シグマ 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
絞り開放から高い解像性能
咲き始めのカワヅザクラをアップで撮影。105mmの中望遠マクロなので、背景として写り込む範囲も狭く、撮影ポジションを工夫することで、すっきりとした背景に整理し、フワッと大きくぼかすことが可能だ。絞り開放の解像性能も高く、しべの花粉のディテールもしっかり再現されている。
被写界深度は浅いがピント面はしっかり解像
新型コロナの影響でなかなか遠くまで撮影に出かけられない状況だが、マクロレンズなら自宅や近所に絵になる被写体がいっぱいある。近所で見つけた花のつぼみの先端にピントを合わせ、絞り開放で撮影したカット。針の先ほどに浅い被写界深度だが、つぼみ先端のつぶつぶがしっかり写っている。
クセのない自然なボケ描写
団地の花壇に咲いていたクリスマスローズをチルトモニターを使い超ローポジションで見上げるように撮影。花の中央のしべにピントを合わせているが、前後の微ボケもクセがなく、とても自然なボケ味だ。花びらの輪郭と明るい背景の境目に色づきはまったくなく、アウトフォーカス領域の倍率色収差もほぼ完璧に補正されているようだ。
ボケている花の輪郭に色づきは見られない
近所で撮影したウメの花。まだつぼみが多い咲き始めの枝を探し、背景がゴチャゴチャとうるさくならないポジションを探して撮影してみた。ピントを合わせた花はもちろん、ぼけている花の輪郭にも一切の色づきがなく、ウメの白い花びらがちゃんと白く再現されている。つぼみや枝に反射して光っている部分のボケもきれいだ。
倍率色収差は完璧に補正されている
倍率色収差のチェックには、光を反射して光っている金属を絞り開放で撮影してみるのがイチバン。輝度差の大きな輪郭にパープルフリンジが浮かず、前後のボケに緑やマゼンタの色づきが出なければ、倍率色収差の補正は完璧。このレンズは、パープルフリンジやボケの色づきは一切なく、被写体本来の色でぼけてくれる。ボケの縁取り感も少なめだ。
コントラストが高い被写体にも安心して使える
自転車も色収差の有無が顕著に出やすい被写体だが、ピントを合わせた黒いサドルはもちろん、後ボケになっているハンドルの反射を見ても、まったく色浮き、色づきはなし。後ボケだけでなく、前ボケもクセがなく、微ボケもうるさくなりにくいので、高コントラストな被写体も安心して撮影できる。
テレコンを使っても画質面で不満はない
このレンズはソニーEマウントとライカLマウントがあるが、Lマウントには1.4倍と2倍のテレコンバーターを装着できる。このカットは、自宅の窓際に置きっぱなしになっていた霧吹きを、1.4倍のテレコンバーターを装着し、絞り開放で撮影している。マスターレンズの性能が非常に高いので、テレコンを使っても画質に不満はまったく感じない。
147mm F4相当、最大撮影倍率は1.4倍のレンズに
1.4倍のテレコンバーターを装着すると、147mm F4のマクロレンズとなり、最大撮影倍率も1.4倍と高くなる。画角が狭くなるので、それだけピンポイントに被写体を切り取ることができ、より離れた撮影ポジションからアップで撮影できるのが強み。このカットは近所の花壇に咲いているスイセンだが、別のスイセンを前ボケ、後ボケに大きく取り入れ、ピントを合わせたスイセンだけ浮かび上がるように撮影している。
200mm F5.6相当、最大撮影倍率は2倍に
2倍のテレコンバーターを装着すると、210mm F5.6の望遠レンズになる。これは、前のカットとほぼ同じ撮影ポジションで撮影したカットだが、さらに画角は狭くなり、前ボケ、後ボケも大きくなるので、ピントを合わせたスイセンがより大きく浮かび上がる。ボケの輪郭にわずかに色収差の影響が感じられるが、2倍テレコンを装着しているとは思えないほどの解像とコントラストだ。
檻越しのレッサーパンダの毛並みをきっちり解像
羽村市動物公園のレッサーパンダを檻越しに撮影。開放F値はF5.6と明るくはないが、檻とレンズの距離が近いので、ほぼ檻は消えている。シグマのLマウントレンズは、現時点においては、パナソニック独自のDFDには非対応で、通常のコントラストAF制御になるので、AFCでは、ウォブリングでフォーカスが前後に微動し続ける。そのため、動物が静止した瞬間をAFSで狙うのが快適だ。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。