機材レポート

AFとMFで写真はどう変わる? 万能広角単焦点レンズ「FiRIN 20mm F2 FE」の2タイプを使い比べてみた

トキナーのミラーレス用レンズシリーズ「FiRIN」。本シリーズのなかに20mmの広角単焦点レンズがある。このレンズは実にユニークなレンズで、同じ光学系を採用したオートフォーカスタイプ「FiRIN 20mm F2 FE AF」とマニュアルフォーカスタイプ「FiRIN 20mm F2 FE MF」の2つの製品が用意されている。今回はこの2つを同時に使い比べることができたので、レポートしていきたい。

▲「FiRIN 20mm F2 FE」。2018年4月20日発売。希望小売価格:138,000円

 

基本スペックとデザイン

FiRIN 20mm F2 FEは、ソニーフルサイズミラーレスEマウント用のレンズで、明るさをF2としたことで非常に小さく取り回しの良いサイズ感を実現。フィルターサイズは62mm、最短撮影距離は28cmと接近戦もこなしてくれる。また、AF、MFともにソニーの光学補正に対応している。

 

デザインについては、AFはスッキリとしたイメージで、絞りはカメラ側のダイヤルを回して絞るように作られている。対してMFはすべてレンズ側の操作で完結できるように絞りダイヤルがレンズに備わっている。またこの絞りリングは、無段階に変更することが可能。マニュアルフォーカスのレンズというよりマニュアルレンズという性格のレンズで、デザイン的にも距離指標が付くなどマニュアルレンズ感が漂う。

▲オートフォーカスタイプ「FiRIN 20mm F2 FE AF」

 

▲マニュアルフォーカスタイプ「FiRIN 20mm F2 FE MF」

 

レンズ構成は11郡13枚、高価なSDガラスがふんだんに使われており、前後にガラスモールド非球面レンズを配置したことで入り口と出口で光を整えている。中心から周辺までシャープな印象で、色ヌケも良い。また、撮り味も独特で、コントラストはしっかりと確保されつつもどこかマットな印象がある。さらに、しっとりとした色ノリで独特な青の発色が見られる非常に面白い撮り味だ。

 

 

AFタイプとMFタイプの違いは?

続いて、AFタイプとMFタイプの両方を実際に使ってみて感じたことについて触れていきたい。

 

まずAFタイプは、「直感的」に面白いと思った時にテンポよく撮るレンズといった印象で、風景撮影はもちろんストリートスナップなどにも向いているレンズだと言えるだろう。

ソニー α7 III  F4.5 1/200秒 ISO400

 

ソニー α7 III F2 1/250秒 ISO400

 

ソニー α7 III F2.8 1/2000秒 ISO200

 

対してMFタイプは撮影する前から完成をイメージしじっくりと被写体に向かい、それに合わせてレンズをセッティングする…といった「思考」しながら使うイメージだ。考えながら被写体に向き合うことで撮影のアイディアが浮かび、「より自分らしい一枚」を撮影することに向いていると言えそうだ。

ソニー α7 III F9 1/20秒 ISO400

 

ソニー α7 III F9 1/250秒 ISO100

 

ソニー α7 III F7.1 1/6400秒 ISO200

 

AFとMF、2つのタイプを用意した理由は、撮影スタイルや撮り手の好みによってレンズの使い方が違うため、それに合わせて選べるようにしてあるのではと筆者は感じた。

 

しっとりとした色ノリと印象的な青の発色

上述のように独特な色ノリのレンズで、しっとりとした色ノリを見せる。また、青の発色も独特でトキナーが提唱しているトキナーブルーという青の発色が印象的なレンズだ。点光源を画面の隅の方に配置したが極端なゴーストは見られない。

ソニー α7 III F2 1/8秒 ISO1600

 

F2の明るさを生かした星空撮影

広角20mmであれば、星空の撮影も十分楽しめる。F2という明るさは、比較的短い秒数で星空を撮影できるため、星が流れずに「点」のままで撮ることができる。また20mmという焦点距離で星空を撮影すると天の川も大きく撮ることができる。

ソニー α7 III F2 13秒 ISO3200

 

【まとめ】万能な焦点距離と独特な味わいを備えたユニークなレンズ

20mmという焦点距離は、パースはつくがデフォルメされないという特性を持っている。いわば広角側の標準的な使い方ができる万能な焦点距離だと言えよう。FiRIN 20mm F2 FEは、その万能な焦点距離を備えたレンズでありながら、撮り手のスタイルや好みによって使い方の違う2つのタイプを用意したレンズだ。また、味わいも個性的で独特な発色を持つユニークなレンズだと言えるだろう。