機材レポート

手持ち撮影ができる150mmからの超望遠ズームレンズ2本を撮り比べ! 描写力は? AF性能は?

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2021年10月号 Other Shots

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD、シグマ 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』本誌人気連載の「レンズパラダイス」。2021年10月号の「レンズパラダイス」Other Shotsは、ワイド端が150㎜スタートで、手持ち撮影も可能な重さの超望遠ズーム「タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」と「シグマ 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports」の2本をピックアップ。いずれも純正の「ソニー FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」よりワイド端がやや広めで、収納時の全長が短いのが特徴だ。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD
スペック
[マウント] ソニーEマウント [最大径×長さ] φ93×209.6mm [重さ] 約1880g (三脚座を含む) [レンズ構成] 16群25枚 [最短撮影距離] ワイド時 0.6m、テレ時 1.8m [最大撮影倍率] ワイド時 0.32倍、テレ時 0.27倍 [絞り羽根枚数] 7枚 [フィルター径] φ82mm
参考価格 約159,500円 (税込)

細かい羽まで整った解像性能

多摩動物公園のオオワシ。テレ端500mmの絞り開放でネット越しでの撮影だ。高感度NRの影響もあり、カリカリにエッジ立つほどではなく、ハイライト部分は少しにじみも感じられるが、細かい羽の模様まで整った解像が得られている。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/800秒 F6.7 -0.7補正 ISO800 WB : 晴天 500mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

動物瞳AFでトラの目にしっかりとピント

多摩動物公園のアムールトラ。目や頭にきちんとピントが来ているが、胴体は被写界深度外。400mm F6.3でも意外と深度は浅く、動物瞳AFさまさまだ。陽の当たったヒゲは露出オーバーということもあり線が太めだが、軸上色収差の色にじみはなく、ボケの色づきも感じられない。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/640秒  F6.3 ISO4000 WB : 晴天 409mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

ISO1600に抑え、毛並みをくっきりと表現

多摩動物公園のレッサーパンダ。レッサーパンダの放牧場は陽が当たりにくい場所にあり、明るいレンズでないとすぐに超高感度になってしまう。そこで、被写体ブレ覚悟でシャッタースピードをできるだけ落とし、動きが止まった瞬間を狙ってみた。感度を抑えたことで毛並みがくっきりシャープに写っている。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/250秒  F6.3 -0.7補正 ISO1600 WB : 晴天 389mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

クセのない自然なボケが得られる

前ボケ、後ボケの描写傾向をチェックするには、生い茂った芝を撮影するのがイチバンわかりやすい。前ボケのほうが少し二線ボケが出やすい印象だが、後ボケも縁取り感が目立つ領域はある。ただ、全体としてはボケと解像のバランスは良く、クセのない自然なボケが得られていると思う。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/2000秒 F5.6 ISO2000 WB : 晴天 279mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
後ボケを拡大
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
前ボケを拡大

揺らぎの影響を受けやすいがデッキチェアはしっかり解像

日射しが強く、地表は陽炎でかなり揺らいでいて、砂浜のボケにかなり歪みが出ているが、パラソルやデッキチェアはしっかりとした解像が得られている。超望遠ズームは空気の揺らぎの影響を受けやすいので、少しワイド側に引いて使うことも考えよう。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/1600秒  F5.6 ISO500 WB : 晴天 265mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

トラックのフロントは非常にクリア

前後の距離が詰まって見える「圧縮効果」が得られるのが、望遠レンズの描写特性。これはテレ端の500mmで撮影しているので、トラックの入場待機列が実際よりもかなり密に見える。ピントを合わせたトラックのメタリックなフロント部分は非常にクリアな描写だ。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/1600秒 F6.7 -0.3補正 ISO400 WB : 晴天 500mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

色収差もほとんどなく、周辺光量低下も少なめ

空気の揺らぎと湿度の影響でレンズ本来の解像は得られていないが、晴れた夏の日の昼間に、これだけクッキリ撮れれば上出来。色収差もほとんどなく、白い船体やワイヤーもスッキリ描写されている。周辺光量低下も少なめだ。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート  1/1600秒 F5.6 +0.7補正 ISO320 WB : 晴天 381mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

500mm絞り開放でも非常にクッキリとした描写

羽田空港に着陸する旅客機を城南島海浜公園から狙う。地表からある程度離れていて、撮影距離がそれほど遠くないので、テレ端500mm開放でも非常にクッキリとした描写だ。青空バックで周辺減光は多少感じるが、この程度なら十分許容範囲だろう。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α1 タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD シャッター優先オート 1/1600秒 F6.7 ISO250 WB : 晴天 500mm域
タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
部分拡大

 

  1. 1
  2. 2
全文表示