機材レポート

あの頃の”画角と明るさ”を、いま再び…『ペンタックス 01 STANDARD PRIME』

ペンタックス 01 STANDARD PRIME

広島の実家に帰ると、数冊のアルバムがある。その中の一冊に、ボクが中学2年の時に初めて買ったコンパクトカメラ「オリンパス 35DC」で撮影した写真が何点か貼ってある。ああ、このカメラを買った年の夏だったな、伯母に連れられて弟と関西旅行(兵庫や京都など)に行ったのは…。

ペンタックス 01 STANDARD PRIME

 その関西旅行のページの左上には、旅行とは関係ない1枚の写真が貼ってある。35DCを買って間もない頃に撮影した、自宅裏の田園風景である。…まあ、今見ると”何の変哲もない夏の風景”ですわ。被写体(ヒマワリ)に対するアプローチも曖昧だし、構図も絵に描いたような”日の丸構図”だし。

ペンタックス 01 STANDARD PRIME

 だけど、ボクはこの写真が好きだった。…いや、今も変わらず好きだけどね。夏の眩しい光、生命力溢れる水田の緑。そして、自分のカメラで自宅周辺の風景や大事なモノ(このヒマワリは自分が植えたもの)を撮る楽しさ。そういった当時の感覚が、今でも鮮明に思い出される。少し大げさに言えば、ボクの写真の原点はこの1枚にある気がするのだ。

ペンタックス 01 STANDARD PRIME/03 FISH-EYE
「ペンタックスQ7+01 STANDARD PRIME」。右は、いちばん最初に買った中古品の「03 FISH-EYE」。

 そんな思い出の1枚を撮影したオリンパス 35DCのレンズは「F.ZUIKO 40ミリF1.7」。35DCは”プログラムオート専用機”というイマイチ燃えない仕様だったが、この明るいレンズの印象はとても強かった。

 先日ボクが購入した『ペンタックス 01 STANDARD PRIME』は、その35DCのレンズを思い出させるような”大口径の単焦点レンズ”である。このレンズを手持ちの「ペンタックス Q7」ボディに装着すると「39ミリ相当 F1.9」になるのだ。あ、この焦点距離(01 STANDARD PRIMEの方は35ミリ判換算値)と開放F値の数値はどちらもビミョーに違うでないの(苦笑)。…でも、35ミリでも50ミリでもない”準標準の画角”が、とても懐かしく感じられた。

そして、先日のGWの帰省では「ペンタックスQ7+01 STANDARD PRIME」の組み合わせで、あの頃と同じように自宅周辺の田園風景の撮影を楽しんだのである。

作例1(C)吉森信哉
自宅のすぐ近くにある母方実家。その建物の下で、農作業中の父が一休みしている。
◆ペンタックス Q7 01 STANDARD PRIME(39ミリ相当) 絞り優先オート F4 1/1000秒 −0.3補正 WB:オート ISO100

作例2(C)吉森信哉
自宅裏の畑に咲いていた、さやえんどうの花。
◆ペンタックス Q7 01 STANDARD PRIME(39ミリ相当) 絞り優先オート F2.8 1/2000秒 WB:オート ISO100

作例3(C)吉森信哉
自宅の庭にて。裏の方から射し込む”夕方の光”がボクは大好き。
◆ペンタックス Q7 01 STANDARD PRIME(39ミリ相当) 絞り優先オート F4 1/400秒 WB:オート ISO200

作例4(C)吉森信哉
自宅の前に広がる水田と山並。田植え前だから見られた水面反射がとても美しかった。
◆ペンタックス Q7 01 STANDARD PRIME(39ミリ相当) 絞り優先オート F4 1/640秒 −0.3補正 WB:オート ISO100