国際写真賞で選ばれた12名の作品を紹介する写真展「プリピクテ Human/人間」

国際写真賞であるプリピクテ (Prix Pictet) の入賞作を紹介する「Human/人間」が、東京都写真美術館で開催中される。

プリピクテ Human/人間
ガウリ・ギル 《ウルマとニムリ、ルンカランサール》1999年-継続中 Courtesy the artist and James Cohan, New York

 

10回目となる今回は、「Human」をテーマにした12名の写真家の作品を紹介する。先住民の苦境や紛争、国境の土地、移民などさまざまなテーマが取り上げられ、表現の手段もドキュメンタリー、風景、ポートレートなど多岐にわたる。

この12名の中で最も優れた作品として賞を与えられたのが、インドのガウリ・ギルさん。受賞作「砂漠からのメモ (Notesfrom the Desert)」は、北インドの砂漠地帯にある村を20年以上かけて取材したもの。疎外されたコミュニティーが持つ現実、問題を見つめ、生命の価値を問いかける。

また、第10回の開催を機に「ピープルズ・チョイス・アワード」を創設。イギリスで開かれた「Human」展で来場者から投票を受け付け、フェデリコ・リオス・エスコバルさんの「絶望的な希望の道 (Paths of Desperate Hope)」が選ばれた。南米と中米を結ぶ陸橋を渡る移民は年々増加し続けている。その道は未完成で危険をともなうが、生死を掛けてでも挑む人々の姿を記録した作品となる。

主催のピクテグループは、スイスに本部を持つ資産運用会社。持続可能な社会の実現について人々がこのテーマを考え、対話することを目的に、2008年にこの賞を創設した。写真展は世界各地を巡回する。

プリピクテ Human/人間

会期 2023年12月15日 (金) ~2024年1月17日 (水)
会場 東京都写真美術館 B1F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00 (木・金曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は開館し、翌平日休館)、12月29日〜1月1日
入場料 無料

 

 

〈文〉市井康延