機材レポート

“箱根の旅”でOM-Dフラッグシップモデルを実写!《後編》『オリンパス OM-D E-M1』

OLYMPUS OM-D E-M1
「オリンパスOM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO」in塔ノ沢駅。後編もこの箱根登山鉄道の無人駅からスタートするよ!
作例1(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/100秒 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例2(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/6秒 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例3(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(16ミリで撮影) シャッター優先オート F7.1 1/2秒 -0.7補正 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 この『オリンパス OM-D E-M1』のような高性能タイプの一眼カメラだと、最新技術を駆使した新機能や従来モデルとは違うギミックなどが注目されがちだが、シャッター最高速やISO感度特性、露出調節やピント合わせなど、カメラとしての基本的な仕様や操作性も重要になってくる。特に、シリーズのフラッグシップモデルともなると、どんなに画期的で優れた新機能を搭載していても、基本的な仕様のレベルが低かったり撮影者の意志がダイレクトに反映されない操作性だと、必然的に「仕事や表現の道具として失格!」という事になってくる。

 まずは、デジタルカメラの”撮影して直後に確認する”というルーティーンでの重要デバイスになる「ファインダー」と「液晶モニター」の仕様と印象。うむ、236万ドットと超高精細でフルサイズ一眼レフに匹敵する大画面(1.48倍、35ミリ判換算0.74倍)の電子ビューファインダーの見え具合の満足感は高いアルね。前編で紹介した「カラークリエイター」の機能なども、その効果や変化を確認しながら設定できる。約104万ドットの3.0型液晶モニターの見え具合も満足度は高い。ちなみに、従来モデル「OM-D E-M5」には有機ELモニターが使用されていて、斜めから見た際の”色変化”が気になったものよ…。ただし、液晶モニターの可動方式が上下方向のみのチルト式なのは、OM-Dのフラッグシップモデルとしては少し残念。今回のモデルの場合、フォーサーズ機E-5の後継機としての役割も果たすワケだから、バリアングル方式がベストなんだけどなぁ〜。

「OM-D E-M5」で初めて(世界初!)搭載されたセンサーシフト方式による「5軸対応手ブレ補正」は、当然この「OM-D E-M1」にも搭載されている。そのブレ補正効果は「シャッター速度で4段分」で、しかもアルゴリズムの見直しによりOM-D E-M5よりも低速シャッター時の補正効果が向上しているという。事実、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PROの望遠端で1/4秒の手持ち撮影を30数カットおこなったが、あきらかに手ブレだとわかるカットはなく、かなりの確率で”シャープで使えるカット”が得られた。もう1段下げた1/2秒になると、広角側でも手ブレが目立つカットが増えてくるが、それでも気をつけて撮影すれば半分くらいはシャープで使えるカットが得られる…と思う。まあ、ここに掲載した竜の手水所のシーンでは、背後を通過する列車のタイミングを気にしながら複数カット撮影したので、けっこう多く手ブレしちゃったけどね(ブレなかったのは約2割くらい)。もちろん、手ブレ補正機構の働きがなかったら全カット「アウト」だったけど。

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作例4(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(21ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/125秒 WBオート ISO1600 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OM-D EM-1:ISO1600 NEX-6:ISO1600
OM-D EM-1:ISO1600 NEX-6:ISO1600
OM-D EM-1:ISO6400 NEX-6:ISO6400
OM-D EM-1:ISO6400 NEX-6:ISO6400

作例5(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(35ミリで撮影) シャッター優先オート F22 1/15秒 WBオート ISO100 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例6(C)吉森信哉
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(35ミリで撮影) シャッター優先オート F2.8 1/8000秒 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 新開発「16M LiveMOSセンサー」と新画像処理エンジン「TruePicVII」の組み合わせによる、高感度性能や色再現性の向上。…と、前編で紹介したけど「実際の写りはどうよ?」ということで、簡単に高感度設定時の画質をチェックしてみた。また、単に「OM-D E-M1」の画質を見るだけでなく、ブツや状況撮影用に持参した自前の「ソニー NEX-6」の画質と比較してみる。センサーのサイズやアスペクト比は違うけど、画素数的には同じくらいだから。

 比較したのはISO1600とISO6400。ISO1600ではOM-D E-M1も悪くはないがNEX-6の方がより良好な画質に思える。だが、ISO6400になると逆転。NEX-6は均一な部分が斑(まだら)っぽくて不自然な描写になり、細部の描写もアマくなっていてポスターの細かい文字もつぶれぎみ。一方、OM-D E-M1の方もそれなりに粗さやアマさは目立つが、ポスターの細かい文字などはNEX-6よりもハッキリ描写されている…ように見える。まあ、あくまでも限られたサンプルでのボク個人の印象になるけどね。

さてと、長時間居座った(笑)塔ノ沢駅を後にして、箱根登山鉄道の列車に乗って箱根湯本駅に戻るか…。箱根湯本駅に戻ると、まず17時台の帰り(新宿行き)のロマンスカーのチケットを確保して、それから近くを流れる川(早川)周辺をブラブラしながら、もう少し撮影を楽しんでみようかナ。

台風18号が通過した翌日とあって、早川の水量はいつもより多く、かなりダイナミックな水の流れだった。その水の流れを、低速シャッターと高速シャッターの両方の効果を生かして撮ってみたい。まずは低速シャッターでの撮影。夕方の時間帯とはいえ、まだ十分に明るい状況(太陽光が当たっている)なので、ISO感度は最低値になるように設定したい。「OM-D E-M1」の最低感度はISO200なのだが、約ISO100相当の「ISO LOW」も搭載しているので、このケースではこのポジションに設定するといい。今回のような「低速シャッターを使いたい!」という場合には、この低感度側への拡張はありがたい。次は高速シャッターでの撮影。「OM-D E-M1」のシャッター最高速は1/8000秒。うーん、このあたりがフラッグシップモデルっぽいね(OM-D E-M5の最高速は1/4000秒)。もちろん、その最高速で撮ろうと思ったら、明るい場所でも適度に感度アップする必要があるけど…。ちなみに、この1/4000秒と1/8000秒の1段の差は、ストップモーション効果の違いよりも「日中に大口径レンズの明るさを生かして撮りたい!!」場合などで、その差を感じるんだよねー。

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作例7(C)吉森信哉
塔ノ沢駅にて。
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先優先オート F11 1/80秒 -1補正 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例8(C)吉森信哉
箱根湯本駅に隣接する緑濃い山。
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(40ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/125秒 -1.3補正 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例9(C)吉森信哉
最短撮影距離(0.2m)近くでシダに被われた樹を狙う。
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(12ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/20秒 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例10(C)吉森信哉
箱根湯本駅前、土産物店の店頭にて。
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(40ミリで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/100秒 +0.7補正 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例11(C)吉森信哉
夕暮れが近づく箱根湯本駅前。
◆オリンパス OM-D E-M1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO(14ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/250秒 WBオート ISO200 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例12(C)吉森信哉
時間があれば立ち寄りたかった、箱根湯本駅内のお店。
◆オリンパス OM-D E-M1 BCL-1580(15ミリF8) 絞り優先オート F8 1/13秒 +0.3補正 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例13(C)吉森信哉
帰りはロマンスカーで。
◆オリンパス OM-D E-M1 BCL-1580(15ミリF8) 絞り優先オート F8 1/10秒 WBオート ISO800 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

作例14(C)吉森信哉
秋を感じさせる夕空(ロマンスカーの車内から)。
◆オリンパス OM-D E-M1 BCL-1580(15ミリF8) シャッター優先オート F8 1/500秒 WBオート ISO400 4608×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 帰りのロマンスカーの時間が近づいてきたので、途中の土産物店を横目で見ながら箱根湯本駅に戻る。あ! そういえば、大口径標準ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO」とは別に、ボディーキャップレンズ「BCL-1580(15ミリF8)」も持ってきてたんだわ。最後に、超お手軽なこのレンズに交換して、ロマンスカーを待つ駅構内の様子とかをスナップしてみようかナ。お〜、意外とよく写るじゃん! とか感心しながら、箱根湯本17:18発「はこね38号」に乗車して東京方面に戻るのであった。デジタル一眼レフとはひと味違う小型軽量設計のボディとレンズだが、その機能や描写性能、そして操作性&操作フィーリングは「なるほど、たしかにフラッグシップモデルらしいわ」と納得できる。『オリンパス OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40ミリF2.8PRO』は、そんな実力派の組み合わせであった。

OLYMPUS OM-D E-M1
ボディーキャップレンズ「BCL-1580(15ミリF8)」を装着した「オリンパス OM-D E-M1」。ゴツいグリップとのバランスはイマイチだが、通常の標準ズーム装着時とは違う”軽快さ”や”潔さ”が感じられる組み合わせ。

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