機材レポート

今、買うならどっち? 富士フイルム X-H1 vs. X-T2

ダブルフラッグシップとして人気のXシリーズに、第3のフラッグシップモデル X-H1が加わった。一眼レフスタイルで撮影が楽しめるX-H1とX-T2は、どこがどう違うのか!? ホンネで比べてみよう。

X-H1 vs. X-T2

手ブレ補正が魅力のX-H1
富士フイルムX–H1とX–T2はかなり似たカメラであるが、「今、買うならどっち?」と問われれば、間違いなく僕はX–H1だと答える。その理由は何はともあれ「ボディ内手ブレ補正」の有無によるものだ。手ブレ補正機構のない単焦点レンズでほぼすべての撮影をしている僕は、このボディ内手ブレ補正の搭載は喉から手が出るほど待ち望んでいたものなのだ。X–H1の実売約26万円という価格はこれまでのXシリーズの中で最も高額な機種である。すでに単焦点レンズを5本所有している僕にとっては、X–H1を買うだけで、そのすべてのレンズを手ブレ補正付きレンズに買い替えたも同然なのだ。

コスパに優れたX-T2
ただし、手ブレ補正だけに話を限定すれば逆も言える。XF18-135mmやXF50-140mmなどの強力な手ブレ補正機構を搭載するレンズをメインで使おうと考えているユーザーにとっては、どちらを選んでもそれほど大きな変化はない。であれば、同等な画質が得られ、実売約14万円とコスパ最強モデルとなったX–T2を選択するのも良いだろう。

 

【画質】同じセンサーとエンジンが高い写真画質を実現する

X-H1 vs. X-T2
X-H1とX-T2の画質はほとんど同じと言っていい。それもそのはず、基本画質を決めるカメラの心臓部、撮像センサーと画像処理エンジンが同じだからだ。両機種とも高い写真画質が得られる。

 

X-H1 vs. X-T2
定評のある高精細センサーを採用
撮像センサーは光学ローパスフィルターレスの「X-Trans CMOS III」。X-T2やX-Pro2、X-T20など多くの機種に搭載され、画質に定評のあるセンサーだ。画面の約40%を高速な像面位相差AFエリアとする。

 

X-H1 vs. X-T2
動画撮影に向く絵作りを新搭載
X-H1では人気のフィルムシミュレーションに、映画フィルムの色や階調を再現した「ETERNA(エテルナ)」が追加された。低彩度で低コントラスト、柔らかなシャドートーンを持つカラーは静止画において万人向きとはいえないが、場面によっては面白く使えるはずだ。

 

X-H1 vs. X-T2
超広角で見上げVelviaモードで印象的に捉える
夕日で赤く染まる熊野古道の夫婦杉をVelvia(ベルビア)モードが鮮やかに描いた。輝度差の大きい場面だがダイナミックレンジを200%に拡大することで、明部から暗部まで階調豊かな描写が得られた。
富士フイルム X-H1 XF14mm F2.8 R 絞り優先AE F8 1/25 秒 −0.3 補正 ISO400 WB:5300K フィルムシミュレーション:Velvia

 

【手ブレ補正】X-H1に搭載された待望のボディ内手ブレ補正

X-H1 vs. X-T2
XF単焦点レンズとXF16-55mmF2.8ユーザーが待ち望んでいたボディ内手ブレ補正。低感度での撮影範囲の拡大のほかにも、手持ちでのフレーミングの安定性、ピント精度の向上などにも効果がある。

 

X-H1 vs. X-T2
高精度な5軸補正に対応したボディ内手ブレ補正機能
5軸方向の補正に対応し、最大5.5段分の補正効果を実現したボディ内手ブレ補正。手ブレ補正非搭載レンズはもちろん、搭載レンズでもレンズ側に入っていない補正軸をボディ内手ブレ補正が追加して、どのレンズであっても5軸補正となる。

 

X-H1 vs. X-T2
強力な手ブレ補正が画面周辺までシャープに描く
薄暗い温室で葉に囲まれ一輪咲いていたベニギリソウ。葉にもピントが欲しかったのでF11 まで絞り込んだため1/15秒の低速シャッターとなったが、ボディ内手ブレ補正によりブレは一切ない。
富士フイルム X-H1 XF90mm F2 R LM WR 絞り優先AE F11 1/15秒 -1.3補正 ISO800 WB:5300K フィルムシミュレーション:Velvia

 

【AF】像面位相差AFが強化されてAF撮影できる範囲を拡大

X-H1 vs. X-T2
AFセンサーは同じだが、アルゴリズムを刷新することでX-H1はAF性能をグッと引き上げた。像面位相差AFの低照度限界を-1.0EVまで広げ、測距可能最小絞りはF11まで拡大されている。

 

X-H1 vs. X-T2
AF範囲が画面全体を幅広くカバー
像面位相差AFは画面横50%、縦75%の広範囲をカバー。コントラストAFを含めた最大AF点数は325点で、非常に細かなピント位置の調節ができる。ワンショットAFのサイズも6段階に変更可能だ。

 

X-H1 vs. X-T2
操作しやすいAF-ONボタンを採用
AF-ONボタンがXシリーズとして初めて搭載された。親指AFはこれまでの機種でも可能ではあったが、ボタンが小さくやや操作しにくかった。冬場、グローブ装着時も押しやすい大きなAF-ONボタンの採用で操作性は格段に向上した。

 

X-H1 vs. X-T2
AFポイントをダイレクトに操作できる
X-T2と同じく、AFポイントの位置をダイレクトに変更できる8軸のフォーカスレバーを採用。細身のレバーで触感もいい。タッチパネルにも対応しており、ダイレクトにAF位置の変更、AF動作、タッチシャッターも可能だ。

 

X-H1 vs. X-T2
湖面の輝きを生かしAFでイメージどおりに狙う
ダム湖に咲くスイセン。湖面に反射したキラキラを光条として描くためF16まで絞っている。逆光が強くAFには厳しい場面だが、進化したAFのお陰で前ピンやピント抜けもなく撮影できた。
富士フイルム X-H1 XF90mm F2 R LM WR 絞り優先AE F16 1/220 秒 +1.3補正 ISO800 WB:5000K フィルムシミュレーション:Velvia

 

【操作性】GFXの優れた操作性を融合し快適な撮影が楽しめる

X-H1 vs. X-T2
X-T2との大きな違いは露出補正ダイヤルがなくなり、露出補正はコマンドダイヤルで行なうようになった点。グリップは大型化され、X-T2の薄めのグリップに比べるとホールド感は極めて良くなった。

 

X-H1 vs. X-T2
各種設定をサブ液晶モニターで確認
露出補正ダイヤルがなくなった代わりに、GFXと同様の各種設定が表示されるサブ液晶モニターが追加された。カメラの電源オフ状態でも露出補正が確認できるので、X-T2のダイヤルに似た使い方もできる。
 

X-H1 vs. X-T2
瞬間を逃さないシャッターフィーリング
フォーカルプレーンシャッターの感触、振動、音はこれまでのXシリーズと全く違う。また、軽い力で押せるフェザータッチシャッターを採用し、より瞬間的なシャッターチャンスに対応できるようになった。

 

Xシリーズフラッグシップモデル スペック比較

X-H1 vs. X-T2
※参考価格は2018年6月時点の実売価格(税込)

 

 

〈写真・解説〉今浦友喜