村と呼ばれていたことから付けた。2025年の6月から並木さんは時折、この地を訪れ撮影してきた。

里山カメラ館

 

「被写体は住む人が当たり前に見ている風景ばかりです。ただそれが並木の眼を通して写真になるとこんなに美しく見える。それを感じてもらいたくて、僕のスタイルであるマクロ撮影はほぼ封印しました」と並木さん。

里山カメラ館
並木隆さん。

 

撮影エリアは域内の半径2〜3kmを自転車で巡った。目的の被写体を決めずに来ていたが、毎回、心躍る風景に出会えたという。

里山カメラ館
受付では展示作品やポストカード、写真をデザインしたTシャツなども販売。

暗室の体験教室も開催予定

1階の奥に暗室を設置した。引伸機は「フォコマート IC」「LPL 7700」「富士フイルム B690」の3台。35mm判フィルムから120フィルムの6×9判まで対応し、四つ切までのプリントが焼ける。

里山カメラ館

 

「観光客はもちろんですが、地域の人向けの暗室教室などを行なっていきます。また、小中高生が課外学習で訪れることも多いので、町と協力して幅広い人たちを対象にしていきたい」と同館の山本一夫さんは話す。

里山カメラ館

写場の雰囲気を味わいながらカメラの歴史を体感

2階への階段脇には厳選した写真集が並び、自由に手に取って鑑賞ができる。

里山カメラ館

 

2階ではより静かな雰囲気で、カメラの歴史を体感できる。椅子や机など調度品は、国の登録有形文化財である学士会館や、地方の歴史ある写真館が使用していたものを譲り受けた。

里山カメラ館

里山カメラ館

 

大型カメラを置き、「写場」の雰囲気を再現したほか、ガラス乾板を修正するための器具も展示している。

里山カメラ館

里山カメラ館

カメラの原理「カメラオブスクラ」を体験できる

目玉は「カメラオブスクラ」の体験スペース。大型のレンズが館の前に広がる風景をとらえ、アクリル板に写し出す。このレンズは1900年前後に製造されたイギリス製で、同館で最も大きなものだ。

里山カメラ館

 

「古いレンズなので、少し滲んだような味わいのある描写になっています。仲間同士が交代で道に出れば、カメラオブスクラによる、ほかでは撮れない記念写真ができます」

里山カメラ館

ヴィンテージカーのあるレンタルギャラリー「里山カメラ館 HANARE」

「里山カメラ館」の奥には、レンタルギャラリー「里山カメラ館 HANARE」がある。

里山カメラ館

 

館の中央にはヴィンテージのオープンカーを置く。現在は渡辺淳さん、宮崎静馬さん、本間鉄雄さん、雑賀進さん、桜井栄一さんによる五人展「光大五人展」を開催中だ。

里山カメラ館

 

利用料はオープン記念価格で4月〜11月は6万円、12月〜3月は4万円で、会期は時期により異なり2週間から3週間程度。

里山カメラ館

 

域内には9つの野仏や、1309年に開山した泰寧寺なども残る。魅力的な被写体に出会えそうな場所でもある。ぜひ一度、訪れてみよう。

里山カメラ館

古民家ギャラリー 里山カメラ館

住所 群馬県利根郡みなかみ町須川766 
開館時間 9:00〜16:00
休館日 水曜 (祝日の場合は開館し翌日休館)、展示替え期間、年末年始
入場料 無料
TEL 0278-25-8950
URL https://www.jcii-cameramuseum.jp/satoyama/

並木隆写真展「ニイハル・クロニクル」

会期 2026年9月12日 (土) ~2027年3月14日 (日)

 

 

〈文・写真〉市井康延