小さなフルサイズミラーレスとして人気の「SIGMA fp」に、61メガセンサー&像面位相差AFを搭載した新モデル「SIGMA fp L」が登場。前編に続いて後編では、動体撮影力や高感度性能、新カラーモードなどを実写作例も交えて紹介する。
- SIGMA fp L 実写レビュー【前編】
- SIGMA fp L 実写レビュー【後編】
“Lマウント機初”の像面位相差AFが動体撮影をサポート
Lマウント機では初となる像面位相差AFを搭載しているが、動体追従能力はライバルに比べて物足りなく感じた。クロップズームを使うと連続で撮れる枚数も増えるし (2倍ならRAW+JPEGで50枚)、動体歪みも減らせるのでうまく活用したい。
fpに負けない高感度画質で夜景を美しく描く
画素数は大幅に増えているが、ISO感度の設定範囲は「fp」と同じだ。ピクセル等倍観賞では「fp」より感度1段分ほど落ちる印象だが、2400万画素に縮小して見比べるとノイズはやや多い程度でディテール再現は「fp」よりもいい。個人的にはISO6400までは常用できると思う。
デュアルベースISOが高感度ノイズを抑制
デュアルベースISOはアナログ信号の段階で低感度用と高感度用の2つの増幅回路を感度によって使い分けるもの。高感度域の画質の向上とダイナミックレンジの拡大も可能となる。どちらかと言うと動画向けの技術だが、静止画でも大幅な露出アンダーを補正するようなときに差が感じ取れる。
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個性的な作品づくりができるカラーモードを搭載
周辺光量落ちを加え古めのカラーネガを再現
パウダーブルーは青みがかった爽やかな色調の明るい画面に仕上がるカラーモード。ちょっと古めのネガカラーフィルムのような雰囲気が面白い。ここでは24mm F3.5の絞り開放による周辺光量落ちを画面効果として組み合わせてみた。
印象的な配色のアート作品が手軽に楽しめる
新カラーモードのデュオトーンは写真をグラフィックアートに変えられる面白さがある。10種類のプリセットが用意されていて、簡単に選択可能。カラーモードブラケット機能を使えば、異なる色調のデュオトーンを1シャッターで撮影することもできる。
■デュオトーン G2
■デュオトーン YE1
便利なカスタマイズ機能を強化
新しく追加されたパウダーブルーとデュオトーンの2つのカラーモードも見どころだが、それ以上にユーザーインターフェースの改善にも注目したい。前後ダイヤルや背面下部のボタンの機能をカスタマイズできるようになったほか、十字キーだけで測距点移動ができるようにもなった。
しかも、カスタマイズした内容をQRコード化して保存、読み込みする機能も盛り込まれた。設定のバックアップとして、ほかのユーザーの設定を参考にしたいときなどに活用できる。
自分好みのカメラにカスタマイズ
「fp L」ではボタンカスタマイズ機能が強化されている。方向ボタン (十字キー) に「ダイレクトフォーカスフレーム移動」が割り当てられるようになったほか、「TONE」「COLOR」「MODE」ボタンの機能もカスタマイズ可能になり、「絞りプレビュー」などが追加された。
任意の撮影設定をQRコードに保存できる
SHOOT (撮影) メニューの全項目とSYSTEM (機能) メニューの一部をQRコードで保存が可能。ほかの人のセッティングを参考にしたいとき、複数のカメラを共通のセッティングにしたいときなどに活用できる。
fpユーザー待望の外付けEVF登場
そして、待望の外付けEVFが登場。メガネでもケラレは少ないし、歪曲もほとんどない。切り替えが手動なのが残念だが、見え味は抜群だ。
チルト機構を搭載しローアングルも快適
「fp L」と同時に発表された「EVF-11」(参考価格 66,000円) は0.5型・368万ドット有機ELを採用。0.83倍という高倍率ながらメガネ使用でもケラレは少なく、歪曲収差も気にならない。チルト機能を備え、横位置だけだがローアングル撮影も快適だ。
4K画質の本格的な動画機能が充実
動画はカメラ単体ではCinemaDNGまたはMOV形式で4K (3840×2160)・29.97fps記録が可能。外部記録ではさらに高画質なモードも選択できる。放熱効果の高いヒートシンク搭載で、コンパクトボディながら長時間の動画撮影も余裕でこなせる。
魅力的な新機能のほとんどがファームアップで「fp」に対応
なお、クロップズーム以外はファームアップで「fp」にも搭載され、EVFにも対応となる予定。「fp」ユーザーにもうれしいニュースとなった。