機材レポート

AIを活用したAFって? オリンパス「OM-D E-M1X」の新機能を試してみた【その1/インテリジェント被写体認識 AF】

オリンパスOM-Dシリーズにおけるもうひとつのプロフェッショナルモデル「OM-D E-M1X」。前回の記事では主に外観上の特徴や使い勝手について言及したが、機能面についても触れていきたい。

OM-D E-M1X
縦位置グリップ一体型の形状による大きさやボリューム感が際立つ「OM-D E-M1X」。実売価格は36万5040円(ボディ)。

 

オリンパス OM-D E-M1X レビュー
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OM-D E-M1Xは、画像処理エンジン「TruePic VIII」を2基搭載することで起動やデータ書き込みなどの高速レスポンスを実現。それによって「インテリジェント被写体認識 AF」「ライブND」「手持ちハイレゾショット」といった、最先端の撮影機能を可能としている。今回は、「インテリジェント被写体認識 AF」について実写を交えつつ紹介しよう。

 

AI技術を活用して特定の被写体を自動検出する「インテリジェント被写体認識AF」

撮像センサーの仕様や連続撮影速度はOM-D E-M1 Mark IIと変わらないOM-D E-M1Xだが、撮影機能や操作性などはけっこう変更や進化が見られる。そう、縦位置グリップ一体型の形状でバッテリーが2個装填できるだけではないのだ。

 

“機能の進化”の原動力になっているのが、OM-D E-M1 Mark IIにも搭載されている高速画像処理エンジン「TruePic VIII」が2基搭載されたことである。

 

その進化した機能のひとつが「インテリジェント被写体認識AF」である。AI(人工知能)の一種であるディープラーニングテクノロジー(※)を利用して開発したアルゴリズムを新たに搭載。それにより、モータースポーツ、飛行機、鉄道の3ジャンルの被写体を自動で検出して追従し、最適なポイント(モータースポーツならドライバーのヘルメット、鉄道なら車両や運転席、などなど)にピントを合わせてくれるのだ。これにより、撮影者はよりいっそう構図やシャッターのタイミングに集中することができるようになる。

※ディープラーニング:人工知能研究の1つで、コンピューターが物事を理解するための新しい学習方法。直訳すると「深層学習」。人間の脳をモデルとするニューラルネットワーク技術を基にしていて、データに含まれる特徴を段階的に深く学習することが可能になる。ただし、OM-D E-M1Xに関しては、個々の撮影者の撮影によって学習が進むわけではない(今後のファームアップでアルゴリズムの進化は考えられるが)。

 

それでは「インテリジェント被写体認識AF」の実力を試すため、飛行機を撮影してみよう。今回は、新しい高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3」を装着して、空港を離発着する飛行機を狙う。

 

インテリジェント被写体認識AFを機能させるには、まずAF方式を「C-AF+TR」もしくは「C-AF+TR MF」に設定する必要がある。その上で、カスタムメニューA3.AF/MFの「追尾被写体設定」で、3ジャンルの被写体を選択する。

 

次の3カットは、離陸する航空機を30数カット連写したなかから抽出したもの。最初のカットは、手前の滑走路を広く取り入れた構図だが、もちろん問題なく被写体認識を開始。次のカットは離陸直後の姿を画面中央付近で捉える。そして、離陸後の上昇を続ける“小さくなっていく姿”を画面上方に入れて撮影した。

共通データ:オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3 シャッター優先オート 1/2000秒 WB:オート

 

なお、ここで撮影した30数カットも含め、航空機の大きさや位置、また周囲の状況によっては、うまく被写体認識されていないカットもあった(再生時の総合表示で確認すると)。

 

ただし、それらのカットも、拡大してチェックしてみて「ピントがアマい」と感じるカットはなく、全体的な被写体追従の安定感は感じられた。ちなみに、かなり遠くを飛ぶ“豆粒”のような飛行機も、しっかり被写体認識してくれるのには感心した。

 

次回は「ライブND」についてご紹介しよう。