機材レポート

パナソニック「LUMIX S1/S1R」の“動物認識AF”の実力は? 猫&鳥で試してみた【動画アリ】

3月に発売されたばかりのパナソニック初のフルサイズミラーレス「LUMIX S1/S1R」。前回のレビューでは、LUMIXシリーズにおける立ち居地や、S1とS1Rの違いなどについて解説したが、今回はAF、特に動物認識について詳しく見ていこう。

 

新たに搭載された動物認識の効果は?

筆者は、LUMIX S1/S1RのAFについて、CAPA4月号誌面にて先んじて「人物認識」を重点的にチェックした。ざっくりそのときの感想をまとめると、G9PROなどで得られた確度の高さを同じレベルで感じることができた。ただし、被写界深度が浅くなったぶん、当たりの数は若干少なくなった印象も受けた。

 

ということで、今回は新たに搭載された動物認識機能を、ファインダーをそのまま記録した映像とともに紹介してみよう。主に鳥、犬、猫の認識が可能ということだが、その他の動物でも試してみた。

 

※いずれもLUMIX S1とS PRO 70-200mmF4レンズで撮影

動物認識テスト――猫編

たまたま出会ったのがキジトラの猫。見るからに色の点でも、明るさの点でも、周囲の木などと同化してしまっているように感じるほどだったので、認識は無理かと思われたが、全くそんな心配は要らないほど、しっかり認識してくれた。撮影中に大木の背後から現れた猫もしっかり認識枠が表示され始め、驚くと同時にここまで認識してしまうのかと少し怖くもなったほどだ。ほとんど正面を見ることもなかったが、去るまで認識し続けた。

動画をご覧いただくとわかるように、正面を見ているのは最初だけだが、人体認識と同じように、後ろ姿でもしっかり枠が囲み、認識し続けているのが凄いところ。アップにしてみると、しっかり目にピントが合っていることにも驚く。

 

動物認識テスト――鳥編

カモメやハト、白サギなどで試してみたが、どれも差がないほどに、見事に認識してくれた。止まっている鳥では問題なく認識・撮影できる印象だ。猫の場合と同じで、やはりしっかり目にピントがきている。人慣れしているカモメでは70~200ミリの165ミリあたりで、いっぱいいっぱいにフレーミングするくらい寄っているが、目にピントはもちろん、羽根の質感まで極めてシャープに写し取られていて気持ちいい描写だ。

 

ただ、飛んでいる鳥などに急に合わせようとしても、これはなかなか難しく、うまくいかないこともあった。今回試した限りでは、この辺りはまだ一眼レフには及ばない部分なのかなと感じた。

浅瀬に佇みエサを探すサギを撮ってみたが、水面の反射しているところまで枠が認識した。どんなアルゴリズムで認識しているのか皆目検討がつかないが、驚愕の認識能力だ。わざとカメラを左右に大きく振ってみたが、フレームが追い続け、確実に捕捉しているのがわかる。構図を変えるときなどにも特にフレーム移動操作をすることなく使えることになる。

 

【番外編】動物認識テスト――亀編

ちなみに池にたくさんの亀がいたので撮影してみた。これまたビックリ、すんなりと認識してくれた。亀は入ってたかなあ…!? とにかくこれが亀(動物)であると認識しているかどうかはわからないが、少し離れていても甲羅の部分にしっかり四角い枠が出て、優先的にピントを合わせにいってくれている。

このような様子を見ていると、普段使いのAFモードとして十分信頼を持って使えるだろう。もちろん確率10割はありえないので、もし認識しない場合は、すぐジョイスティックを動かし、AFフレームをアクティブにして任意で追えるようにする手順が便利そうだ。それにしても甲羅の質感、細かなディテールまで見事に写し出されていて感激した。外来種なのであまり喜んでもいられないのだが。

 

AF操作は、親指部に集中してわかりやすい

今回は静止している場合で試すことが多かったが、このように動物認識もかなりのレベルで便利に使えることがわかった。AFでの操作は、基本親指の辺りに集中し、慣れれば設定変更などの操作がしやすいのもポイント。AFモード(測距点の選択操作)も、使わないだろうなというモードは表示されないようにカスタムで設定(AF表示モードの制限)し、AFモードボタンを1、2度押す程度で即座に対応できるようにしておきたい。