機材レポート

“箱根の旅”でOM-Dフラッグシップモデルを実写!《前編》『オリンパス OM-D E-M1』

OLYMPUS OM-D E-M1
伝統の「OM」の称号に相応しい小型軽量設計のOM-D E-M1だが、フォーサーズ規格のフラッグシップモデルE-5を超える「防塵・防滴・−10℃耐低温」性能を誇る。そして、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PROも「防塵・防滴」性能を誇るプロ仕様の大口径標準ズームである。まあ、コレらは借用品なので、今回はハードな使い方はしないけどね(笑)。

 オリンパスのミラーレス一眼カメラには、親しみやすさやファッション性を重視したPENシリーズと、小型軽量ながら高機能や堅牢性を重視したOM-Dシリーズがある。今回、OM-Dシリーズのフラッグシップモデルになる新製品『オリンパス OM-D E-M1』と、同じく堅牢性を重視した大口径標準ズーム『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO』がメーカーから借用できた。…ということで、この注目度の高い新ボディ&レンズを持って、少し秋めいてきた箱根に出かけてみよう!

 新宿から小田急のロマンスカーに乗って…という王道ルートではなく、JRの湘南新宿ラインの特別快速「小田原行き」のグリーン車に乗車。でもって、終点の小田原から箱根登山鉄道に乗り換えて、箱根湯本に向った。それにしても、今日は良い天気だなぁ〜。気温は少し高めだけど、空気はすっかり秋めいてきてるし。

OM-Dシリーズの初代モデル「OM-D E-M5」は、前述のとおりPENシリーズとはひと味違う機能の高さや堅牢性を備えていたが、かつてOM-1やOM-2NやOM-4TiBLACKなどを使っていたボクからすると「このデザインやテイストでOMって言われてもねぇ…」と、少々(かなり?)冷ややかな目で見ていた。だけど、今回の「OM-D E-M1」はかなりOMっぽい! いや、別にかつてのOMに似てれば良いってモンでもないと思うけど、「OM-D E-M5」のファインダー上部の出っ張り(一眼レフで言う「ペンタ部」ですな)のラインのシャープ感のなさや、背面右手側の各操作ボタンの窮屈さは、個人的にかなり気になっていたからね。それと比べると「OM-D E-M1」ボディは、ファインダー上部の出っ張りも含め、全体的にシャープでスタイリッシュな印象が強まっている。操作ボタンの配置も、無理がなくて余裕がある。モードダイヤルなどのパーツ類も重厚さが増してるし。また、賛否両論あると思うけど、大きく張り出したグリップ部は、大柄で重いレンズ(フォーサーズ規格のSHGシリーズや、開発がアナウンスされてるM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150ミリF2.8PROなど)を装着した際の安定度の高さにつながってくる。

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作例1(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(40ミリで撮影) マニュアル F4.5 1/1000秒 WBオート ISO400 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例2(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(40ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/2500秒 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例3(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/250秒 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 さて、箱根湯本駅に到着して、まずは駅前の陸橋の上から「箱根湯本〜塔ノ沢」間を走る箱根登山鉄道の列車を狙ってみた。ちなみに、撮影距離やアングルからするとAFを追従させる必要はなさそうなので、ここでは最も高速な「最大約10コマ/秒」連写Hでトライ。箱根湯本駅の手前の坂を下る列車はさほど速くはないが、それでも連写能力が5コマ/秒前後のカメラだとコマとコマの列車移動量の多さにガッカリさせられる(これまでの経験上)。だが、約10コマ/秒の速さなら、かなりきめ細かい連続撮影がおこなえるのよ。ちなみに、単写時でも連写時でもレリーズ時のキレ味(感触)は非常に良く、その作動音も耳障りな感じがなくて好印象!

 そして、連写時の”連続撮影枚数の多さ”も特筆に値する。メーカー発表によると、最大約6.5コマ/秒の連写LではRAWで約50枚。そして、今回自分でチェックしたところ、最大約10コマ/秒の連写HでRAW+JPEGでも30枚以上はスピードが落ちずに撮れたからねー(設定条件によって変わるかもしれないけど)。

列車の撮影を終えると、写真の右に写っている坂道を登って、箱根湯本の隣駅「塔ノ沢」を目指して歩くことにした。途中には、仕事でも個人的にもよく訪れていた「箱根ベゴニア園」があったが、残念ながら約2年前に閉園(2011年7月15日)。箱根湯本といえば、最初にココを訪れるのがボクの定番コースだったなぁ。ちなみに、最後にココを訪れたのは、その年の2月の家族旅行の時である。

それにしても、ほんっと今日は良い天気で爽やかだわ…。

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作例4(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F4 1/40秒 -1.3補正 WB曇天 ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例5(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(40ミリで撮影) マニュアル F2.8 1/500秒 WBオート ISO1600 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 かつて箱根ベゴニア園があった場所から、左に塔ノ沢温泉を見下ろす山道に入ってしばらく歩くと、目的地の塔ノ沢駅に到着。ここは周囲を山に囲まれた無人駅で、乗降客の数も極めて少ない。多くの観光客で賑わう隣の箱根湯本駅とはまったく対照的である。…でも、ボクはこの駅の雰囲気が好きで、箱根ベゴニア園の後によく訪れたものだ。強羅方面(箱根湯本の逆)のホーム先には、レトロな造りのトンネルが隣接し、箱根湯本行きのホーム脇には小ぢんまりした「深沢銭洗弁天」もあったりする。

 この塔ノ沢駅は、光量的にはあまり恵まれない場所だけに(だから雰囲気が良いんだけどね)、今回持参した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO」のような大口径ズームレンズの有難さを実感する。でもって、その明るさを生かしつつ、ホームに入ってくる列車を正面からAF追従(C-AF)機能を生かした最大約6.5コマ/秒の連写Lで追いかけてみた。まあ、標準ズームの望遠域での撮影なので厳密なコトは言えないけど、そのAF追従の結果には特に不満は感じなかったよ。

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通常撮影
作例6-1 通常撮影 (C)吉森信哉
彩度:+2 彩度:−2
作例6-2 彩度+2 (C)吉森信哉 作例6-3 彩度-2 (C)吉森信哉
◆共通データ:オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F3.5 1/40秒 -0.3補正 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)
通常撮影 色相:デフォルト位置から右回りに5段
作例7-1 通常撮影 (C)吉森信哉 作例7-2 色相:デフォルト位置から右回りに5段 (C)吉森信哉
色相:デフォルト位置から右回りに10段 色相:デフォルト位置から右回りに15段
作例7-3 色相:デフォルト位置から右回りに10段 (C)吉森信哉 作例7-3 色相:デフォルト位置から右回りに15段 (C)吉森信哉
◆共通データ:オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(15ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/20秒 -1補正 ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 「OM-D E-M1」の画質面での特長は、新開発「16M Live MOSセンサー」と新画像処理エンジン「TruePicVII」の組み合わせによる、高感度性能や色再現性の向上。また、その新画像処理エンジンに搭載される「ファインディテールII」による、偽色やモアレの抑制や、倍率色収差やシャープネス処理の補正や最適化…といったところ。

 そして、機能面での特長は、コントラストAFと像面位相差AFによる「DUAL FAST AF」を採用し、フォーサーズ規格の交換レンズでも快適なAF撮影が可能になる点や、フルサイズ一眼に匹敵する高倍率で高精細な電子ビューファインダーの搭載、Wi-Fi機能を内蔵していてスマホ利用でのリモート撮影機能の進化…など、まあイロイロとある。

個人的に「使えそう!」と興味を持ったのは、2つのダイヤル操作で「色相」と「彩度」が直感的にコントロールできる「カラークリエーター」。事前に、Fn2ボタンにカラークリエーターの機能を割り当てたうえで、そのボタンを押して、フロントダイヤルで「色相」を、リアダイヤルで「彩度」をコントロールするのである(色相は30段階、彩度は+3〜−4の8段階)。なお、ここでは効果をわかりやすく見せるために色相と彩度の作例を別にしているけど、実際の撮影では両方を調節しながら”自分の色再現”にチャレンジしてみたいね。

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作例8(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(15ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/50秒 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS OM-D E-M1

なお、この「カラークリエーター」に興味を持ちつつも、個人的には「OM-D E-M5」にも搭載されていた「ハイライト&シャドーコントロール」の方を多用するかな?(Fn2ボタンに割り当てて) ちなみに、この深沢銭洗弁天の狛犬は、ハイライト部のディテールが再現されるように調整している。

 さて、次回の《後編》では、高感度画質やボディー内5軸手ぶれ補正の効果、ISO感度設定とシャッタースペックなど、割と基本的な(そして重要な)部分をチェックしてみたいと思います!

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