機材レポート

“攻めのフォルム” と超高画質仕様が、撮影者を “攻めの気分” にさせる『シグマ dp2 Quattro』

SIGMA dp2 Quattro
『シグマ dp2 Quattro』の超高画質を堪能するには、三脚の使用が不可欠だろう。ちなみに、この横長ボディに両吊りストラップを装着すると、こういったブツ撮りではメチャ邪魔に見える(笑)。ということで、ここではストラップもレンズフードも外してブツ撮りしてます。

SIGMA dp2 Quattro
「30ミリF2.8」レンズの鏡胴の太さ(フィルター径は58mm)からすると、かなり径が大きい付属レンズフード。まあ、実際にはそんなには大きくない。だけど、ボディの高さが抑えられてるぶん、巨大に見えるんだよなぁ。

 シグマが誇る「Foveon X3ダイレクトイメージセンサー」。その新世代センサーである “Quattro” を搭載する『シグマ dp2 Quattro』。トップ層の4ピクセルに対して、ミドル層とボトム層は1ピクセルになる「1:1:4」の新たな3層構造を採用。これにより、従来のMerrillよりも解像度はアップし、データ処理の高速化も実現しているとのこと。…まあ、難しい話は “さわり” 程度にしておきましょうか(笑)。その注目度の高い超高画質仕様のコンデジを、しばらく借用して使ってみることした。

 極端に横に長い本体は、グリップ部が通常のカメラとは逆(背面側)に出っ張っている。でもって、前面の左手(正面から見ると右側)寄りに、高画質設計の単焦点標準レンズ「30ミリF2.8」がズドン。いやぁ〜、もうだいぶ見慣れたとはいえ、やっぱ抜群に尖がってますなぁ、このボディフォルムは。まあ、メーカーとしては、奇をてらうつもりはなく、性能追求における “必然の結果” だったらしいけど。

でも、実際に手にしてみると、その外見の印象とは裏腹に両手にしっくりくる。あ〜、この安定感は良いね。まあ、右手と左手が妙に離れてる感があるのはご愛嬌(笑)。両吊りストラップを装着して首から掛けてもしっくりくるけど、個人的には縦吊り対応になっていれば、見た目にはもっとカッコイイ感じになると思うけどな。まあ、このカメラを縦吊りにして肩から掛けたら、座った際に間違いなく座面にカメラをぶつけると思う(笑)。

  • 作例1(C)吉森信哉カメラによるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)
  • 作例2(C)吉森信哉RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)
  • 作例3(C)吉森信哉RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:風景)
  • ◆共通データ:シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F2.8 1/500秒 −0.3補正 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG 三脚

これまでのDPシリーズと同様、このカメラの高画質っぷりを実感&堪能するには、撮って出し(撮影時にカメラ内で完成される)のJPEG画像ではなく、RAWデータを現像ソフトで調整して新規のJPEGやTIFFの画像として完成させる必要があるだろう。

ということで、まずは「RAW+J」設定で撮影して記録されたJPEG画像と、RAWデータを専用現像ソフト「SIGMA PhotoPro 6」で現像して作成したJPEG画像を見比べてみた(今回の現像では、変わった設定や調整は極力行わないようにした)。なお、その結果に関しては “今回の撮影で自分が感じたモノ” に過ぎないので、あくまでも “ひとつの参考意見” として受け止めてくださいませ〜。

見比べるのは、カメラによるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)、RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)、RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:風景)…の3パターン。なお、撮影時の設定は撮影データどおりだが、このほかでは「フォーカスモード/MF、ドライブモード/2秒セルフタイマー」などの設定で撮影している。

…で、見比べてみた結果、高精細さ&シャープさに関しては、カメラによるJPEG画像で十分だと感じたね。いや〜、この細部にまで切り込むような描写はサスガですわ。だが、その一方で色再現に関して、物足りなさも感じた。カラーモード設定が「スタンダード」というのも理由だろうが、少々アッサリした色再現なのである。特に、自然風景のメインカラーとも言える「草木の葉の緑色」が少々地味な印象を受ける。RAW現像によるJPEG画像(カラーモードは同じくスタンダード)では、その緑色にわずかながら鮮やかさがプラスされているように思えた。その一方、逆にピンク色に近い花の色などは、カメラによるJPEG画像の方が鮮やかでコクのある描写になっている。う〜ん、意外と微妙な結果が出たなぁ(笑)。

だが、RAW現像時のカラーモードを「風景」に変えると、その色再現はガラッと変わる。緑色はより鮮やかに再現され、スタンダード(RAW現像時)ではアッサリめだったピンク色もグッと濃厚になっている(まあ、カメラのカラーモードを「風景」にして撮影しても鮮やかになるけど)。…ということで、今回のRAW現像では大半を「カラーモード:風景、ホワイトバランス/晴れ」で行うことにした。

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  • 作例4(C)吉森信哉カメラによるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)
  • 作例5(C)吉森信哉RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:スタンダード)
  • 作例6(C)吉森信哉RAW現像によるJPEG画像(カラーモード:風景)
  • ◆共通データ:シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F5.6 1/250秒 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG

では、もう一丁「RAW+J」設定で撮影したJPEG画像と、「SIGMA PhotoPro 6」で現像して作成したJPEG画像を見比べてみる。今度は全体的に派手な色が占める絵柄。そう、カラーモード「スタンダード」でも十分派手に仕上がるのが予想できる被写体だ。

その予想どおり、カメラによるJPEG画像から鮮やかな仕上がりが得られた。でもなあ、赤色とかは少し派手過ぎて飽和ぎみかも? 一方、RAW現像の「スタンダード」では、その色飽和ぎみな感じが、わずかながら抑えられているように思える。ただし、これも前の比較と同じように、ピンク色などはカメラによるJPEG画像の方が鮮やかでコクのある。…でもって、RAW現像時の「風景」だと、ちょっとやり過ぎ感が強いみたい(苦笑)。なお、シャープさに関しても、前の比較と同様の結果が得られた。

ちなみに、この七夕飾りの撮影は、三脚は使わず手持ちで行った。まあ、十分な明るさがある状況では、こういうスナップスタイルの撮影も「あり」だと思う。

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作例7(C)吉森信哉
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F4 1/60秒 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像)

作例8(C)吉森信哉
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F8 1/15秒 −1補正 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像) 三脚

この青々とした銀杏の葉も、手持ち撮影で行ったもの。でも、その次の古い民家越しの庭の景色は、さすがに三脚を使用して撮影している。まあ、シャッター速度「1/15秒」だからね。

なお、この2点はいずれもAFでピント合わせをしているが、このカメラの性格から考えると、三脚使用時には “MFモード+拡大表示” でシビアにピントを追い込む方が正解かもね。その方が気合いが入るし(笑)。

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  • 作例9(C)吉森信哉ISO100
  • 作例10(C)吉森信哉ISO200
  • 作例11(C)吉森信哉ISO400
  • 作例12(C)吉森信哉ISO800
  • 作例13(C)吉森信哉ISO1600
  • 作例14(C)吉森信哉ISO3200

◆共通データ:シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F8 WB晴れ 5424×3616ピクセル JPEG(オリジナルデータ) 三脚

 ISO感度別の描写の違いもチェックしてみた。DPシリーズは高感度画質はあまり期待できないから、基本的には “最低感度で撮りたいカメラ” だと思う。だけど、今回のチェックで感じたのは「お世辞抜きでISO400までは十分使えそう」ということ。もちろん、細かい部分を見比べるとISO100と400の違いはあるが、それでもDPシリーズに求められる “高精細でシャープな描写” の基準はクリアしている…と思う。まあ、ISO800やそれ以上の描写はアウトだけど。

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作例15(C)吉森信哉
焦点距離(というか標準の画角)からすると、さほど大口径とは言えない “開放F2.8” の単焦点標準レンズ。だが、被写体の近くまで接近して絞り開放で撮れば、このように適度な背景ボケの効果が得られる。
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F2.8 1/800秒 WB晴れ ISO100 3616×5424ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像) 三脚

作例16(C)吉森信哉
この写真だけ、RAW現像の際に「露出」の項目をアンダーにした。全体的に深みのある重厚な描写が欲しかったから。
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F8 1/25秒 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像) 三脚

作例17(C)吉森信哉
空に向かって咲き誇る夏の花。普段なら手持ちで迫る被写体&状況だが、このカメラでは三脚を使用し “被写体と対峙” するように撮影した。
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F8 1/400秒 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像) 三脚

作例18(C)吉森信哉
ここまでの写真でも「dp2 Quattro」が持つ圧倒的な超高精細描写が堪能できた。だけど、この写真の絵柄はハンパない! また、画面の隅々までチェックしても、その破綻のなさに驚かされる。このあたりのレベルの高さは、レンズ一体型の強みなんだよなぁ。
◆シグマ dp2 Quattro 絞り優先オート F8 1/60秒 −1補正 WB晴れ ISO100 5424×3616ピクセル JPEG(SIGMA PhotoPro 6で現像) 三脚

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 従来のDPのMerrillシリーズは、ボク個人としては、あの “特徴のない少ないボディデザイン” が苦手だった。まあ、そのあたりは完全に個人の嗜好の問題なので、Merrillシリーズに罪はない(笑)。「dp2 Quattro」と同様、その圧倒的な超高精細描写は超魅力である。その魅力の前には、バッテリーの持ちが極端に悪いとか、高感度画質が期待できないとか、カメラを振ると液晶モニター表示がグニャグニャ揺れるとか、そんな事もさほど気にならない。…それでも、Merrillシリーズに対しては購入意欲が湧いてこなかったんだよなぁ。Merrillよ、スマン! って、別に謝る必要はないか(笑)。

しかし、今回の「dp2 Quattro」の多くの人を驚かせた “攻めのボディフォルム” は、自然と使う側も “攻めの気分” が湧き上がってくる気がする。三脚使用時の様子(見た目)も、攻め気分が伝わってくるようだ(Merrillシリーズ+三脚だと、ちょっとアンバランスな感じがする)。

そして、AFやMFの操作性や、各種主要機能の設定や、オートブラケット時のバッファの問題など、一般的な撮影で問題になる点はさほど見られない。また、前述の “Merrillシリーズでのバッテリー持ちの問題” もかなり改善されていて、この点に関してもかなり安心できるようになっている(今回の撮影では、Merrillシリーズの2倍以上の枚数が撮影できた)。

さあ、これはもう買うしかない! …という気分にはなったけど、ボクは広角派なので「dp1 Quattro」が登場するのを待とうかなぁ。でも、今回の「dp2 Quattro」の約45ミリ相当の標準画角やボケ効果も捨て難いよなぁ〜。と、しばらくは悶々とした日々が続くこと間違いナシ(笑)。

SIGMA dp2 Quattro
手持ち撮影も悪くないが、この「dp2 Quattro」は三脚に据えることで “攻めの姿勢” がより強くなってくる。う〜ん、シビレるぅ!