写真家は自然風景に何を感じ、どう受け止めたのか? 鈴木一雄写真展「聲をきく」~Listening to the Spirits in the Wild~

鈴木一雄さんの写真展「聲をきく 〜Listening to the Spirits in the Wild〜」が、2022年7月8日から富士フイルムフォトサロン東京で開催される。

鈴木一雄写真展「聲をきく」~Listening to the Spirits in the Wild~
秋のブナ原生林(山形県小国町)

■展示作品ギャラリー

 

鈴木一雄さんは1953年、福島県に生まれ、中学卒業後に鉱山技師として働き、民間企業を経て大学進学、そして地方公務員になった異色の経歴を持つ。風景写真撮影に傾注したのは1985年ごろから。42歳にして本格的に写真家としてのスタートを切った。

本展は、鈴木さんのデビューからこれまでの代表作を中心に、一人の写真家がその人生の各ステージにおいて自然風景に何を感じ、どのように受け止めたのかに焦点を当てる。初期の代表作「裏磐梯」をはじめ、写真家として大きな転換期を迎えた「尾瀬」、四半世紀にわたり追い求める全国の多彩な「桜」、近作の「列島シリーズ」まで、新作を含めた大型サイズの銀写真プリント約80点を展示する。

鈴木さんは、「尾瀬」の撮影でスランプに陥った当時について次のように語っている。

「土砂降りの雨の中で木道にしゃがみこんでいたとき、目の前の高層湿原が『小さな世界から大きな世界まで、あるがままに受け入れなさい』と語りかけてくれた気がした」

以来、美しい風景やシャッターチャンスにこだわらず、被写体を取り巻く環境や歴史、そして生命などに目を向け、被写体の「聲 (こえ) をきく」ことを大切に撮影を続けてきた。これまでの作品世界を紹介する本展からは、自然界と向き合う写真家自身の“自分史”も浮かび上がる。

巡回展は2022年8月5日から、富士フイルムフォトサロン大阪で開催。

鈴木一雄写真展「聲 (こえ) をきく」~Listening to the Spirits in the Wild~

東京

会期 2022年7月8日 (金) 〜28日 (木)
会場 富士フイルムフォトサロン東京
住所 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウェスト1F フジフイルム スクエア内
時間 10:00〜19:00 (最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ フジフイルム スクエア (TEL 03-6271-3350)

大阪

会期 2022年8月5日 (金) 〜17日 (水)
会場 富士フイルムフォトサロン大阪
住所 大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1F
時間 10:00〜19:00 (最終日は14:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ 富士フイルムフォトサロン大阪 (TEL 06-6205-8000)

 

 

鈴木一雄

鈴木 一雄 (Kazuo Suzuki)

福島県塙町生まれ。自然界が発しているさまざまな聲を五感で受け止め、その物語を描くことに精力を傾ける。“写真による自分史綴り”を提唱。写真集に『サクラニイキル』『花乃聲』『季乃聲』『櫻乃聲』『おぐにの聲』『裏磐梯の聲』『尾瀬の聲』『尾瀬しじまの旋律』ほか。著書に『デジタル露出の極意』『風景写真の極意』など多数。公益社団法人日本写真家協会会員、公益社団法人日本写真協会会員、一般社団法人日本自然科学写真協会会員。フォト寺子屋「一の会」主宰。日本写真家連盟常任講師。
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〈文〉鬼沢幸江