機材レポート

テレ端は800mm相当! 欲しい焦点距離が凝縮した最強の超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」

コンパクトな撮影システムを構築できるオリンパスのマイクロフォーサーズシステム。近年は「PROシリーズ」を中心に超広角から望遠まで幅広い焦点域でレンズを増やしてきた。ただし、超望遠域には「ED 300mm F4.0 IS PRO」と設計の古い「ED 75-300mm F4.8-6.7 II」があるのみで、高性能な超望遠ズームのポジションは空席となっていた。

 

以前より「ED 150-400mm F4.5 TC1.25× IS PRO」の開発がアナウンスされており、その登場を多くのユーザーが期待していた。これを追い越すように2020年9月に発売された超望遠ズームレンズが、「ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」だ。スタンダードタイプのレンズだが、「PROレンズ」に迫る性能を持っているという。35mm判換算で800mm相当にもなるテレ端の描写や手ブレ補正の能力はどうなのか、気になる点を鉄道、動物、風景、花や昆虫という幅広いジャンルで確認した。

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」は、35mm判換算で200〜800mm相当の焦点域をカバーする超望遠ズームレンズ。最大径86.4mm、全長205.7mm、重さ1,325g (三脚座を含む) とマイクロフォーサーズ用レンズとしてはやや大ぶり。フードはシンプルな着脱式で、反転させてレンズにかぶせるとコンパクトに収納できる。三脚座は回転・着脱が可能。台座にはアルカスイス互換の切り込みがあり、対応する雲台への着脱をワンタッチで行うことができる。

 

大きさに圧倒されるが実際の取り回しはよい

「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」は、35mm判換算で200mm相当から800mm相当までの画角をカバーする超望遠4倍ズームレンズ。レンズ構成は15群21枚で、EDレンズ4枚に加え、HR (高屈折率) レンズ2枚、スーパーHR (超高屈折率) レンズ2枚を使用して諸収差の補正を図り、ズーム全域で高い描写性能を実現している。さらにZEROコーティングをレンズ各所に施すことで、ゴースト・フレアの発生を軽減。これらの贅沢な光学設計により、逆光などの悪条件下でもシャープな描写が得られる。

 

まず実物を目にするとレンズの大きさに驚かされる。「ED 300mm F4.0 IS PRO」より全長は少し短く、重量もやや軽いが、フルサイズ機用に各社から発売されている100-400mmズームレンズと同等の大きさがあり、重さも1kgを超える。同じ焦点域をカバーするパナソニックの「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.」に近いコンパクトサイズをイメージしていたので、第一印象は「デカい」だった。

 

しかし、実際に「OM-D E-M1X」や「E-M1 Mark III」と組み合わせ、フィールドで撮影してみるとその印象は変わった。レンズの長さに対して重量バランスがよく、画角が極端に狭くなる超望遠域でも安定して構えることができ、取り回しもよいと感じた。「PROレンズ」シリーズと同等の防塵・防滴性能を持っている点も安心感につながる。

 

レンズにはIS (手ブレ補正機能) が内蔵されており、単体でシャッター速度3段分の補正効果が得られる。カメラボディの手ブレ補正と連動して高い補正効果が得られる「5軸シンクロ手ぶれ補正」には対応していないが、オリンパスの主要モデルと組み合わせることで、レンズの手ブレ補正とカメラの手ブレ補正を同時に働かせることができる。カメラ側の手ブレ補正が同時に働くことで、回転ブレの補正も行われる。撮影してみると、「5軸シンクロ手ブレ補正」に対応した「ED 300mm F4.0 IS PRO」のように、スローシャッター時にもピタリとファインダー像が止まるような強力さは感じないが、しっかりと手ブレ補正効果が得られると感じた。

 

※E-M1X / E-M1 Mark III / E-M1 Mark II / E-M5 Mark III / E-M5 / E-M10 Mark IV / E-M10 Mark III / E-M10 Mark II / E-M10 / E-P5 / E-PL10 / E-PL9 / E-PL8 / E-PL7では、カメラ本体の手ブレ補正とレンズ側の手ブレ補正を同時に使用できる。

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

ズームリングが100mmのとき (写真上) の全長は205.7mm。400mmまでズームリングを回す (写真下) と、約60mm伸びる。左手側の側面には、上からフォースリミットスイッチ (AF駆動範囲の切り替え) 、AF/MF切り替えスイッチ、ISスイッチ (レンズ内手ブレ補正のON/OFF) の3つのスイッチが並ぶ。

 

広いズームレンジを使いタイトな構図の鉄道撮影ができる

鉄道撮影において、望遠域で必要な焦点距離としてまず挙げられるのは300mm。線路周辺の障害物を避けつつ、列車の姿を大きく捉えるのに適している。特にカーブの外側に陣取り、列車がカーブに進入してきたところを正面から狙う「アウトカーブ」の撮影では、この300mm前後の焦点距離が使われることが多い。ただ、撮影条件によっては、より焦点距離の長い400mmや500mmが必要になることもある。

 

その点、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」は、これらの焦点域に加え、最長で800mm相当 (35mm判換算) の画角までカバーしており、通常の望遠ズームレンズでは撮影が難しい条件でも列車を撮ることが可能。画面から車両がはみ出すほどのタイトな構図で攻めることもできる点は大きな魅力といえる。

 

オートフォーカスは非常に速く、モーターの作動音は静か。「OM-D E-M1X」のインテリジェント被写体認識AFの「鉄道認識AF」を選択して撮影したが、走ってくる列車に対して正確にピントを合わせ続けた。また、本来であれば、三脚を使って慎重にフレーミングしたいところだが、機動力の高さを体感するため手持ちで撮影した。レンズ側の手ブレ補正効果で長焦点域でもファインダー像が安定し、列車の動きに合わせてレンズを振っても、スムーズに撮ることができた。

 

アウトカーブ撮影で画面一杯に列車を捉える

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

カーブした線路の外側に立ち、カーブを曲がってくる列車の先頭部を正面から狙う典型的な「アウトカーブ」の撮影。通常であれば300mm相当の画角で撮るようなシーンだが、列車を少しでも大きく撮ろうと約370mm相当までズームアップして撮影した。ライトが点灯していたが、ゴーストは発生せず、AFが幻惑されることもなかった。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS シャッター速度優先オート 1/320秒 F8 −0.7補正 ISO200 WB:オート (JR四国・予讃線 鬼無~端岡)

 

800mm相当だから撮れたS字カーブを行く寝台特急電車

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

2つの踏切に挟まれたS字カーブ区間。長編成の列車が編成をくねらせる様子を撮りたいと以前から思っていたポイントだ。400mm相当や600mm相当のレンズでは焦点距離が足らずに撮影を諦めていたが、800mm相当の画角が得られることで、手前にカーブする線路を入れつつ、奥のカーブを曲がる寝台特急電車を絶妙な構図で捉えることができた。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS シャッター速度優先オート 1/1600秒 F6.3 −0.7補正 ISO400 WB:オート (JR四国・予讃線 鬼無~端岡)

 

引きの構図で役立つ200mm相当のワイド端

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

ワイド端200mm相当 (35mm判換算) は写真のように列車をサイドから編成を撮るときなどに使いたい。ここでは、朝日を浴びて走る列車と画面下に広がるため池の水面にその列車が映る様子を少し引きの構図で狙った。ディストーションはしっかり補正され、直線が歪まずに真っ直ぐに写り、気持ちのよい写真となった。

オリンパス OM-D E-M1X M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS シャッター速度優先オート 1/2000秒 F5 −0.7補正 ISO500 WB:オート (JR四国・予讃線 鬼無~端岡)

 

ポートレートを撮るように動物をアップで撮影

最近、動物園で100-400mmや150-600mmの超望遠ズームレンズを使って撮影するカメラマンの姿をよく見る。檻や柵が写らないように、また動物の姿を画面一杯に大きく撮りたいとき、超望遠ズームレンズは重宝する。「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の大きさはフルサイズ機用の100-400mmレンズ並みだが、マイクロフォーサーズ規格であることから、得られる画角はAPS-Cサイズ機と150-600mmを組み合わせた状態に近い。小さなシステムでより高い望遠効果が得られることは生きものの撮影では大きなアドバンテージになる。

 

ズームのワイド側では動物の全身像を撮り、テレ側では動物のバストアップや顔のアップを狙うことができる。開放F値はテレ端で6.3と明るいとは言えないが、絞り開放からシャープな描写が得られるので、積極的に絞りを開けて撮りたい。

 

AFは高速で正確だが、柵や檻越しに撮影する場合、フォーカスリミットスイッチを「6m~∞ (無限遠)」に合わせておくと、意図せずAFが手前に合ってしまうことを避けられる。さらに、カメラ側のAF設定を「S-AF+MF」にしておけば、フォーカスロック後にフォーカスリングを回して、ピントの微調整ができるので、被写界深度が浅くなる超望遠撮影時にも正確にピントを合わせられる。

 

背の高いアミメキリンの顔をアップで狙う

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

広い運動場でくつろぐアミメキリン。ワイド側では全身が入る撮影距離だが、テレ端までズームすると顔を大きく撮ることができた。奥にいる若いキリンを撮ろうとシャッターチャンスを待っていると、手前に母親と思われるキリンがフレームインしてきたので、少しカメラを右に振って撮影した。よほど近づかないと細部まで確認できないキリンの顔。長い睫までしっかりと写っている。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F7.1 1/800秒 −0.7補正 ISO1250 WB:オート

 

毛の1本1本までしっかり写る高い解像力

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

まるで人間が日陰で休んでいるかのように腰掛けるワオキツネザルをテレ端800mm相当 (35mm判換算) で撮影。頭上の太陽を見上げ、「暑いなぁ」とでも言いたげな表情が面白い。ピントの合った顔の毛の1本1本がシャープに写っていることが見てとれる。この解像力の高さは、生きものの撮影でも威力を発揮する

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F7.1 1/640秒 −0.7補正 ISO640 WB:オート

ワオキツネザルの顔を拡大 (1200×900ピクセルで切り出し)

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

 

羽毛の質感もしっかり再現

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

夏の暑い時期ということもあり、フラミンゴの群れは日陰で大人しくしていた。輝度差の激しい条件だったので、白とびに注意しながら1羽のフラミンゴをアップで撮影。首から胸にかけての曲線と濃いピンク色の羽根が混じる翼が引き立つようにフレーミングした。羽根の質感がしっかり再現され、狙いどおりの写真となった。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F6.3 1/800秒 −0.7補正 ISO500 WB:晴天

 

スズメが飛び立つ瞬間をC-AFでキャッチ

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

スズメの若鳥が数羽、行水している所に出くわした。少しでも大きく撮るために近づきたいところだが、その場でテレ端までズームしたところ、ちょうどよい画角が得られた。被写体発見からわずか数秒、水浴びしていたスズメが何かに驚き、一斉に飛んでしまったが、なんとか飛び立つ瞬間を捉えることができた。一気に800mm相当まで伸びるズームレンジの広さとカメラのC-AF+静音連写に救われ、撮影できた1枚だ。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F8 1/1600秒 −1補正 ISO1250 WB:晴天

 

最短撮影距離1.3mで捉えたウチワヤンマ

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

このレンズの最短撮影距離はズーム全域で1.3m。テレ端の最大撮影倍率は0.29倍となり、35mm判換算では0.57倍にも達する。これは超望遠ハーフマクロというべき能力で、撮影距離を取りつつ小さな昆虫や花をマクロレンズ並みに拡大撮影できる。写真は低木にとまったタイワンウチワヤンマをほぼ最短撮影距離で撮影したもの。絞りをF9まで絞ったが、被写界深度は浅い。背景は水面だが、まるでスポットライトを浴びているかのような写真になった。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F9 1/1000秒 −0.3補正 ISO1250 WB:晴天

 

2倍テレコンを加えると最大1600mm相当の撮影が可能

「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の最大の魅力は、ずば抜けた超望遠撮影能力。単体だけでなく、対応する1.4倍テレコンバーター「MC-14」、2倍テレコンバーター「MC-20」を加えることで、さらに焦点距離を伸ばすことができる。「MC-14」と組み合わせると、280~1120mm相当 (35mm判換算) をカバーする1000mmオーバーの超望遠ズームレンズになる。もう1本の「MC-20」と組み合わせると400~1600mm相当のほかに類のない“超”超望遠ズームレンズとなる。

 

1600mm相当ともなると、天体を被写体とした撮影に挑戦したくなる。画面ギリギリ一杯に収まるように太陽や月を撮る場合には2400mmは必要になるが、焦点距離が1600mm相当あれば、太陽や月が山の端から昇る瞬間や水平線に沈む瞬間のように地上の風景と絡めた撮影ができる。

 

また、テレコンバーター使用時は、最短撮影距離はそのままで、画角だけ狭くなるので、撮影倍率は高くなる。「MC-14」使用時はズームのテレ端で0.81倍 (35mm判換算)、「MC-20」使用時は1.15倍相当の等倍を超えるマクロ撮影が可能になる。超望遠マクロ撮影ができるという面も「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の優れた部分だ。

 

テレコンバーター MC-20、MC-14に対応

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS、MC-20、MC-14

マスターレンズの光学性能を損なわないように高度な光学設計が行われたM.ZUIKO DIGITALのテレコンバーター、MC-20 (2倍) 、MC-14 (1.4倍) が使用可能。なお、MC-20使用時は開放F値が2段、MC-14使用時は1段暗くなる。

 

1600mm相当 / 2倍テレコンバーター MC-20使用時

2倍テレコンバーター「MC-20」を「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」に装着し、ズームのテレ端、1600mm相当 (35mm判換算) で撮った日の出直後の太陽。山の稜線から太陽が顔を出したところを狙って撮影した。太陽は白とびしているが、大きくフレアが生じることもなく、太陽の輪郭、山の端がくっきりと写っている。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F13 1/1600秒 +1補正 ISO400 WB:晴天 M.ZUIKO DIGITAL 2× Teleconverter MC-20、三脚使用

 

800mm相当 / ズームのテレ端

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

1600mm相当での撮影後、2倍テレコンバーター外して800mm相当 (35mm判換算) で撮影した日の出直後の太陽。太陽は山の稜線を離れたが、山並みと太陽をバランスよく配した構図で狙った。こちらもフレアやゴーストの発生は感じられず、クリアな描写が得られている。ZEROコーティングの効果は絶大だ。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F13 1/800秒 ISO250 WB:晴天 三脚使用

 

200mm相当 / ズームのワイド端

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

ズームテレ端800mm相当 (35mm判換算) での撮影を終え、ワイド端までズームした。手前の岩場をシルエットとして入れ、太陽と海面に伸びる「光の道」を中心にフレーミングしていると、画面左から沖に出る漁船がフレームインしてきた。漁船の姿が「光の道」に重なる瞬間を狙って、シャッターを切った。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F8 1/1250秒 −0.7補正 ISO200 WB:晴天 三脚使用

 

限りなく理想に近い超望遠ズームレンズ

鉄道、動物、野鳥、風景、昆虫、花と様々な被写体、シチュエーションで撮ってきて、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」に対して思うことは「不満がほとんどない」ということ。「5軸シンクロ手ぶれ補正」に対応していればよかったのにと思う部分はあるが、35mm判換算で200〜800mm相当の超望遠ズームレンズに相応しい大きさ、重さを実現しており、AF性能、描写性能は満足できるものだし、近接撮影能力の高さには驚かされるばかりだ。

2019年3月発売の「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3」をレポートしたときにも感じたが、スタンダードタイプのレンズにも「PROレンズ」で培った光学技術、防塵・防滴技術を惜しみなく注ぎ込み、最高のレンズをユーザーに届けたいという開発者の情熱が伝わってくる。スタンダードタイプとしては、やや高価だが、マイクロフォーサーズの超望遠レンズが欲しいという方には、まずこのレンズをオススメしたい。

 

素直な描写で花の撮影もバッチリ

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 作例

水面が見えなくなるほど大きな緑の葉が生い茂る池のところどころに、ピンク色のハスの花が咲いていた。池の中央あたりでキレイに花びらを広げた花を見つけたがかなり遠い。普通の望遠ズームでは届かないが、このズームのテレ端800mm相当 (35mm判換算) を使えば、大輪の花を大きく捉えることができる。絞り開放だが、細部までしっかり解像し、花びらや葉の表面の質感も伝わってくる。

オリンパス OM-D E-M1 Mark III M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 絞り優先オート F6.3 1/1000秒 ISO200 WB:晴天

 

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS 主な仕様

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

発売日 2020年9月11日
希望小売価格 180,000円 (税別)
マウント マイクロフォーサーズ
焦点距離 100〜400mm (35mm判換算 200〜800mm相当)
レンズ構成 15群21枚 (EDレンズ4枚、スーパーHRレンズ2枚、HRレンズ2枚)
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
画角 12° (Wide) 〜3.1° (Tele)
開放絞り F5〜6,3
最小絞り F22
最短撮影距離 1.3m (ズーム全域)
最大撮影倍率 0.29倍 (35mm判換算 0.57倍相当 /400mm時)
手ブレ補正機構 あり
フィルター径 φ72mm
サイズ (最大径×長さ) φ86.4×205.7mm
質量 1,120g (レンズのみ) / 1,325gg (三脚座を含む)
付属品 レンズフードLH-76D ほか