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2026年度「ライカ・オスカー・バルナックアワード」「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」の受賞者が決定

ライカカメラ社は「ライカ・オスカー・バルナックアワード」と「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」の2026年度受賞者を発表しました。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード
2026年10月8日にドイツ・ウェッツラーのLeica Weltで授賞式が開催されました。

ライカ・オスカー・バルナックアワード

「ライカ・オスカー・バルナックアワード (LOBA)」は、ライカカメラ社が主催する、国際的に最も権威ある写真賞のひとつ。今年度は第46回目の開催となります。各国の写真専門家から推薦を受けた写真家が対象の「一般部門」、30歳未満の若手が対象の「新人部門」に加え、今年度より女性写真家を対象とした助成プログラム「LOBA Women Grant」が新設されました。

受賞作品とファイナリストの作品は、ドイツ・ウェッツラーのエルンスト・ライツ・ミュージアムを皮切りに、世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルで順次展示される予定です。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード 一般部門

ダミル・ファイズリン「Preserving Nature as Preserving Ourselves」

2026年度の一般部門は、ロシア人写真家 ダミル・ファイズリンさんの「Preserving Nature as Preserving Ourselves」が受賞。ロシア南部・北コーカサスに位置するダゲスタンの山々にて、急速に変化する自然や生活環境に焦点を当てた作品です。ダゲスタンは、ロシア有数の民族的多様性と豊かな文化遺産を誇る地域のひとつ。ファイズリンさんの作品は、自然の変化を捉えると同時に、時代とともに移ろう伝統や文化的アイデンティティの姿も浮かび上がらせています。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード
The village of Tsovkra is known for its tightrope-walking tradition. A schoolgirl during a break between lessons, January 2025. From the series “Preserving Nature as Preserving Ourselves” © Damir Faizulin/LOBA 2026

ファイズリンさんは1986年ウズベキスタン生まれ。ソ連崩壊後に家族でロシアへと移り住み、33歳まで格闘家およびプロレスラーとして活躍していたという経歴の持ち主です。国際写真コンテストへの応募は今回が初。作品について、「現地のことを詳しく知ろうと2021年にダゲスタンへ移住しました。写真については、現実を簡略化するのではなく、私たちが現実の複雑性に気づけるよう手助けする1枚であることが大切だと考えています」とコメントしています。

審査員を務めたライカギャラリー・インターナショナル代表兼アートディレクターのカリン・レーン=カウフマンさんは「特に素晴らしいのが、シリーズ全体を貫く視覚の揺るぎなさです。ドキュメンタリー的な精緻さと抒情に富む表現を併せ持つ写真表現で、感動を呼びつつも深い内省を促すことに成功しています」と評しています。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード 新人部門

ライラ・アンマリー・スティーブンス「Clayton Sisterhood Project」

2026年度の新人部門は、アメリカ人写真家 ライラ・アンマリー・スティーブンスさんの「Clayton Sisterhood Project」が受賞。祖先を追憶したいという思いに着想を得て、自身の家族の歴史を主題としたモノクロ作品です。共同生活を送る自身の姉妹と姪たちが築き上げた生き方を、作品の中心に据えました。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード
Stevens family portrait, South Jamaica, Queens, New York 2021. From the series “Clayton Sisterhood Project” © Laila AnnMarie Stevens/LOBA 2026

スティーブンスさんは、2001年ニューヨーク州クイーンズ区のサウスジャマイカ地区生まれ。「私が重視したのは、異なる世代を結ぶ絆は様々な形式で表現されるということを伝えるものであるかという点です」とコメントしています。

審査員のカリン・レーン=カウフマンさんは、「温かな眼差しと敬意、繊細な感覚でもって共同体が持つたくましさと力を描き出しています。シリーズでは、結束すること、そして互いをつなぐ絆の存在が、いかに強さと希望の源となり得るかがはっきりと示されています」と評しています。

LOBA Women Grant 2026/2027

ヴァレンティナ・スィニス「The Last Butterflies」

「LOBA Women Grant」は、プロとして活動する21歳以上の女性写真家を対象に、新しいプロジェクトや写真シリーズを実現するための支援を行うプログラムです。初代受賞者は、イタリア人写真家 ヴァレンティナ・スィニスさんに決定。「The Last Butterflies」は、イラク領クルディスタン地域にて、武力による抵抗運動に参加するため故郷を離れたクルド人女性たちに焦点を当てるプロジェクトです。

2026年度 ライカ・オスカー・バルナックアワード
Winner of the LOBA Women Grant 2026/2027 © Soran Qurbani

審査員のカリン・レーン=カウフマンさんは、「闘いに身を投じるなかで生まれる女性たちの新たな役割を印象的に描き出しています。男性の手を借りることなく、彼女たちがいかに力を合わせ祖国のために闘っているかを、明快かつ心に迫るタッチで伝える写真です」とコメント。スィニスさんにはプロジェクト実現のための制作支援金と賞品が贈られるほか、専門家が作品制作をサポート。完成した作品は翌年のLOBAにて発表されます。

2026年度 ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード

「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」は、写真を通じて世界に影響を与え、人々の記憶に残る作品を生み出してきた偉大な写真家を讃える賞。2011年より、不定期に選出されています。

2026年度の受賞者は、メキシコを代表する現代写真家として世界的に高く評価される、グラシエラ・イトゥルビデさん。1970年代初頭から、メキシコの農村の社会構造や周縁化された先住民族に目を向け、とりわけ母系的な社会構造が持つ意味を探究してきました。

2026年度 ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード
Juchitán, Oaxaca, Mexico 1986 © Graciela Iturbide/Leica Hall of Fame Award 2026, Leica Gallery Wetzlar 2026

受賞を記念し、50点を超える作品をドイツのライカギャラリー ウェッツラーにて2027年1月まで公開予定。さらに、1986年に撮影されたシリーズ「フチタン (Juchitán)」の作品《Na’ Lupe Pan》は2026年度ライカ・ピクチャー・オブ・ザ・イヤーに選出され、世界各地のライカギャラリーを通じて販売される予定です。