コンパクトなフルサイズ機として評価の高い「LUMIX S5」。最新ファームウェアから「L.クラシックネオ」「L.モノクロームS」という2つのフォトスタイルが加わった。稲垣徳文さんがS5を片手にさっそくスナップの旅に赴いた。
青味を帯びたトーンが新しい「L.クラシックネオ」
「象の鼻パーク」近くで捉えた朝の光。「LUMIX S5」に新たに搭載されたフォトスタイル「L.クラシックネオ」の彩度を抑えた柔らかな描写は、逆光の暗部を階調豊かに描き出す。ネガカラーのような青味を帯びたトーンが美しい。
柔らかで優しい味わいの「L.モノクロームS」
夕日の石畳も好きなモチーフのひとつ。こちらも新搭載のフォトスタイル「L.モノクロームS」は従来の「L.モノクロームD」に比べ、ハーフトーンがよりなだらかに表現される。石畳に伸びる影は豊かな階調をもち、黒い服や靴は漆黒に近い黒の描写となった。
新しいフォトスタイルでスナップ表現の幅が拡がった
横浜には馬車道の「ガス灯」などさまざまな近代が存在する。写真文化の発祥を顕彰する石碑もある。色鮮やかな原色があふれる中華街は横浜の開港とともに誕生した街だが、それを見たままに表現するのは難しい。中国の赤は深紅ではなく、やや朱色を帯びた「紅」なのだ。撮影で訪れるようになり、微妙な赤の違いに気がついた。
「LUMIX S5」に新たに搭載されたフォトスタイル「L.クラシックネオ」は長年抱えていた悩みを解決してくれた。彩度を抑えた穏やかな色味は、中華街の紅を見事に表現してくれる。加えてシャドーからハイライトまで滑らかに描写。ハイライトは白トビせずにどこまでも粘り、シャドーも潰れることなく残る。それは1980年代にアメリカ西海岸の写真家たちがネガカラーで表現した「ニューカラー」のようだ。
さらに冬の青空や海は、水彩絵の具のような水色になる。また、青の補色である黄色も雰囲気ある仕上がりで面白い。落ち着きのある奥深い表現が可能なフォトスタイルだ。
もうひとつの「L.モノクロームS」は、滑らかな階調表現が持ち味のモノクロームだ。従来の「L.モノクロームD」に比べ中間調のボリュームが増えた。階調豊かなモノクロ作品は、眺めているうちにカラープリントのように色が見えてくる。モノクロームで色を表現する感覚だ。フルサイズ機としては小型・軽量で機動力の高いS5。スナップカメラとしても使いやすく、とても魅力的だと感じた。
ライティングも優しく表現する「L.クラシックネオ」
「L.クラシックネオ」はスポットライトのようなライティングも優しく表現してくれる。明暗差のある屋内撮影にもオススメだ。望遠85mmで1/20秒のスローシャッターでもぶれずに撮影できた。
パナソニック LUMIX S5
[撮像素子] 35mmフルサイズCMOSセンサー [有効画素数] 2420万画素 [ISO感度] 拡張50~204800 [AFシステム] 225点コントラストAF [連写性能] 約7コマ/秒 [ボディ内手ブレ補正] 5段 [ファインダー] 0.39型 約236万ドット有機EL [液晶モニター] タッチパネル式3.0型 約184万ドット [動画性能] 4K 60p 10bit [大きさ] 幅約132.6 × 高さ約97.1 × 奥行き約81.9mm [質量] 約714g (バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)
▼インプレッション動画はこちら!
https://youtu.be/RWmBcJzy2Ko