機材レポート

シャッター速度4秒の手持ち撮影!? オリンパス「OM-D E-M1X」レビューまとめ

オリンパスOM-Dシリーズにおけるもうひとつのプロフェッショナルモデル「OM-D E-M1X」。これまで、その使い勝手や、画像処理エンジン2機搭載によって実現した新機能「インテリジェント被写体認識 AF」「ライブND」「手持ちハイレゾショット」などについて紹介してきた。最後に本稿では、手ぶれ補正の進化に関するレビューと、全体のまとめを行いたい。

OM-D E-M1X
縦位置グリップ一体型の形状による大きさやボリューム感が際立つ「OM-D E-M1X」。実売価格は36万5040円(ボディ)。

 

オリンパス OM-D E-M1X レビュー
気になる“縦位置グリップ一体型”の使用感は?
AIを活用したAFって? インテリジェント被写体認識AFを試してみた
NDフィルターの効果を疑似的に再現!? ライブNDを試してみた
手持ちでも圧倒的な精細感! 手持ちハイレゾショットを試してみた

 

さらに補正効果が高まった「世界最高約7.5段の手ぶれ補正」

OM-D E-M1Xでは、OM-D E-M1 Mark IIで“世界最強”を謳っていた手ぶれ補正機構がさらにレベルアップ。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせで“世界最高”となる「最高約7.5段」、ボディ単体でも「最高約7.0段」のブレ補正効果を達成したのである(OM-D E-M1 Mark IIは、最高約6.5段、ボディ単体で最高約6.0段)。

 

この驚異的なブレ補正能力は、従来比5倍相当の手ぶれ検出精度を持つ新開発のジャイロセンサーの搭載によって実現できたとのこと。

 

この“世界最高約7.5段”の手ぶれ補正。メーカーは「シャッター速度4秒の手持ち撮影でも手ぶれが発生しない」と、その圧倒的な性能を謳っている(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用時において)。

 

実際に撮影してみても、焦点距離が広角域だとその触れ込みどおりの結果を得ることができた。そして、100mm(35mm判換算:200mm相当)くらいの望遠域で撮影する場合には、1秒くらいまで手持ちでシャープに写せそうだ。まあ、そのあたりの限界値は、撮影状況や個人差によって変わってくるだろう。

<広角域で4秒の手持ち撮影>


オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(12ミリで撮影) シャッター優先オート F8 4秒 WB:オート ISO200

 

<望遠域で1秒の手持ち撮影>


オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(100ミリで撮影) シャッター優先オート F4 1秒 WB:オート ISO200

 

【まとめ】OM-D E-M1Xは、より高みを目指したプロフェッショナルモデル

安定したホールディング性や高い操作性を実現するための、縦位置グリップ一体構造。オリンパス OM-D E-M1Xで最初に印象に残るのは、そのボディのフォルムと重厚感だろう。そして、高速画像処理エンジン「TruePic VIII」を2基搭載する新構成によって実現できた新機能「インテリジェント被写体認識 AF」「ライブND」「手持ちハイレゾショット」を実際に使用して、その実用性や利便性の高さに感心した。

 

だが、OM-D E-M1 Mark IIから進化した点は、実はまだ数多くある。従来(IPX1)よりもはるかに厳しい防滴試験を実施し、より過酷な環境下でも使用できる進化した防塵・防滴・耐低温構造。OM-D E-M1 Mark IIの20万回を大きく超える、40万回の作動試験をクリアした高耐久シャッターユニットの搭載。5タブ・7項目で計35項目が登録できる「マイメニュー」の採用。AFターゲットモードに、鳥や小動物の撮影に有効な「グループ25点」を追加。人工照明下でのフリッカーの影響を軽減するフリッカーレス撮影に対応……などなど。

 

このように、このOM-D E-M1Xは、OM-D E-M1 Mark IIと同様にプロユースを想定したモデルだが、その基本性能(仕様)や撮影機能を見る限り“より高みを目指したプロフェッショナルモデル”と言えるだろう。また、モードダイヤルから「i AUTO」や「ART」モードが消えた点からも、そのことがうかがえる。

新しく採用された、5タブ・7項目で計35項目が登録できる「マイメニュー」。同様の機能は他社製品にもあるが、タブ分けして登録できる点が便利!