画質性能と小型化を追求した高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO」が発売された。この超広角から標準域を1本でカバーする期待の高倍率レンズを「OM-D E-M1X」と組み合わせ、多彩なスナップ撮影を楽しんでみた。
超広角から標準域、接写まで、多彩な撮影が1本で楽しめる
オリンパスPROシリーズから小型・軽量高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO」が登場した。最新技術満載で、高画質でコンパクト、超広角から標準域までカバーする魅力的なレンズである。
近景から遠景まで絞り込んでパンフォーカスに
超広角で風景を撮影する際、写真上部に見所が必要だ。そこでビルを配置し、手前をより近いところから捉えて奥行きが出せるように撮った。F16に絞り込むと手前から無限遠まで被写界深度に収まり、パンフォーカス的な写りになるのが心地いい。
コスモスにグッと寄れる近接性能がスゴイ
標準側25mm (50mm相当) の最短撮影距離23cmで撮影。フードの先から5cmほどの距離になる。コスモスの花は画面いっぱいに、そして背景は自然なボケ味だ。広めのレンズで撮る際には被写体に寄って撮ることが多く、近接性能は重要なポイント。
M.ZUIKO PROシリーズ初の沈胴機構で小型・軽量化を実現
既存の「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」は、前玉が湾曲して飛び出している典型的な超広角ズームで、明るい開放F値からもわかるように、小さくはなく重厚なレンズである。それと比較すれば広角側がわずかに狭くなるが、長焦点側が25mmまで広がり、しかも小型・軽量だ。その利便性を考えれば、開放F値が1段暗いことは気にならない。
さらに沈胴式の機構が携行性を高めていて、この機構がなければ繰り出し時の大きさのままだったとレンズ開発者から聞いたことがある。また、超広角域をカバーするレンズはフィルターが付けられないものもあるが、このレンズはフィルター装着が可能で表現の幅が広がるだろう。
超広角の絵づくりにフィルターを活用できる
超広角域をカバーしながらフィルター装着が可能。PLフィルターでビルの間の青空を色濃く仕上げた。風景撮影などでフィルターワークを活用でき、超広角系レンズ特有の大きな前玉の保護もできて安心だ。
主役に近づき、その場の環境まで写し込む
茶室に座ってお茶を頂いた。目の前に広がる光景が全部写せそうに思える、それこそが醍醐味。お茶とお菓子が主役だが、その舞台となる和室の雰囲気も見せることができ、多くの情報を伝えられる。
画面の隅々までシャープな高画質
機能面だけでなく画質性能も素晴らしい。最新の特殊硝材を贅沢に使い、画面の隅々までシャープで鮮鋭な像を結んでくれる。周辺光量落ちや周辺画像の流れも気にならない。風景や星景、夜景撮影などでその実力を発揮するだろう。
超広角、広角、標準とカバーするため、雨などでレンズ交換を避けたいときにも便利。防塵・防滴仕様であることは言うまでもなく、タフな状況下にこそ「OM-D E-M1X」とともに活躍しそうだ。新会社になって初のこの製品からも、以前にも増して革新的なモノ作りの精神が感じられ、嬉しくなった。
キレのあるシャープな画質で夜景を描く
超広角系のレンズは夜景、星空の撮影でも多用されるが、点光源や星がにじんで写るようではいけない。このレンズにはその心配は要らない。絞り開放でのこのような場面でも、歪みなく色も正確に表現できている。
高い解像力を実現し画面の隅々まで緻密に再現
広く写るため大きな構造物を撮りたくなる。明るさの残る夕暮れのレインボーブリッジを鮮明な線で描く。遠くの船や明かりもハッキリとしている。広角系のため、長秒撮影でも手ブレしにくい。
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
発売日 2021年6月25日
希望小売価格 176,000円 (税込)
マウント マイクロフォーサーズマウント
レンズ構成 10群16枚
最短撮影距離 0.23m (ズーム全域)
最大撮影倍率 テレ端 0.21倍 (35mm判換算 0.42倍)
絞り羽根 7枚 (円形絞り)
フィルター径 φ72mm
大きさ (最大径×全長) φ77×88.5mm
質量 411g
■M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO について、詳しくはこちら
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/8-25_4pro/index.html
〈文・写真〉斎藤巧一郎
〈協力〉OMデジタルソリューションズ株式会社