機材レポート

大穴的(?)な”広角24ミリ対応”高級コンパクト購入!『ニコン COOLPIX P330』

ニコン COOLPIX P330
APS-Cサイズセンサーを搭載する単焦点モデル「COOLPIX A」を彷彿とさせる、シンプルで少々無骨なデザインの「COOLPIX P330」。…っていうか、Aの方がP300番台シリーズを真似てるし(笑)。

 昨年の6月に「ソニー サイバーショット DSC-RX100」を購入して以降、これがボクの”高級コンパクトのスタンダード”に定着した。「コンパクト」の呼び名に相応しい携帯性の良さと、「高級」の看板に恥じない高画質…。そのバランスの良さが抜群の名機だと思う。

 だが、その一方で”広角端が28ミリ相当”という平凡な画角に不満を感じる事もある。まあ、別に超広角域までは求めてないけど、24ミリ相当をカバーするモデルも欲しいんだよねぇ。

ということで、かなり前から24ミリ域をカバーする高級コンパクトの購入も考えていた。そして、候補に挙げたのは次の3モデル。「キヤノン PowerShot S110」「ニコン COOLPIX P330」「パナソニック LUMIX DMC-LX7」である。

「PowerShot S110」は、コンパクトさや操作性の良さが魅力だが、広角域の周辺画質が少し物足りない印象で、RAW時に仕上がり設定(マイカラー)ができないといった不満もある。「COOLPIX P330」は、センサーサイズが従来モデルの1/2.3型から1/1.7型にアップしているが(弱っ)、操作レスポンスは良くない。「LUMIX DMC-LX7」は、広角端F1.4の超大口径やマルチアスペクトやライブビューファインダー対応など魅力は多いが、レンズ保護が内蔵バリア式でなくレンズキャップ式という点が残念。う〜ん、どれも決め手に欠けるよなぁ。

実は、3モデル中の最有力候補は「LUMIX DMC-LX7」だった。…が、実際に購入したのは『ニコン COOLPIX P330』。なんでだろう? 購入の決め手が自分でもよくわからない(笑)。だけど、「LUMIX DMC-LX7」は、機能的には満足度が高くても、レンズ保護がレンズキャップ式という点が最終的にネックになった。「COOLPIX P330」は、以前にこのシリーズの第一弾モデル(COOLPIX P300)を仕事で使った際に、24ミリ相当から安定した描写が得られた事が印象に残っていたし(まあ、P330とはセンサーサイズもレンズ仕様も異なるけどね)、望遠端が候補3モデル中ではいちばん長い「120ミリ相当」という点も魅力的。…そして、カメラ店の店頭で手にしながら、な〜んとなく「コレがイイかも」と思ったのである。
作例1(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(28ミリ相当で撮影) プログラムオート F4.5 1/1600秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例2(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) プログラムオート F3.2 1/1600秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例3(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F1.8 1/320秒 WBオート ISO80 3000×4000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例4(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F3.2 1/640秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 操作レスポンスが良くないのは織込み済みだったけど、実際に購入して使ってみて、あらためて「こりゃ問題だわ」と痛感した。AF動作とかも遅いのだが、特に問題なのが、データ書き込み時間。画質モードがRAW(NRW)を含んだ設定だと、1コマ撮影すると次は5秒くらい経たないと撮影できない。「連写H」で10コマ連写したりすると、データ書き込みが終わるのは約50秒後。最初はフリーズしたのかと思ったくらい。も〜、どういう罰ゲームだよ(泣笑)。

 しかし、24ミリ相当の広角端を含め、レンズの描写は期待通りシャープで安定していた。…というか、ちょっとシャープ過ぎる! 建築物の輪郭はがさついてるし、青空を背景にした木の葉なども輪郭部が不自然に縁どられている。そう、レンズ性能と言うよりも、画像処理が問題なのだ。ということで、購入初日以降の撮影では、ピクチャーコントロールの各設定(スタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクローム)とも「輪郭強調」の項目を1段マイナス側に設定している。

ニコン COOLPIX P330
レンズ周辺部が多少出っ張っているが、片手で持った際に感じられるコンパクトさや、サラサラしたボディ表面の質感がイイ感じ。前面の「Fn(ファンクション)ボタン」では、10種類の機能の中から選択した機能が優先的に呼び出せ、素早く設定することができる。ボクはココで「AFエリア選択」を設定する。

作例5(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F4 1/800秒 -0.3補正 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例6(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F4 1/320秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例7(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(24ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/640秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例8(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(120ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F5.6 1/500秒 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例9(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(120ミリ相当で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/200秒 -1補正 WBオート ISO80 4000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 購入から3日後、購入したばかりの『ニコン COOLPIX P330』を持ってプチ旅に出かけることにした。JR中央線の高尾駅から甲府方面行の普通列車に乗り、隣駅の「相模湖駅」で下車。そして、駅名にもなっている近くの相模湖に向った。なお、隣駅と言っても乗車時間は10分近くに及び、沿線風景もけっこう変化する。だから、旅気分はけっこう盛り上がるのだ。

 湖畔の「相模湖公園」には、遊覧船や貸しボート、昭和テイストの飲食店や遊戯施設などがある。その佇まいや雰囲気には、どこか懐かしさが感じられる…。そんな昭和テイストの空間や、周辺の湖畔風景などでは、本格的なワイド感が得られる「24ミリ相当」の画角が実にしっくりくる。また、望遠端「120ミリ相当」の描写もけっこう満足度が高い。十分にキレがあり画面周辺部まで乱れが少ない描写なのである。

ニコン COOLPIX P330
画像サイズを「4000×3000」から、1:1の「3000×3000」に変更してみた。ちなみに、この1:1はRAWでは設定できないので、JPEGの「FINE」にしてから設定。

作例10(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(35ミリ相当※4:3時で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/640秒 -0.3補正 WBオート ISO80 3000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例11(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(35ミリ相当※4:3時で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/640秒 -0.3補正 WBオート ISO80 3000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例12(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(35ミリ相当※4:3時で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/640秒 -1補正 WBオート ISO80 3000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例13(C)吉森信哉
◆ニコン COOLPIX P330(35ミリ相当※4:3時で撮影) 絞り優先オート F3.5 1/640秒 -1補正 WBオート ISO80 3000×3000ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 相模湖公園から相模湖駅に戻る途中、ふと思い立って画像サイズを1:1(3000×3000ピクセル)に設定してみた。そして、昔使っていた(今でも所有してるけど)6×6判二眼レフ「ミノルタ オートコードIII」の感覚を思い出しながら、AEブラケティングとズームメモリー(いわゆる「ステップズーム」だが、24、28、35、50、85、105、120ミリの各画角を使用するかしないか個別に設定できる)機能を活用しながら撮影。これが予想以上に楽しかった!