ニコンサロン写真展年度賞「第44回伊奈信男賞」「第21回三木淳賞」受賞作品展開催

2018年8月から2019年7月にニコンサロンで開いた写真展で最も優れた作品を選ぶ2つの年度賞が決まった。受賞作品展はニコンプラザ新宿と大阪の「THE GALLERY」で行なわれる。

 

■第44回伊奈信男賞 岩根愛写真展「KIPUKA」

第44回伊奈信男賞 岩根愛写真展「KIPUKA」
© 岩根 愛

第44回 伊奈信男賞は岩根愛写真展「KIPUKA」に贈られた。この賞は第40回まで男性の受賞者が続いたが、第41回に藤岡亜弥さんが受賞以来、菅野ぱんださん、インベカヲリ★さんと4年連続で女性が選ばれている。

岩根さんの受賞作はハワイの日系移民と、東日本大震災で被災した福島の人々を被写体にしている。ハワイで根付いている「ボンダンス」は、福島からの移民が伝えたものだった。彼らが共通して持つのは故郷に対する深い想いである。そして人は何に依って生きるのか、その存在をそれぞれに問いかけている。

ハワイに残る古い記念写真を見つけたほか、かつて現地で活用されていた360度のパノラマカメラを使い、写真的な面白さも取り入れている。賞金100万円で、副賞は「ニコン D5」とレンズ「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」である。

 

■第21回三木淳賞 山下裕写真展「Cosmetic」

第21回三木淳賞 山下裕写真展「Cosmetic」
© 山下 裕

さらに、新進写真家を対象に顕彰する第21回 三木淳賞は山下裕写真展「Cosmetic」に決まった。山下さんは1988年生まれで、アジア諸国で労働、汚染、近代化などをテーマに撮影している。

受賞作は、化粧品の原料となる硫黄の採掘現場にフォーカスを当てたもの。有毒ガスが噴出する中、鉱夫はガスマスクも付けずに作業を行なう。過酷かつ危険な作業の対価はわずかだ。「地獄のような風景が(写真では)美しささえ感じる。(その表現力によって) 現代に生きる私たちと現場で働く人々との関係性が見る人の心に深く届く」と審査した今森光彦さんは評した。

山下さんには制作支援金300万円と副賞の「ニコン D850」「AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G」が贈られ、2年後に新宿と大阪で個展が開催される。

 

ニコンサロン写真展年度賞受賞作品展

<東京>

会期 2019年12月3日 (火) 〜 16日 (月)
会場 ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 新宿1・2
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F
時間 10:30〜18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
菅野ぱんだ×岩根愛トークイベント 12月13日 (金) 18:30~20:00、写真展会場にて。参加無料、予約不要。
問い合わせ THE GALLERY 新宿 (TEL 03-3344-0565)

<大阪>

会期
岩根愛写真展「KIPUKA」 2020年1月16日 (木) 〜 22日 (水)
山下裕写真展「Cosmetic」 2020年1月23日 (木) 〜 29日 (水)

会場 ニコンプラザ大阪 THE GALLERY 大阪
住所 大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13F
時間 10:30〜18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ THE GALLERY 大阪 (TEL 06-6348-9698)

 

 

 

〈文〉市井康延