機材レポート

50年以上前に数年間だけ販売された希少レンズ「MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8」が今でもクリアな描写だった

中村文夫の古レンズ温故知新「MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8」

今回紹介する「マイネタール テレフォト 135mm F2.8」が市場に出たのは1962年ごろ。マイネタールレンズの販売期間はわずか3年足らずなので、希少価値という意味でとても珍しい製品と言えるだろう。

MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8

トキナーレンズの先祖「マイネタール」 半世紀以上前のレンズだがしっかり撮れる

トキナーの創業は1950年。当時の社名は東京光器製作所で、新宿区西大久保で板ガラス研磨工場として産声を上げた。カメラ用交換レンズ市場参入は1960年。初期の製品は写真用品商社の「みなと商会」が販売したので、同社のブランドであるマイネッテから「マイネタール」と名付けられた。

そして、1965年に現在のCP+の前身である日本カメラショーに初参加。こんどはラッキー引伸機の藤本写真機製作所と組んだことから、「ラッキートキナー」というブランドになる。

ちなみに、トキナーは東京光器の社名にフォトキナを組み合わせたものだという。ブランドからラッキーが取れたのは1968年。1970年にブランドと社名の統一を図りトキナーに改称された。

※2011年にケンコーと合併して社名がケンコー・トキナーとなり、現在トキナーはブランド名として使用されている。

 
MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8

MINETARと書いてマイネタールと読む。レンズ構成は4群5枚、コーティングはマゼンタコートで絞りはプリセット式だ。発売当時の定価は14,500円だった。

 

 
MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8

マウントは交換式。Tマウントに似たねじ込み式だが、独自の規格なので他社との互換性はない。このレンズにはミノルタSRマウントが付いていたので、レイクォール製ミノルタMD→αE用アダプターを使用した。

 

 
MINETAR TELEPHOTO 135mm F2.8(撮影:中村文夫)

ボケ味にクセがあるが画面中央部の解像度は非常に高い。コーティングは単層なので逆光に弱いが、ハレ切りをしっかり行なえば50年以上前の製品とは思えないほどクリアな写真が撮れる。

ソニー α7R F4 1/320秒 +0.3補正 ISO100

 

 
〈文・写真〉中村文夫