2019年8月29日にソニーのAPS-Cサイズ機のフラッグシップモデルとなる「α6600」が発表された。今回は、タッチ&トライを中心にその詳細をお伝えしよう。
▲ α9のAIを採用したAFシステムを搭載し、リアルタイムトラッキングやリアルタイム瞳AFを実現したα6600。しかもAPS-Cサイズらしいコンパクトな仕上がりだ。
▲発表会に登壇した、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社の田中健二氏(左)と、ソニーマーケティング株式会社の小笠原啓克氏(右)。
フラッグシップ機らしい「格」を感じるカメラ
デザインはα6000シリーズでお馴染みのトップがフラットなタイプ。α6500と見分けがつかないほどよく似ている。しかしグリップの形が新しくなり、よりしっかり握れるようになった。実際にα6500と握り比べてみると、その違いはすぐわかる。α6500のグリップは薄く感じるのに対し、α6600は厚みがあり、ガッチリ握れる印象だ。大口径レンズや望遠レンズを装着した際に安定して構えられる。また手の大きな人にとっても握りやすいだろう。
▲グリップは大きくなり、しっかり握れるようになった。手の大きな欧米人にも支持されそうだ。また、マグネシウムボディにより高級感のある仕上がりも味わえる。
▲今やデジタルカメラには必須ともいえるタッチパネル。AF測距点や再生画面の拡大、スクロールなどスマホ感覚でスムーズな操作ができる。
▲チルト式モニターは、180度反転も可能だ。写真はもちろん、動画でも様々なアングルで撮影が可能になるため、幅広い表現ができる。
また手にして感じるのが質感の高さだ。ボディ全面にマグネシウムを採用し、“ガッチリ感”が伝わってくる。そしてブラックボディも重厚さが漂う。発表会でのトークショーで、写真家のハービー・山口さんも「カメラの満足感には『格』が重要。α6600のマットブラックにはそれがあっていいね」と語っていた。
▲発表会では、ハービー・山口さんと川音真矢さんによるトークショーも開催。「コンパクトなAPS-C機のα6600は、長時間持っていても疲れないね」とハービーさん。川音さんは「普段使っているα9と同じAFが気に入りました」と語った。
バッテリーが大型化したのもα6600の特徴だ。α9などと共通のZバッテリーを採用。α6500と比較すると、2.3倍以上となる約810枚の撮影が可能になった。ハービー・山口さんと共にトークショーに登壇した川音真矢さんによると、RAWで1500枚撮影してもまだバッテリー残量があったとのこと。ミラーレスは一眼レフと比べると撮影可能枚数が弱点と言われる場合が多いが、これなら予備バッテリーがなくても1日中撮影できそうだ。
▲α9などと同じZバッテリー(NP-FZ100)を使用。α6000シリーズのなかでズバ抜けたバッテリーライフを実現している。高速連写の多用や、4K動画撮影でも安心だ。
機能で最も進化したのがAFだ。AF速度はわずか0.02秒。位相差AFセンサーもコントラストAFも425点あり、画面の広い範囲で測距を可能にしている。
さらに注目なのが、フルサイズの最上位機、α9で採用しているAI(人工知能)を搭載したことだ。リアルタイムトラッキングや、人物にも動物にも対応したリアルタイム瞳AFを実現した。実際にα6600を人物に向けてみると、瞬時に瞳を認識。そのまま人物が動いたり、カメラを動かしたりしても高精度で瞳を追い続ける。AF・AE追従11コマ/秒の高速連写とあわせて、ポートレートやスポーツに大きな威力を発揮するだろう。
さらにα6600は、約5.0段の効果が得られるボディ内5軸手ブレ補正や、4K HDR動画機能、動画撮影時のリアルタイムトラッキング/瞳AFを搭載し、写真も動画も高いレベルの撮影が可能。α6600はプロ仕様機とは謳っていないが、随所にフラッグシップ機らしい仕上がりが感じられた。
スタンダードモデル&交換レンズも発表
α6600と同時に、α6000シリーズのスタンダードモデルとなる「α6100」も発表された。α6600、α6400と同じ約2420万画素のCMOSセンサーExmorや画像処理エンジンBIONZ Xを採用。α6600、α6400と同等の高画質が得られる。さらにAIを活用したリアルタイムトラッキング、リアルタイム瞳AFも可能。180度反転できるタッチ式の背面モニターや有機ELファインダー、4K動画機能など、スタンダードモデルとは思えないほど高いスペックを備えている。
▲スタンダードモデルのα6100。上位機に迫るスペックがライトに楽しめる。ボディカラーはブラックとホワイトが選べる。
そしてAPS-Cサイズ専用のレンズも2本追加された。どちらも高性能のGレンズだ。
そのうちの1本、「E 16-55mm F2.8 G」は、35mm判換算24-82.5mm相当の大口径標準ズームレンズ。高度非球面AAレンズ2枚や非球面レンズ2枚、EDガラス3枚使用し、画面周辺部まで高い解像力が得られる。大口径レンズらしい美しいボケやナノARコーティングにより逆光にも強い。
▲α6600に装着したE 16-55mm F2.8 G。大口径ながらコンパクトなのはさすがAPS-C専用レンズだ。最短撮影距離は0.33mで近接撮影にも強い。
もう1本の「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」は、105-525mm相当の望遠ズームだ。テレ側は500mmを超える超望遠ながら、コンパクトで重さは635gの軽量。カスタマイズに対応したフォーカスホールドボタンも備え、スポーツや野鳥など、幅広い被写体で望遠撮影が楽しめる。
▲α6600に装着したE 70-350mm F4.5-6.3 G OSS。超望遠撮影も楽に手持ちでできる。また今回発表された2本のレンズは、どちらもG Masterレンズに搭載しているXDリニアモーターを採用し、高速で高精度のAFを実現している。
APS-Cシステムの充実で「α」の魅力が増した
α6600は、α5000やα6000シリーズユーザーのステップアップ、またフルサイズのα9やα7シリーズのサブ機としても適している。α9のAFは魅力だが、フルサイズはどうしてもシステムが大柄になりやすい。コンパクトな機材でフットワークを生かした撮影をしたい人に、APS-Cのα6600は最適と言えるだろう。
またα6100は、コンパクトデジタルやスマートフォンからステップアップしたい人におすすめだ。上位機並みのAFや高画質を備え、タッチパネルも持つ。α6600やα6500と併用してαのAPS-Cシステムを構築したい人にも注目だ。
ソニーαといえばフルサイズミラーレスシステムを思い浮かべる人が多いかもしれないが、APS-Cのシステムも充実し、αの魅力がより増したのを実感した。