機材レポート

実写レビュー!スナップから接写までイケる優等生レンズ「ZEISS Batis 2/40 CF」

スナップから接写まで多目的に使えるα用AF単焦点Batisシリーズ第5弾

ソニーEマウントのフルサイズ向けAFレンズである、カールツァイスのBatis(バティス)シリーズ。その5本目にあたるモデル「ZEISS Batis 2/40 CF E-mount」が2018年11月22日に発売された。40mm F2という実用性の高いスペックだ。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount

 

■伝統と最新技術が融合した単焦点レンズの決定版

カールツァイスはソニーとの協業でEマウントレンズを開発するほか、自社でもさまざまなEマウントレンズを発売している。なかでもBatisシリーズは距離目盛りに有機ELディスプレイを採用した未来派モデル。光学設計も独自の味を残すというより、収差を抑えた高解像志向といえる。

これまでは広角と中望遠が2本ずつ発売されていたところに、間を埋めるように40mmという標準域が登場。その40mmは8群9枚のディスタゴンタイプ。僕は日ごろから同じカールツァイス製で、焦点距離も近いMFレンズのLoxia(ロキシア)35mm F2(Loxia 2/35)を愛用しているが、Loxiaが情感あふれるウエットな描写だとすれば、Batisは優等生タイプ。といってもそこはカールツァイスだけあって、色の鮮やかさやヌケの良さ、なだらかなボケなどは高い次元にある。普及タイプのズームレンズとは一線を画した描写力だ。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount

レンズ名にCF(クローズフォーカス)とあるとおり、最短撮影距離は24cmと焦点距離に対して短いのも特徴。また鏡筒はややずんぐりとしているものの、構えると左手によくフィットする。50mmではやや窮屈に感じるというEマウントユーザーには、常用レンズとしておすすめの1本だ。
 

■3段階のフォーカスリミッターを搭載

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount

側面の左手親指で操作できる位置には、全域、無限遠〜40cm、50〜24cmと3種類を切り替えられるフォーカスリミッターを備えている。ピントリングの動きも滑らかだ。
 

■距離と被写界深度を一目で確認できる

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount

これまでのBatisシリーズと同様、距離表示には有機ELディスプレイを採用。MF時には設定している距離と被写界深度をリアルタイムで表示する。起動時には「ZEISS」の文字も。
 

■フィールドで安心して使える防塵防滴性能

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount

マウント部分にシーリング加工を施すなど防塵防滴仕様を採用。シーリングのゴムはボディとの接触面にあり、水滴などの浸入を強力に防いでくれる。
 

 

■緻密な描写をクローズアップで楽しむ

最短撮影距離の24cmで撮影。ピントが合った花びらの部分を拡大すると、その緻密な描写に驚かされた。近距離時にありがちなにじみや甘さは一切見られない。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount作例(C)鹿野貴司

ソニー α7 III カールツァイス Batis 2/40 CF 絞り優先AE F2 1/200秒 +0.3補正 ISO100 WB:オート
 

■ネイチャーに向くクリアな色再現が魅力

古くからカールツァイスの特徴とされてきた、青空や緑のクリアな再現性はBatisにも受け継がれている。カールツァイスがネイチャー派にも人気がある要因だ。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount作例(C)鹿野貴司

ソニー α7 III カールツァイス Batis 2/40 CF 絞り優先AE F5.6 1/400秒 −0.7補正 ISO100 WB:オート
 

■気持ちのいい画角がストリートスナップに最適

40mmの画角は街角のスナップととても相性がよく、構図を作るのが楽しくなる。F2という明るさで前後にボケが生まれ、自然な奥行き感も表現することができる。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount作例(C)鹿野貴司

ソニー α7 III カールツァイス Batis 2/40 CF 絞り優先AE F2 1/500秒 −0.3補正 ISO100 WB:太陽光
 

■素早いAFがシャッターチャンスを逃さない

オートフォーカスはとても高速。狙った被写体を確実に捉えることができる。耐逆光性が高く、点光源が写り込んでもゴーストがまったく現れないところもさすがだ。

ZEISS Batis 2/40 CF E-mount作例(C)鹿野貴司

ソニー α7 III カールツァイス Batis 2/40 CF 絞り優先AE F2 1/80秒 ISO2500 WB:オート
 

 

■広角から望遠まで5本をラインナップしたBatisシリーズ

Batisシリーズは18mmから135mmの5本をラインナップ。40mmが加わったことで、ほとんど切れ目なく焦点域をカバーできるようになった。画質性能に優れたコンパクトなAF単焦点レンズシリーズだ。

ZEISS Batisシリーズ

左から、18mm F2.8の「Batis 2.8/18」、25mm F2の「Batis 2/25」、40mm F2の「Batis 2/40 CF」、85mm F1.8の「Batis 1.8/85」、135mm F2.8の「Batis 2.8/135」。
 

 

■ZEISS Batis 2/40 CF E-mount
2018年11月22日発売
151,000円(税別)
[マウント]ソニーEマウント [焦点距離]40mm [レンズ構成]Distagon 9群8枚 [画角(対角線/水平/垂直)]56°/ 47°/ 33° [開放絞り]F2 [最小絞り]F22 [最短撮影距離]0.24m [最大撮影倍率]1:3.3 [フィルター径]φ67mm [サイズ(最大径×長さ)]φ91×93mm(レンズキャップを除く) [質量]361g [付属品]専用レンズフード

 

 

〈写真・解説〉鹿野貴司