機材レポート

最も高画素なGシリーズ機をGETし、枝垂桜の撮影を堪能する…『キヤノン パワーショットG10』

PowerShot G10(C)吉森信哉
「Gシリーズ」に相応しい風格を感じさせる『キヤノン パワーショットG10』。モードダイヤルとISOダイヤルを同軸上に配した、いわゆる”2段ダイヤル”を初めて搭載したのが、このパワーショットG10だった。当時、「なンだよぉ、この変なトッピング具合は!?」な〜んて思ったりしたけど、その後のG11とG12にも受け継がれる。…ということで、今ではすっかり普通。

大國魂神社の桜(C)吉森信哉
大國魂神社の参道の先にある「髄神門」と、その先の「中雀門」の間の敷地内。そこの枝垂桜の鮮やかなピンク色の花が、訪れる人の目を楽しませてくれる。ただし、木全体の形は整っていないので、「どの位置からどの部分を狙うか?」が、撮影時のポイントになりそう。

 先日、取材で中古カメラ店に行き、その取材とは関係ないモノを見つけてGETしてしまった。そのカメラの名は『キヤノン パワーショットG10』。パワーショットのフラッグシップ「Gシリーズ」に属する高性能な高級コンパクトで、超高精細(高画素)センサーや、広角28ミリ対応の新設計レンズの搭載などが特長的。このパワーショットG10が発売されたのは2008年の10月。はぁ〜、まだまだ新しめのモデルだと思ってたけど、もう4年半近くも経つんだなぁ…。ちなみに、発売時の価格は6万円前後だったが、今回見つけたブツは、元箱や備品一式が揃って1万2600円也。これは買いかもっ!! ただし、微妙に黄ばんでヨレたユーザーズガイド(取扱説明書)は、古本屋の懐かしい匂いがする(笑)。

 パワーショットG10には、1/1.7型「有効画素数1470万画素」のCCDが採用されている。これは歴代のGシリーズの中で、最も高画素なセンサーである。そう、APS-Cサイズに迫る1.5型の大型センサーを搭載する「パワーショットG1X」よりも高画素なのである(こちらは有効画素数1430万画素)。発売から間もない頃、仕事の関係でこのパワーショットG10を借りて、プライベートでも少しだけ使ったけど、画素数の多さはもちろん、その高精細な描写に感心した覚えがあるなぁ。

先ほども述べたけど、パワーショットG10が発売されたのは、4年半近く前の2008年の10月。う〜ん、このカメラを”実用品”として考えると、ちょっと微妙な発売時期かも。ほら、デジタルカメラの世界では、3〜4年くらい前の製品になると、いろんな面で古さが感じられるからねぇ。

…でも、2000年10月発売の「パワーショットG1」から2012年10月発売の「パワーショットG15」までの歴代Gシリーズを見渡した場合、今回の「パワーショットG10」は”実用品の資質”を満たすギリギリのモデルだと思う。センサーの画素数とかの問題ではない。いや、むしろ画素数はお腹いっぱい状態(笑)。まず、搭載ズームレンズの画角が問題になる。G10の前の「パワーショットG9」に搭載されていたのは「35-210ミリ相当」の光学6倍ズーム。200ミリ相当以上の望遠域をカバーするメリットもあるだろうけど、広角端が”35ミリ相当”というのは、いろんな撮影ジャンルで不満に感じるだろう(まあ、当時はそれが当たり前だったけど)。その点、G10はようやく”28ミリ相当”までカバー。光学ズームの倍率は6倍から5倍に下がったけど、そんなコトが些細に感じられるほど、この広角域拡大の魅力は大きい。

さて、その「パワーショットG10」を持って訪れたのは、東京都府中市にある、武蔵国の総社になる「大國魂神社」。実は、府中へは別の用でやって来た。でもって、時間的に余裕があったので、久しぶりに大國魂神社を訪れてみた。すると、ちょうど境内の枝垂桜が開花していたので、ライトアップされる時間帯まで撮影することにしたのである。途中、思いがけない”出会い”とかもあって、なかなか楽しい撮影だったヨ。
作例1(C)吉森信哉
◆キヤノン パワーショットG10 140ミリ相当で撮影 絞り優先オート F4.5 1/500秒 WBオート ISO80 4416×3312ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例2-1(C)吉森信哉
◆キヤノン パワーショットG10 28ミリ相当で撮影 絞り優先オート F4.5 1/400秒 WBオート ISO80 3312×4416ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例2-2(C)吉森信哉
上の写真のRAWデータの方を、キヤノン純正のRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」で現像してみた。
◆キヤノン パワーショットG10 28ミリ相当で撮影 絞り優先オート F4.5 1/400秒 WBオート ISO80 3312×4416ピクセル JPEG(※RAWデータをDigital Photo Professionalで現像)

遠藤君
大國魂神社で撮影中にボクに声をかけてくれた、カメラ好きの大学生、遠藤君(苗字の漢字、間違ってないと思うけど)。で、しばしカメラ談義に花を咲かせた。中学生の頃からカメラに興味を持ち、今でもCAPAや当ブログをよく見ているそうだ。ちなみに、好んで撮るのは花や旅写真とのこと。なんですと!? 今すぐボクの弟子になりなさい!(笑)

 液晶モニターが、現在のモノと見比べても見劣りしない…という点も、パワーショットG10の魅力のひとつ。「3.0型・約46.1万ドット」という数値も然ることながら、明るい屋外での視認性の高さに関しても、現在のモデルに引けを取らない水準に達している、と感じるね。なお、このG10の液晶モニターは非可動式である(次のG11からバリアングル式液晶になった)。

 この他にも、従来よりも補正効果が向上したレンズシフト式の手ブレ補正「IS」の搭載、シャッター最高速1/4000秒、映像エンジン「DIGIC4」により「サーボAF」や「暗部補正」などが可能、光量を1/8に減光できる(3段分)NDフィルターの内蔵…などなど、本格的な高級コンパクトに求められる機能も、けっこう充実している。

あと、高感度時の画質はともかく、1/1.7型「有効画素数1470万画素」CCDによる絵作りも十分な細密感が得られる。今回の枝垂桜の撮影でも、なかなか満足感が高かったね。

作例3(C)吉森信哉
◆キヤノン パワーショットG10 140ミリ相当で撮影 プログラムオート F4.5 1/8秒 -1補正 WBオート ISO250 4416×3312ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例4(C)吉森信哉
◆キヤノン パワーショットG10 28ミリ相当で撮影 プログラムオート F2.8 1/5秒 -0.7補正 WBオート ISO200 4416×3312ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例5(C)吉森信哉
◆キヤノン パワーショットG10 63ミリ相当で撮影 プログラムオート F3.5 0.3秒 WB蛍光灯 ISO200 3312×4416ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)