機材レポート

高精細ファインダーや「最速8.0コマ/秒」高速連写がウリの注目モデルを実写チェック!!『富士フイルム X-T1』

富士フイルム X-T1
「XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS」を装着した『富士フイルム X-T1』。このXF18-55ミリF2.8-4は、一般的な標準ズームよりも開放F値が明るいぶん、レンズ鏡筒が太めで大柄な印象…。だけど、従来のXシリーズとは異なる”一眼レフ風スタイル”の『X-T1』ボディなら、大柄なレンズとのバランス(視覚的な)も良好。

富士フイルム X-T1

富士フイルム X-T1
2つの2段構造のダイヤル(シャッタースピード+測光モード、ISO+ドライブモード)と、露出補正ダイヤル。と、トップカバー部にに計5つのアナログダイヤルを搭載している。従来のX-Pro1やX-E2以上に”アナログ志向のモデル”と言える。

 今年に入って、すでに各メーカーから多くの”注目度の高い新型カメラ”が発表されている(すでに発売されているモノも)。いやぁ、いろいろ目移りしちゃうよね。買えるかどうかは別にしてもさ(笑)。そんな2014年ニューモデル群の中から、今回は『富士フイルム X-T1』をメーカーから借りて使用してみた。

 この「X-T1」の特長のひとつに、世界最短表示タイムラグを誇る「リアルタイム・ビューファインダー」の表示品質や表示スタイルが挙げられる。タイムラグ0.005秒、表示倍率0.77倍(35ミリ判換算)、という世界一のスペックを誇るこのファインダーは、たしかに見え具合が良好である。正直なところ、ボク自身はそのあたりのスペックはあまり注目していなかった。でも、実際の撮影では良い意味で、電子ビューファインダーの表示品質を気にせず使用することができた。もちろん、電子ビューファインダー特有の”機能効果の確認”の便利さを味わいながらね。ちなみに、今回ボクが選択したファインダーの表示方式は、大きなファインダーのメリットを生かして全視野を見渡す「フル」である(ノーマルやデュアルとかの表示もある)。

X-T1ボディは、一眼レフを彷彿とさせる”屋根型”のトップカバー部が特徴的である。だが、一眼レフのようなデザインでありながら奥行き(厚み)が少ないボディは、昔から一眼レフに慣れ親しんできたボクの目には、少し奇妙に映った。でもまあ、これは「見慣れたフォルムとは違う」という理由からなので、使い込んでいくうちに見慣れてくるだろう…って、このX-T1は1週間で返却するんだけどね(笑)。

その一眼レフのようなX-T1ボディは、堅牢で高剛性のマグネシウムダイキャストが採用され、露出補正とシャッタースピードとISO感度の各ダイヤルはアルミ削り出し。見た目も操作感もなかなか上質である。あと、梨地調の表面塗装も、個人的にはけっこう好み。ただし、露出補正ダイヤルに関しては操作感が少し微妙かも。このダイヤルは使用頻度の高さを考慮して(?)ロック機構が備わっていない。そして、誤作動がないようクリックが固めに調整されている。そのため、ファインダーを覗いた状態などで”指一本でダイヤル操作”するのは難しい。だから、ボディを保持する右手を少し構え直して”指二本でつまんでダイヤル操作”する必要があるのだ。まあ、このあたりも使っているうちに慣れてくると思うけどね。

富士フイルム X-T1
「富士フイルム X-T1」は、デジタルカメラで世界初の「UHS-II」SDメモリーカード(最大転送速度は312MB/s)に対応したモデル。データ容量が大きくなるRAWモードでの高速連写などでの、データ書き込み時間の短縮が期待できる。

富士フイルム X-T1
望遠ズーム「XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS」を装着した「X-T1」。乗り物や動物の連続撮影では、この組み合わせを多用した。

 最近のミラーレス一眼では、上位モデルの一眼レフ顔負けの連写性能を持つ製品が増えてきた。しかも、単に高速で撮れるだけでなく、動体に対する追従性能も格段に向上している。この「X-T1」も、位相差AF情報と高度な動体予測技術の活用により「AF追従連写・最速8.0コマ/秒」というハイレベルな高速連写を実現している。

 そして、この高速連写の心強い味方になるのが、デジタルカメラで世界初の”高速SDカードUHS-II対応”という仕様。従来のUHS-I対応カードもけっこう高速(書き込み)だけど、UHS-II対応カードだと、ワンランク上の結果が得られる。どんなに高速連写が可能なカメラでも、メモリーカードへのデータ書き込みが遅いと頻繁に書き込み待ち(一時的にシャッターが切れなくなる)が発生してストレス溜まるからねぇ。

今回「画像サイズ:L・画質モード:RAW+JPEG・ドライブモード:CH・フォーカスモード:M(※単純に連写性能をチェックするため)」という設定でテスト撮影してみたところ、UHS-I対応のプロ仕様カードは「速度維持で連続23コマ→17秒で書き込み終了」という結果に。一方、カメラ&レンズと一緒に借用したUHS-II対応カードだと「速度維持で連続24コマ→10秒で書き込み終了」という結果が得られた。うーん、速い! ちなみに、書き込み速度にさほど定評のない(笑)某メーカーのSDスピードクラスCLASS10のSDカード(UHS-I非対応)だと「速度維持で連続21コマ→1分10秒で書き込み終了」というトホホな結果になった。以上、ご参考まで…。やっぱ、カードの書き込み速度は重要ですナァ。

あと、ボク自身は、以前から富士フイルムの”色づくり”に好印象を持っている。まあ、社名に「フイルム」の名を残している80年来の感材メーカーでもあるから「どういう色再現が好まれるか?」という絵作りのノウハウがあるんだろうね。その色再現や階調再現を選ぶ機能「フィルムシミュレーション」に、PROVIA、Velvia、ASTIAといったリバーサルフィルムの名称が使われているのも、そのフィルムを使ってきた者にとってはウレシイ。で、主に風景や花を撮るボクの場合は、リバーサルフィルムの時と同様「Velvia」モードを多用した。

PROVIA/スタンダード
富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉

Velvia/ビビッド</strong
富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉

ASTIA/ソフト</strong
富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉

◆共通データ:富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) 絞り優先オート F4.8 1/100秒 フィルムシミュレーションブラケティング使用 WB晴天 ISO200 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 さて、先ほど紹介した”高速連写時のデータ書き込み時間”とは別に、動体に対するAF追従性能も実写チェックしてみた(画像サイズ:L・画質モード:RAW+JPEG・ドライブモード:CH・フォーカスモード:コンティニアスAF・AFモード:オートエリア)。被写体は、こちらに近づいてくる電車。「最速8.0コマ/秒」という仕様で22コマの高速連写をおこなったが、正直なところAFが追従してるのかどうかよくわからん(苦笑)。…でも、撮影データをパソコンモニターでチェックしてみると、思った以上にうまく追従していた。最後の22コマはさすがにボケたが、1コマ前の21コマ(ここに掲載した画像)まではしっかり追従。1コマから21コマ中で、わずかにピントがアマいカットがいくつか見られたが、そのボケ具合はあまり気にならないレベル。そして、明らかにピントがアマかったのは1コマだけだった。

1コマ目</strong
富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉

21コマ目</strong
富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉

◆共通データ:富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) マニュアル F4.8 1/1000秒 WBオート ISO1600 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 …以上、リアルタイム・ビューファインダーの表示品質や、「最速8.0コマ/秒」高速連写でのAF追従性能など、大きな特長として挙げられている機能に関する満足度はけっこう高かった。あとは、個人的に「このカメラを自分の撮影にどう活用できそうか?」というのが興味深いところ。次回のレポートではそのあたりも意識しながら、X-T1ボディと2本のズームレンズ(XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS、XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS)の魅力を紹介したいと思う。では、また次回!

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) 絞り優先オート F4.8 1/550秒 WBオート ISO200 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS(55ミリで撮影) 絞り優先オート F4 1/750秒 +0.3補正 WBオート ISO200 3264×4896ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS(40.7ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/120秒 −1補正 WBオート ISO200 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) 絞り優先オート F4.8 1/180秒 −0.3補正 WBオート ISO200 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS(18ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/27秒 −0.7補正 WBオート ISO800 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) シャッター優先オート F4.8 1/1000秒 WBオート ISO250 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF18-55ミリF2.8-4 R LM OIS(55ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/60秒 WBオート ISO200 3264×4896ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

富士フイルムX-T1作例(C)吉森信哉
◆富士フイルム X-T1 XF55-200ミリF3.5-4.8 R LM OIS(200ミリで撮影) シャッター優先オート F4.8 1/1000秒 WBオート ISO500 4896×3264ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)