写真家が目撃した収容所の日常とは? 野町和嘉写真展「シベリア収容所1992」

野町和嘉さんの写真展「シベリア収容所1992」が、2022年10月13日より開催される。

野町和嘉写真展「シベリア収容所1992」

 

展示作品は、1991年12月26日にソビエト連邦が消滅してから間もない1992年3月に、極東シベリア・ハバロフスク近郊にある2か所の収容所 (矯正労働収容所) を主な舞台として撮影された。それまで厳格に管理されていた体制が崩壊し、あらゆる統制が緩んだことで、国家の内実が白日のもとに晒された希有の機会であった。

帝政ロシアの時代から犯罪者や戦争捕虜などに強制労働を課していたこの抑留の地は、ソビエト連邦末期には主に刑事犯が収容されていたが、収容者の労働による収容所産業は絶えることがなかった。野町さんは、「強権政治がもたらす世相から脱落した弱者でもある受刑者たちの、重苦しくも、淡々と過ぎゆく日常を垣間見ることができた」と話す。

ロシアのウクライナ侵攻では、ロシア軍が制圧した地域のウクライナ住民をシベリアへ強制移送しているとの報道もあった。それが事実であるなら、野町さんが30年前に見た光景は今も続いているのだろうか。

野町和嘉写真展「シベリア収容所1992」

会期 2022年10月13日 (木) 〜24日 (月)
会場 OM SYSTEM GALLERY
住所 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビルB1F OM SYSTEM PLAZA内
時間 10:00〜18:00 (最終日は15:00まで)
休館日 火曜・水曜
入場料 無料
問い合わせ OM SYSTEM GALLERY (TEL 03-5909-0190)

作品解説

写真展会場にて。予約不要、参加無料。

  1. 2022年10月15日 (土) 14:00〜15:00
    ゲスト : 佐伯 剛 (風の旅人)
  2. 2022年10月22日 (土) 14:00〜15:00

 

 

野町和嘉 (Kazuyoshi Nomachi)

1946年、高知県生まれ。杵島隆に師事した後、1971年にフリーの写真家となる。1972年のサハラ砂漠への旅をきっかけにアフリカを広く取材する。1980年代後半からは、過酷な風土を生き抜く人々の営みと信仰をテーマとして舞台を中近東、アジアに移し、長期の取材を続ける。2000年代以降は、アンデス、インド等を中心に取材。『サハラ』『ナイル』『メッカ巡礼』『チベット』など多くの写真集が国際共同出版される。東京、ローマ、ミラノ、台北ほかで『聖地巡礼』展を開催。土門拳賞、芸術選奨文部大臣新人賞などを受賞。2009年紫綬褒章受章。日本写真家協会会長。
→ WEBサイト