戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の生き様を貴重な品々で伝える企画展「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」

一ノ瀬泰造が亡くなって半世紀近くが過ぎようとしている。ニコンミュージアムは報道写真家としての想いや彼の生き方を紹介する企画展「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」を開く。

<2020.6.23>
新型コロナウイルス感染拡大を防止するためのニコンミュージアム臨時休館を経て、本展は6月30日から再開、会期が9月26日まで延長となりました。再開にあたって、休館日は従来の日曜・祝日に加えて月曜も休館とし、開館時間は10:00〜17:00に短縮されます。また、6月30日以降は当面の間、入館希望日の3営業日前までに事前予約が必要となります。

 

一ノ瀬泰造「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」
『届いた手紙』1972年10月25日 ベトナムにて、一ノ瀬泰造撮影

 

彼がフリーの報道写真家として活動したのは1972年から約2年のことだ。インド・パキスタン戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦を取材し、武装組織クメール・ルージュの支配下にあったアンコールワットに潜入し、消息を絶った。彼の日記や書簡などで構成した『地雷を踏んだらサヨウナラ』は長く読み継がれ、その後、映画も制作されている。

一ノ瀬泰造「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」
一ノ瀬泰造

 

本展ではカンボジア、ベトナムで撮影した写真約40点と遺品約15点を展示する。その一つが銃弾で穴の開いたニコンFだ。72年月下旬、ベトナムの戦場でカメラに被弾したものの、本人は右手の軽症で事なきを得た。そのとき、装填されていたフィルムに写っていた画像も紹介する。

一ノ瀬泰造「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」

 

本展の作品セレクトや展示構成は、泰造の姪である永渕教子さんが担当した。彼女が物心ついたときにはすでに叔父・泰造は行方不明になっていた。16歳のとき、ドキュメンタリー番組の撮影で祖父母とカンボジアを訪れたことをきっかけに、叔父の作品を世に送り出す祖母の活動に関わりを持つようになったという。一ノ瀬泰造が見て感じ、世界に伝えたいと願った真実の一端がここで示される。

 

ニコンミュージアム企画展 : 一ノ瀬泰造「戦場の真実、硝煙の中に生きる人々」

会期 2020年1月6日 (月) ~ 3月28日 (土) 9月26日 (土)
会場 ニコンミュージアム
住所 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟2F
時間 10:00〜17:00 (当面の間、開館時間短縮)
休館日 日曜・祝日・月曜
料金 無料
問い合わせ ニコンミュージアム (TEL 03-6433-3900)

 

 

 

〈文〉市井康延