機材レポート

待ちに待った高級コンデジ「GR III」はさすがの完成度だった!【じっくりレビュー】

多彩な表現が追求できるイメージコントロール

GR IIIには、これまでの「画像設定」と「エフェクト」を統合した、新たな仕上がり調整機能の「イメージコントロール」が搭載されている。その基本となるモードは、スタンダード、ビビッド、モノトーン、ソフトモノトーン、ハードモノトーン、ハイコントラスト白黒、ポジフィルム調、ブリーチバイパス、レトロ、HDR調、の10種類。これらのモードをベースにしながら、彩度や色相、キー、コントラスト、コントラスト(明部/暗部)、シャープネス、調色といった、さまざまな項目が調整できる(モードによって調整可能項目は異なる)。

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「イメージコントロール」の機能は、ADJレバーを押し込んで呼び出す(ADJモードの初期設定で登録されている)。

 

基本10モードをチェックしたが、モノクロモードが充実している一方、カラーモードがやや物足りない…という印象を受けた。ブリーチバイパス、レトロ、HDR調といった少し特殊なモードはあるが、風景やポートレート用のモードがないのである。今後のファームアップでは、そういった“一般的なカラーモードの充実”にも期待したい。

<ビビッド>

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メリハリがあって色鮮やかな仕上がりになる「ビビッド」。この場面では、植物の緑色の鮮やかさが印象的だった。/リコー GR III 絞り優先オート F2.8 1/50秒 WB:太陽光 ISO100

 

<レトロ>

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古い写真のような仕上がりになる「レトロ」。色鮮やかな被写体の色が抑え気味になり、古めかしい色調が得られる。/リコー GR III 絞り優先オート F4 1/50秒 WB:太陽光 ISO200

 

<ハイコントラスト白黒>

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非常にコントラストが高くて、光と影のメリハリが印象的な「ハイコントラスト白黒」。/リコー GR III 絞り優先オート F8 1/160秒 ISO200

 

6cmまで寄れるマクロモードを搭載

前モデルのGR IIは、通常モードで約30cm、マクロモードに切り換えると約10cmの距離までピントが合った(いずれも被写体からレンズ先端までの距離)。この“約10cmまで”という値も、APS-Cサイズのカメラとしては立派である。だが、今回のGR IIIは、通常モードでも無限遠から約10cmまでピントが合う。そして、マクロモードに切り換えると約6cmまでピントが合うようになる(約12cm~6cmの範囲で)。数値上ではわずか4cmの差だが、広角域での数cmの差は、予想以上に大きな絵柄の差となる。

<通常モードで撮影(約10cm)>

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<マクロモードで撮影(約6cm)>

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ビオラの群生の中の一輪に注目し、マクロモードの最短付近で撮影。“画面いっぱい”とはいかないが、かなり大きく写せて、その存在感が出せた。一方、通常モードの最短(約10cm)近くだと、狙った花があまり大きく写せず、その存在感もいまいち。/共通データ:リコー GR III 絞り優先オート F2.8 1/60秒 WB:オート ISO200

 

モニターの明るさを素早く変えられるアウトドアモニター

明るい日中の屋外や、反対に薄暗い夜間や室内――こういった明るさの異なる環境で、液晶モニターの明るさを素早く調節できる「アウトドアモニター」機能を搭載。また、素早く調節できるだけでなく、輝度調整範囲が通常より拡大できるのも、この機能の特徴である。

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「アウトドアモニター」は、イメージコントロールと同様、ADJモードの初期設定に登録されている機能である。ちなみに、このアウトドアモニター機能はペンタックスブランドのフルサイズ一眼レフ、K-1シリーズにも搭載されている。

 

【まとめ】基本コンセプトは踏襲しつつ中身は大幅に進化

利便性の高いズームレンズは採用せず、ひたすら高画質設計の広角単焦点を採用し続ける。ボディデザインや操作性も極力変えない。そして、安易にモデルチェンジはせずに、ファームアップによって機能拡張や完成度を高める。そんなGRシリーズの進化の歴史は、他のカメラに対するアンチテーゼとも言える。

 

その一方で、GRシリーズの大きな特徴である小型軽量をキープしながら、2013年発売のGRで撮像センサーサイズを1/1.8型や1/1.7型からAPS-Cサイズへと大型化。そして、今回の「GR III」では、タッチパネル機能やセンサーシフト式の手ブレ補正機構が搭載された。AFシステムには、速写性と精度を両立するハイブリッド方式が採用されている。

 

また、レンズ一体型のカメラではあるが、撮像センサー前面の光学部材に超音波振動を加えて付着したホコリなどを除去するDR II(Dust Removal II)も新搭載されている。

 

GR IIIの外観だけを見ると「GR IIから内蔵フラッシュをなくして小型化したモデル」という印象を受けるかもしれない。だが、その基本性能や機能は、かなり大きく進化しているのである。

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外部インターフェースにUSB Type-Cを採用。だから、PCやモバイルバッテリーなどと接続して充電することが可能。

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