描写性能と高品位な質感が魅力のFA Limitedレンズが、最新のHDコーティングを採用してモデルチェンジ。デジタル一眼レフによる画質を追求した「HD PENTAX-FA Limited」シリーズの3本「HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited」「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」「HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited」を使ってみた。
ボケ味と逆光性能にこだわった「HD PENTAX-FA Limited」レンズ3本が新登場
実に多種多様なペンタックスの交換レンズの中でも、独自のポジションを築いているのがFA Limitedの3本だ。フルサイズ対応の単焦点レンズだが、焦点距離は31mm、43mm、77mmという珍しい数値。もともとフィルム時代に設計・発売されたためコンパクトなのも特徴だが、コーティングを最新技術へアップデート。外装や光学系、それがもたらす描写の味はそのままに、耐逆光性能をデジタル撮影で要求されるレベルに引き上げた。また、円形絞りを新たに採用することで、絞ったときでも柔らかいボケが得られるようになったのも特徴だ。
キレとボケ味を両立した大口径広角レンズ「HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited」
31mmはAPS-Cフォーマットでも標準レンズとして活用できることから、smc版では人気があったレンズ。よりクリアな描写となり、新機種の「PENTAX K-3 Mark III」にもマッチングすると思う。
雰囲気を生かした作画が楽しくなるレンズ
ピントの合った部分こそキレがあるが、残存収差をうまくコントロールしており、全体的にオールドレンズのような味わいがある。31mmという焦点距離は難しさもあるが、街角でのスナップが楽しくなる。
花形タイプのフードをレンズと一体化
剛性のある花型フードが鏡筒と一体化している点はsmc版のまま。フードでコンパクトさが損なわれることはなく、むしろこのレンズのアイデンティティともいえる。
軽量コンパクトでヌケの良い描写が魅力「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」
一方、43mmはフルサイズセンサーの対角線長と同じ焦点距離で、真の標準レンズともいえる存在。F1.9という明るさがありながら、フィルター径は49mm、全長は約27mmに収まっている。smc版を愛用する僕としては今回のアップデートが気になるが、ヌケが向上してsmc版から薄いベールを一枚剥いだような印象を受けた。
逆光をものともしないHDコーティング
金属に反射した夕日を画面中央よりだいぶ横に写し込むという、あえてゴーストの出やすい場面を撮影してみた。結果はご覧の通りで悪影響は感じられない。階調もハイライトからシャドーまでしっかり再現されている。
七宝焼きのフィンガーポイントを採用
smc版では他の2本より発売が早かったため、唯一七宝のフィンガーポイントがなかった。HD版でついに設けられ、メーカーが公式に、3本が兄弟であるとアピールした格好だ。
クリアな描写と柔らかなボケ味が印象的「HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited」
ヌケ感の向上は77mmも同様。クリアでありながら、絞りを開けたときの柔らかさや赤系色の発色、ハイライトの階調再現性にこだわるという点はsmc版から継承している。想定しているのはポートレート撮影だが、スナップやネイチャーでも描写力とともにコンパクトさが生きてくると思う。
先代の優しいボケ味はしっかりと継承
ショーウィンドウの中に飾られていたジオラマを撮影。宙に浮いているようなアングルと、ガラスへの反射を生かして夢の世界のように表現してみた。柔らかいボケ味が自分のイメージをアシストしてくれたかたちだ。
伸縮式の内蔵フードで斜光をカット
本体に組み込まれ、伸縮する内蔵フードはもちろんsmc版から継承。ほかの2本もそうだが、絞りリングがあるためKマウントのフィルム一眼レフでも使用できる。