機材レポート

自称「広角派」の自分が、ようやく買った広角ズーム『AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』

AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR
「AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR」の全長は125mm。この値は18-35ミリF3.5-4.5G EDよりも30mmも長く、高倍率ズームの28-300ミリF3.5-5.6G ED VRよりも長い(28-300ミリは114.5mm)。だから、ボディに装着したまま中型バッグ(ボクが使ってるドンケF-2など)に収納する際には、収納スペースの調整や収納の向きなどを考慮する必要がある。

 現在、ボクのメイン機は「ニコン D800」なのだが、広角域から標準域をカバーする”常用レンズ”として使用しているのは、高倍率ズームの「AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR」である。まあ、コレはコレで便利なレンズなんだけど、元々ボクは広角派なので(キヤノン EOS5D MarkIIの時もEF17-40ミリF4L USMを使っていた)、高性能な広角ズームが欲しいナァ…と思い続けてきて、先日ようやく『AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』を購入した。実は、直前までは「AF-Sニッコール18-35ミリF3.5-4.5G ED」でイイかな〜って思ってたんだけど、某店で奇跡的な安さの16-35ミリ(完全新品)を見つけて、後先考えずに買ってしまったのよ(笑)。

 「AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR」が発売されたのは、今から約3年半前の2010年2月26日。まあ、カメラボディなら型落ちになる年月だろうが、交換レンズは息の長い商品なので”割と新しい部類に入るレンズ”かも!? この16-35ミリ、以前にD700ボディと一緒に借りて(メーカーから)しばらく使ったことがあるが、その時に「広角ズームでも手ブレ補正機構の威力は大きいなぁ〜」と感心したのを覚えている。

今回の購入後、その手ブレ補正機構「VR」の効果をあらためてチェックしてみた。焦点距離を35ミリに設定し、1/15秒と1/8秒で10カットづつ手持ち撮影。そして、PCモニターで等倍チェックをおこない、手ブレのないカット数をカウントする。1/15秒:VRオフ→2カット、VRオン→10カット。1/8秒:VRオフ→0カット、VRオン→9カット。効果は絶大だった。

標準ズームや望遠ズームだと「そのレンズがないと思い通りに撮影できない!」と痛感することが多い。だが、広角ズームの場合は、そこまで重要度は高くないのが普通(もちろん、撮影ジャンルや撮影状況によって違うが)。しかし、広角域の撮影を重視するボクとしては、これまで使ってきた28-300ミリの良さは認めつつも不満もあった。画角的に物足りないし、広角域の画質にも少々物足りなさを感じるのだ。今回『AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』購入したことで、超広角から準標準域はこのレンズを積極的に使い、「AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR」は主に望遠域で使う…という使い分けになるかもしれないね。
作例1(C)吉森信哉
太陽を画面内に入れて撮影。ゴーストやフレアの発生が気になるケースだが、ナノクリスタルコートの採用により、かなりクリアな描写が得られた(画面左下にわずかにゴーストが見られる程度)。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(16ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/320秒 +0.7補正 WB晴天 ISO100 7360×4912 JPEG(※オリジナルデータ)

自動ゆがみ補正:OFF
作例2-1 自動ゆがみ補正:OFF
自動ゆがみ補正:ON
作例2-2 自動ゆがみ補正:ON
この広角ズームのいちばんの泣き所は”広角域での樽型収差が目立つ”という点。あ〜、直線を入れた撮影だと目立つナァ…。だが、カメラの「自動ゆがみ補正」機能を利用すればその点はかなり解消されるし、画面周辺に直線(水平線や垂直線)が入らない状況なら、自動ゆがみ補正は使わなくてもイイだろう。なお、自動ゆがみ補正をON(する)に設定すると画角は狭まるが、その量はさほど多くはない。
◆共通データ:ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(16ミリで撮影) 絞り優先オート F16 1/40秒 WB晴天 ISO100 JPEG
AF-Sニッコール16-35ミリ
F4G ED VR

作例3-1 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR
AF-Sニッコール28-300ミリ
F3.5-5.6G ED VR

作例3-2 AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR
16-35ミリと28-300ミリを「焦点距離28ミリ・絞りF8」に設定して画質チェック(実際の画角は多少差があるけど)。画面中央部はほぼ互角。だが、28-300ミリは中央から外れるほど画質に乱れ(流れ、色にじみ、ボケ)が生じてくる。それと比べると、16-35ミリは周辺部まで安定した画質が得られている。
◆共通データ:ニコン D800(28ミリで撮影) 絞り優先オート F8 WB晴天 ISO100 7360×4912 JPEG(※オリジナルデータ)

AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR
「AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR」の1本だけでもいろいろ撮影できるけど、広角ズームの「AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR」を加えることで、表現の幅はグ〜ンと拡がるはず。今夏の帰省の撮影機材は、この組み合わせで決まりか!?

作例4(C)吉森信哉
夏の日差しを浴びて咲くキクイモモドキの群生。超広角域での近接撮影には、マクロレンズでアップで狙うのとは違う臨場感がある。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(16ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/200秒 +0.3補正 WB晴天 ISO100 7360×4912 JPEG(※オリジナルデータ)

作例5(C)吉森信哉
全体をシャープに描写したいので、かなり絞り込んでの手持ち撮影。シャッター速度は1/15秒前後(露出補正値によって変わる)と遅かったが、手ブレ補正機構「VR」の効果により、撮影したすべてのカットがシャープだった。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(16ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/13秒 -0.3補正 WBオート ISO400 4912×7360 JPEG(※オリジナルデータ)

作例6(C)吉森信哉
ひょうたんの葉と「氷」の暖簾を絡めて、夏の夕暮れの涼しげな雰囲気をとらえる。お店の人に見せたら「あら、上手いわね」と褒めてもらった(笑)。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(35ミリで撮影) 絞り優先オート F4.5 1/40秒 -0.3補正 WBオート ISO110 7360×4912 JPEG(※オリジナルデータ)

作例7(C)吉森信哉
黄昏色の光と長く伸びる影。今日も暑かった…。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(22ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/25秒 +0.3補正 WB晴天 ISO160 7360×4912 JPEG(※オリジナルデータ)