機材レポート

キヤノン「EOS R」を3か月使ってわかった魅力【実写編】

キヤノン「EOS R」は、同社では初となるフルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラです。写真愛好家層を中心に人気を集め、昨秋の発売以来、常に売上げランキングの上位を維持し続けています。その魅力は何なのか。キヤノンの一眼レフを長年愛用している筆者が、改めて実写レビューをお届けしたいと思います。後編では画質や機能を見ていきます。

■前編(操作性編)はこちら

↑標準ズーム「RF24-105mm F4L IS USM」を装着したキヤノン「EOS R」。実売価格は25万6500円(ボディ)

 

 

質感までリアルに再現する高精細な描写力

操作性の改良のほかに、もうひとつ大きく驚かされたのは画質のよさです。

 

次の写真は、標準ズーム「RF24-105mm F4L IS USM」のワイド端で撮影したもの。葉っぱの1枚1枚までがきめ細かく解像し、微妙な色の違いもしっかりと再現できています。その結果、構図自体は平坦ながら、深みと奥行きを感じる描写となっています。

都内の名所のひとつ西郷像。平凡な風景でも、高解像な描写力によって力強い写真に仕上げられます。24mm ISO100 F5.6 1/1000秒 WB太陽光

 

次も同じく標準ズーム「RF24-105mm F4L IS USM」を使用。テレ端でも画面四隅までのシャープな写りを確認できます。撮影して家に帰り、PCのディスプレイ上で大きく表示することが毎回楽しみに感じるくらい、EOS Rの写りの良さは気に入りました。


ズームのテレ端を使って遠近感を圧縮し、引き締まった構図で撮影。ディテールまでくっきりと表現できています。105mm ISO100 F11 1/250秒 WB太陽光

 

こうした高解像な描写は、有効3030万画素のフルサイズCMOSセンサーと画像処理エンジンDIGIC 8に加え、新開発RFレンズの光学性能の高さによるところが大きいといえます。

 

RFレンズは、既存EFレンズのマウント口径54mmを継承しつつ、フランジバック(マウント面から撮像素子までの距離)を従来の44mmから20mmへと短縮した新規格「RFマウント」を採用したレンズです。フランジバックの短縮によってレンズ設計の自由度が高まり、描写性能が一段と向上したというわけです。


新開発のRFマウントを採用。ボディとレンズの通信システムも一新され、電子接点はEFマウントの8ピンから12ピンへと増えています。

 


ガラス越しながら画面全域でシャープに結像。クルマや歩行者、看板などディテールの情報量が多い写真になっています。24mm ISO800 F5.6 1秒 WB白熱電球

 

手ブレ補正は、これまでと同じくレンズ側での補正となります。ボディ内手ブレ補正の採用が見送られたことは少々残念ですが、手ブレ補正内蔵の標準ズームRF24-105mm F4L IS USMでは、まずまず良好な補正効果を実感できました。


焦点距離24mmで撮影。シャッター速度1/5秒の手持ち撮影でも、ほぼ全カットをブレなしで撮影できました。24mm ISO400 F4 1/5秒 WB太陽光

 


焦点距離37mmをシャッター速度1/2秒で撮影。こうした薄暗いシーンでも高画質を維持できます。37mm ISO100 F5.6 1/2秒 WB太陽光

 

感度はISO100~40000となり、拡張設定を含めるとISO50~102400に対応。ISO12800くらいまではノイズもあまり目立たず、十分実用的といえます。


ISO12800で撮影。拡大表示にすると暗部にはざらつきが見られますが、特に汚い印象はなく、発色や解像感にも不満はありません。99mm ISO12800 F4 1/200秒 WBオート

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